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短編倉庫

虚弱特性部の非日常



 "人には必ず、何かしらの才能がある"

 小学生の頃の担任の口癖だった。

 人間賛美。豚もおだてりゃ木に登る。担任の策略を疑った当時の大福(おおふく)杏子(きょうこ)はどんなに可愛くない子どもだったのだろうか。

 しかし、杏子が十六年生きて確信した真理も、実に不本意なことにその担任と同様だった。 

誰しも才能を持っている。その内容は千差万別、才能に気付かずに一生を終えることだってあるだろう。そしてその才能が、プラスに働くものとは限らないことだってあるのだ。


 それこそ、『状態異常』とでも呼ばなければならないような。


 『虚弱特性部』——三十七ある学園の裏組織の一つである。……というのは『どんな物事も婉曲すれば割となんとかなる』が持論な部長の談だ。実際のところは単なる非公式の部活(にもなれない集まり)に過ぎない。

 青春の病状に徹することの出来ない、葛藤が見られるネーミングだ。つまり、ちょっとダサい。杏子は自虐ネタを酷使してでもかまって貰おうとする部長に、生ぬるい非難を送ったのだが、聞き届けられることはなかった。先輩権限を振りかざすのは卑怯だ。


「おい、アンコ。 聞いているのか」

「ヒアリングはしてます。 リスニングはしてません。 それから、私はアンコじゃなくてキョーコです」


 折りたたみの机に置かれた紙コップに、容赦無くジュースを注ぐ。


「おまっ、僕の金だからなっ!! 即ち奢りだぞ! 遠慮しろ!」

「やだなー先輩と私の仲じゃないですかー」


 杏子は紙コップの底に片手を添えて、乳酸菌飲料を流し込んだ。

 大豆(おおまめ)日景(ひかげ)、虚弱特性部にて唯一虚弱を体現する人間だ。黒ブチの眼鏡に白い肌、吹けば飛び、蹴れば折れそうな身体。典型的なモヤシっ子である。


「先輩、今日もモヤシ絶好調ですね」

「当たり前だ馬鹿者! 畜生! 泣けるぞ、これ!」


 部の名前とは反対に割合活動的な杏子が、何故全国モヤシ選手権優勝候補と共にいるのか。その理由はただ一つ。

 杏子と大豆日景部長には、同じ『才能』があったからだ。


「はとこのはとこ、でしたっけ?」

「いきなりなんだよ」

「いえ、私と先輩の関係です」

「はとこのいとこじゃなかったか?」

「どちらにしろ、殆ど他人ですね」

「何を言っている! 僕とアンコは『状態異常認知能力』という絆で結ばれているじゃないかっ!」

「モヤシが不完全燃焼で燻ってます。 一酸化炭素を精製しないで下さい。 あと、キョーコですので」

「ところで、才能って遺伝するのだろうか」

「だから、殆ど他人ですって」


 大豆はめげない。何と言われようと。

 ちなみに、『モヤシ』とは大豆日景の状態異常だ。才能と具体的にどう違うのかは杏子にわからないが、何か違いがあるのだろう。否定すると、この理論を唱えた部長がうるさい。認めることは、かまってちゃんなモヤシのメンタル維持にはそこそこ重要だ。実に面倒臭い。


「大豆に日影って完璧じゃないですか。 モヤシになるべく生まれたモヤシですよね」

「再婚相手の苗字だけどな」

「さりげに重いのはやめて下さい」

「ふはは」

「ごめんなさい、先輩が言うと全ての事象が軽くなるので口を閉ざして下さい」

「んぐっ」

「というか、それ、私と先輩に血の繋がりがないことになりません? やったね私」

「あるわっ! めちゃくちゃあるわっ」

「んー、劇的に矛盾のようで微妙に正しいですね。 流石劇的ネームの先輩です」

「……納得いかない」

「何かいいました?」

「ぃぃぇ」

「ならいいです」


 まったく面倒だ、と深く深く、ため息をつく。

 何の因果か、そんな面倒臭い大豆に見込まれ、杏子はたった二人の虚弱特性部正規部員をやらされている——要するに帰宅部と同義なのだが。非生産極まりないため、帰宅部よりタチが悪い。やることと言えば、モヤシの財布を食いつぶすことぐらいだ。幸いなことに——先輩には不幸なことに——お互い太りにくい体質である。


 そうして今日も、美術準備室の成れの果てを不当占拠して出来た部室代わりの空間で二人、「静かで優雅」とは程遠い時を過ごすのであった。


「こいつ、ジュース飲み干しやがったあああぁぁ!!」

「ごっつぁんです。 モヤシ太っ腹ですね」

「最低だこいつうううぅ!!!」


 訂正。(部長の嘆きが)騒がしくも(部長の財布が)軽々しい時間を送るのであった。







◆◇◆◇◆







「暇ー……」

「お前、昨日も言ってたよな」

「暇じゃなかったら先輩に付き合いません」

「……部活でも入ればいいじゃないか」

「べ、別にあんたがいなくたって寂しくないんだからねっ」

「何だよそれっ!!」

「先輩の心情ですけど何か?」


 杏子が段ボール箱の中身を漁る。


「まず、私が他の部活に入れるわけないでしょう?」

「あー、そうだったな」


 うんうん、と頷くモヤシに構わず、杏子は段ボールをひっくり返した。プチプチ発見。


「片付けろよ?」

「だいじょぶです。 私は整理整頓の出来る、お嫁さんの鑑なので」

「結婚できるのかお前……」

「することは、可能だと思います。 うっかり崩壊させなければ」

「……お、おう」


 ぱちん、ぱちん。

 沈黙を支配したのはビニールが生み出す軽やかな音。今日は調子がいい。

 二段目三段目、と規則正しく潰していく。

 二回三回、と先輩のチラ見回数が増加し、不規則に身体が揺れ動く。


「かまえよっ!!」


 杏子が目を合わす。そしてそのまま照準を固定。カウントを無音で取る。

 先輩がたじたじし始めるまで三秒。

 そのままおろおろし始めるまで七秒。

 ゆっくりと沈没するまであと——今までの経験と計算という建前の勘により二十秒アバウト。


 三、

 二、

 一……




(きょう)ちゃんっ!」


 ダンッ、といい音と共に引き扉が開け放たれた。

 背後での出来事に思わず、杏子の肩が跳ねる。先輩も当社比三倍跳ねる。

 いつもなら急な訪問者には不機嫌になるところだが、今回ばかりはそうもいかない。


(みこと)、また何か壊したの?」


 そこにはクラスメイトである白浦(しらうら)命が立っていた。

 命は美術部員である。そのため、旧校舎元美術準備室に訪れることは、まあ、無くはない。正確に言うとあまり無い。

 控えめに形容しても可憐、と言える容姿の命が来たことを、時間差で先輩は認識し体勢と眼鏡をたて直した。


「白浦君なにか……」

「杏ちゃんっ、あのね」


 あっさりと遮られたモヤシ先輩は色をさらに失った顔で引き下がった。

 フォローする義理はない。

 命は走って来たのだろうか、息が荒かった。


「落ち着いて、ゆっくり話して。 私は聞いてるから」

「僕と扱いが違う……」


 ぎろりとモヤシを睨む。

 ——黙って下さい。

 ——すみません。


 命は二人のアイコンタクトによる伝達に気付き戸惑いつつ、遠慮がちに切り出した。


「あ、ううん。 大した用事じゃないの。 ごめんね……」


 肩甲骨の辺りまで伸びた長い髪を弄ぶ。

 癖っ毛を誤魔化すためいつもポニーテールに纏めている杏子のそれとは全く違う。滑らかな黒髪だ。


「えーと、白のペンキってあるかな?」

「先輩、ペンキって……」

「ん、あそこだな。 多分」


 先輩が積み上げられた段ボールの箱を指差した。表面には埃が張り付き、オブジェとしての機能しか果たしていない。

 この部屋は、半倉庫と化していた。それも冷凍庫としてだ。


「開けていいのかな?」


 命がこちらの顔を伺った。

 杏子は咄嗟に言い返す。

 

「だめ、私がやるから命はあっちで待ってて」


 先輩が手伝いを申し出るが、残念なことに足手まといになる可能性の方が高い。

 杏子は単独で、慎重に段ボールの山を切り崩し始めた。

 よじ登り、角に足を引っ掛け、段ボールの隙間を広げて中身を確認する。ただそれだけの作業。しかし今、この場で仕事を全うできるのは杏子だけだった。


 むず痒くなってきた鼻をこすり、目当てのものを引っ張り出す。冷んやりとした感触を掌に残す金属の缶、そのラベルは青を示していた。

 舌打ちをして、それを床に置く。箱に戻すのは億劫だ。後でもいいだろう。

 命が僅かにおろおろしだすが、先輩は素知らぬ顔で漫画雑誌に手を出していた。出来ないことはなるべくしない、実にわかりやすいスタンスである。

 杏子はそのまま、同じ箱から二、三個引っ張り出したが生憎すべて青色だった。それらも纏めて床に放置。次の箱へと取り掛かる。

 そんなことを繰り返して、お目当てのものを手に入れた。


「どうぞ」

「わあ、ありがとうっ」


 ふわっ、と命の顔が綻ぶ。

 友人の無垢な笑顔に微苦笑して、缶を差し出した。部屋の惨状は既に、先輩を隅に追いやるぐらいに散らかっていた。


「缶の底が外れてたりとか、穴が空いてたりとかはないね?」

「あはは、杏ちゃんは心配し過ぎだよ」


 ころころと笑う命は、小型犬の面影がある。かまってくれなくて不貞腐れている犬とは大違いの愛くるしさだ。

 過保護にするのも逆効果か、と杏子は無表情のまま判断する。

 そして、ほくほく顔の同輩を送り出した。はずだった。


 ハイソックスに覆われた足が、床に置かれた幾多の缶を横倒しにする。

 曲線を描きながら不規則のようで規則的な軌道を進む金属は、細い両足を好きなだけ翻弄。

 数秒後の未来は目前に迫り、誰も変えることは出来ない。

 ただ、左脚が缶を踏みつけ、生物めいた缶の外殻はひしゃげ、彼女の身体がくるりと宙を舞うことだけが明確な事実。


 鮮やかな青が飛び散った。それが血液の色でなかったのは、喜ぶべきなのかわからない。


 ペンキ臭い美少女はほんの数センチの落下を経験し、斑模様を展開させた。


「み、みこと?」


 へらり、と引きつった笑顔で青色は立ち上がる。

 じぃっと周囲、状況、色彩を見つめて映像を認識に変える。

 ふらり、とペンキ色なまでに顔色を失い、命が崩れた。

 色んな意味で真っ青だ。元が整っているからこそ、青の色彩が異質で歪だった。

 そして、残念ながら私立高校の制服は、はっきり言って高い。あまりにオーソドックスなセーラー服なのに、校章が刺繍されているというだけで価値が跳ね上がる。詐欺だ。

 命は呆然としたまま、なすがままに虚空を見つめている。


「えっと」


 大丈夫、と続けようとしてやめた。

 というよりは無理だった。

 こうなることを予期できなかった自分が恨めしい。

 即座に濡れたタオルを用意して、なんとかしようと試みる先輩を眺めながらそう思った。




 二年一組、白浦命。美術部員にして、虚弱特性部予備部員候補。

 端麗な容姿に、優れた美的感覚を持ち合わせた優等生。


 彼女はいっそ笑えるぐらいの『薄幸』を状態異常としている。

 要するに——笑えないドジっ子である。






◆◇◆◇◆






 泣きと焦りと絶望の、混沌の中に居合わせたような目をした、どうしようもない(みこと)を職員室に送り届けようと廊下を進む。

 「私は大丈夫だよ……髪は切ればいいし、制服だって切ればいい……」なんてうわ言を発しながら歩いていた。

 杏子は数少ない友人の惨状に頭を押さえながら、引きずって行った。ある意味日常茶飯事のようなもので、命の立ち直りは存外早い。受けたダメージにしては、という意味だが。

 メンタルが豆腐並みに虚弱な大豆先輩は空気と化していた。


「僕が付いてくる意味はあったのか?」

「自分で探して下さい」

「そう、か……ないのか」


 杏子の後ろの、どんよりとした物体が二倍に増加した。

 劇的にうざい。


「命さん?! どうしたんすかっ!」


 先輩に気をとられているうちに、ふらふらと前へ進んでいた命が男子生徒と対面していた。

 交友範囲が恐ろしく狭い杏子でも、同学年の顔ぐらいは曖昧だが把握している。

 ついでに杏子は面食いだ。

 見慣れないあれは、一年だろうか。


「あ、爽也くん……あは、あはは」


 命が半分トリップ状態で、後輩君に雪崩かかる。

 明らかな異常に後輩君は目を白黒させながら叫び出し、命を揺する。


「ちょっ! 命さんっ!? 命さーん!!」


 ——あ、うざい。

 杏子の直感がびびっと分析を弾き出す。

 ——隣でメガネクイッをしてる先輩並みにうざい。

 大豆は後輩君に近づき、とんとんと肩を叩いた。


「美術部員?」

「あ、はい。 そーです」

「白浦君は頼んだ」

「えっ、あっ、って命さん何があったんすかっ! ちょっと!」


 いろいろと気力を削がれたのは、二人とも同様のようだ。

 後輩君の問いには答えず、「頑張るんだ、少年」と言い残して先輩は去った。

 ちなみに杏子は、メガネクイッの瞬間から移動を開始していた。


 ——だって興味ない。






 走って追いつこうとしたため肩で息をしている様子を、立ち止まってちらりと一瞥した。

 膝に手を当てて荒い息遣いの、げっそりとした先輩と目を合わせる。


「速かったですね」

「これでもっ……元、陸上部……」

「知ってますから。 無理して話さなくていいですから」


 息を整えるのを待つ。

 先輩の調子が戻るのにかかった時間は、走った意味を既に無くしていた。

 やっとのことで、立ち直る。


「アンコ、気付いたか?」

「気付かないとでも思いました?」


 ふっと軽い笑いが返ってくる。

 ——あぁ無理すんな、モヤシ。

 杏子はなんだか居た堪れなくなってきた。


「緊急集会だ。 部室に戻るぞ」


 汗を拭い、毅然とした表情で部長は前を見据える。

 杏子は保健室で冷えピタを貰ってこようと決意した。







◆◇◆◇◆







 埃っぽい部室で、部長が携帯をいじる。教室の片隅で孤高を満喫しているように見えて、交友関係は意外に広い。


「あれは一年の立木爽也だな。」

「そうですか」


 名前を覚える気はない。永遠に後輩君で十分だ。

 杏子は面食いではあるが、年下属性はちっともない。

 まあ、それでも顔は完璧にインプットしたので問題はないのだ。


「美術部員な?」

「顔的にすごくサッカー部だったんですけど」

「全国の美術部員に謝れ」

「ちょっと脈絡が」


 ポテトチップスの袋を取り出す。慎重に、丁寧に、開封を試みるがなかなか開かない。こういう日もある。だが、苛立つことに変わりない。

 眉間にしわを寄せて奮闘する杏子に見かねた先輩が、ため息とともに袋を奪いとった。

 あっという間に漂うのりしおの香気。

 そして返却。


「でも、私はあの人、見たことないですよ」


 命と交友を持っているのだから、部員の大体は把握している。第一男子部員の人数は少ないのだ。見覚えがないというのは、なかなかあり得ない。

 だかその答えは実に単純だった。


「最近入ったからな」

「ああ……はあ?」


 もう既に、大概の生徒が夏服に切り替えているころだ。……夏服に切り替えた途端に汚したのが命だが。

 入部するには時期が中途半端で、違和感が甚だしい。


「あの特性上、奇行はあり得ないことじゃないだろう」


 先輩は杏子の差し出したポテチを断り、とんとん、と自身の額を叩いた。

 その動作はモヤシにあるまじき厳粛さを伴っていた。

 杏子の背筋が伸びる。

 

「アンコ、何が見えた?」

「おそらく、先輩と同じものを」


 数秒、視線だけが交差する。その静音に確認するは一味同心。ただし総員二名。

 あの状態異常——否、特性はこの世にあってはならないものだ。今のところは発症していないが、存在のみで世界の法則にも影響しかねない。理不尽にして不合理であり、


 ——絶対に、赦してはならない。







 口に出すのも憚られるその名称は、


「ハーレム体質」





◆◇◆◇◆





「なんだよあれ! 初めて見たぞ! どこのラノベだくそ! ああああっ羨ましいっ!!!」

「先輩、漏れてます。 本音と素が漏れてます。 下手くそな理知的ロールプレイはどこ行ったんですか」

「るせえええっ!! 知るかーっ!!!」


 思いの丈をぶちまけ、久々にモヤシを撤去させ、先輩は頭を掻き毟る。

 しかし現実は非情であり、精神はともかく肉体は以前としてモヤシのままだ。盛大に噎せる様子を、杏子は悲しげに見つめる。


「げほっ……と、とにかくだ。 なんとかしよう。 うん。 だめ、よこせ、ちくしょう」


 要領を得ない弁論のせいで、杏子の視線に軽蔑が混じる。


「嫉妬ですか、見苦しい……。 というか、まともに生きたら少しはマシだと思うんですけど。 少しは」


 身体能力はどうしようもないが。

 部長は訝しげに答えた。


「何を言っている。 どうせモヤシなら、徹底的にモヤシるべきだろうが」


 ——駄目だこの人。

 杏子の視線は、氷点下にまで下る。

 モヤシの美学なんぞ、分かりたくもない。


「まあ、まずは落ち着こう」

「騒ぎ立てたのはそちらのくせに、どの口が……」

「お前さっきからずっと、空っぽの袋をまさぐっているだろうが」


 杏子の動きが止まる。そしてポテトチップスはとうの昔に食べ終えていたことを知る。

 唖然とした。

 自分は、冷静などではなかったのだ。自覚はゆっくりと浸透し、別視点での自己分析が杏子に現実逃避をさせてはくれない。

 無関心は貫けなくなった。

 なるほど自分はどうやら、相当焦っていたらしい。

 余裕を持った思考の後に、今の心境とやらを理解した。

 そのまま、ゆっくりと立ち上がり、命ばりの亡者めいた足取りで室内をさまよう。


「で、奴が起こす被害の規模は分からないが、どうせまともなことにはならんだろう。 よって、慎重な対策が求められるが……って、おいアンコ、落ち着けって言ってるじゃないか」

「無駄です」


 部長は呆れ気味に制止。普段とは立場が真逆だ。

 杏子はそれを自覚して、がらくたの山を漁る。

 焦りが本心だというのなら、偽るのも誤摩化すのも馬鹿らしい。

 感情の振れ幅が小さいはずの自分がここまで動揺するのだから。


「よく考えれば、落ち着ける訳がなかったんです」


 だから、自分の感情に従うのが正解だと錯覚しよう。

 ぶんっ、と軽く右手を振る。その手にはしっかりと、埃を被った金属製のバットが握られていた。備品の類いではなく、私物だったものだ。

 部長は無感動に目を細める。否、おそらくその頭脳は杏子を止めるための理論を組み立てているのだろう。感情を表に出して説得するのはもはや効果的ではないと感じて。

 本気の部長に勝てる訳はないから、杏子は強引に事を進める。


「先輩、今年度の美術部員の男女比率を知っていますか」

「……2:13、いや、3:13か」


 元女子校というのもあるが、今年は特に差が大きい。

 杏子は指で、金属の側面をつうっとなぞる。埃は剥がれ、鈍い金属の色が僅かに明瞭となった。


「べつに、ハーレムが悪いとは言ってないんです。 私結構ラブコメ好きですし、修羅場シーンも美味しく頂けますから」

「……おい、最後。 ……おーい」

「でも」


 そっと耳たぶに触れる。迷いを振り切ろうとするときの、杏子の癖だ。


「先輩。 命は友人なんですよ。 関係を崩壊させないでいられる、数少ない友達なんです」


 これでも、ね。と自嘲気味に杏子は笑う。


「いいですよね、ハーレム。 美少女に囲まれてきゃっきゃうふふですよ。 路地裏から包丁ですよ」


 部長は黙ってそれを聞いていた。


「だけど、命はだめなんです」


 彼女の特性がすべての理由で。


「『ハーレム体質』と『薄幸』の組み合わせに、ハッピーエンドなんて、大団円なんて、あるわけないじゃないですか」


 杏子は顔を歪めて嗤う。三流メロドラマな悲劇しか思い描けないのだから。もう、笑うしかないじゃないか。

 その笑みは、老朽化した校舎の壁に入ったひびの形だった。


 大福杏子。彼女の抱える状態異常の名は『崩壊者(クラッシャー)』。


「ああ……そうだな」


 アクセルは、いつの間にかけてしまったのだろうか。

 きっと彼女が動くのは確定事項。

 杏子はやんわりと部長の思考を”崩壊”させた。

 もう彼は同意を示すしかない。

 大豆日影は、虚弱特性部の最終手段を止められない。







◇◆◇◆◇







「以上が、あなたを襲う理由です」







 立木爽也は心臓を高鳴らせた。

 頬は明らかに紅潮し、わずかに震えさえ感じるほどだ。 

 人気のない廊下、薄暗い景色、古い木の匂いまでその感情を助長させる。

 冷静、平静、理性、保てそうにないものを並べ立てながら自身に言い聞かせる。


「……だめなの?」


 相手の潤んだ瞳は、こちらをしかと見つめ続ける。

 爽也はごくりと息をのんだ。


「いや、だめ、とか……」


 ——ああ、だめだ。これはもう、無理だ。

 感情はあっという間に決壊する。


 ——神様ごめんなさい。てかもう誰でもいいからとりあえず謝りたい。謝らせてください。


「頼むから!!」


 必死に彼女から離れようとあがく。

 いったい彼女は、何を思っているのだろうか。自分と同じように、その心臓は激しく脈打っているのだろうか。同じように、訳の分からない罪悪感を感じているのだろうか。


「そういうのは常識で判断してくれよ!!!」


 ——同じように、人としての感情はあるのだろうか。

 迫る。

 叫びながら、躊躇なく振り下ろされた金属から寸前で逃れた。


「へたれ」


 上級生であることを示す、スカーフのピン。

 膝丈のスカートは静かに揺れ、彼女は無表情のままに罵倒する。


「ああ、私の眼は曇っていたみたい」


 活発な印象を与える小さめなポニーテールも、その手に馴染みすぎるありふれたの金属製の道具も、はっきりと言葉を運ぶしかし抑揚のない声も、氷のように冷たいくせに激情を映す瞳も。

 ああ、全く。

 急激な運動による体温の上昇と生理的な恐怖からくる寒気で吐きそうだ。

 低身長な彼女は、かわいらしく小首をかしげる。


「ちょっと殴って、脳みそでもなんでもいいから”崩壊”させるだけですぐ済むのにね、後輩君」

「いや、まじで何言ってるのか理解したくないけどお断りっす、先輩さん」


 かわいらしいのは数秒前の動作だけ。能面のままで「かわいらしい」と形容していいのならばになるけれど。

 往生際の悪いことで、とでも言いたげに鼻で笑われるのは不本意だ。


 凡庸であることを自負する彼は身に余るこの事態を、まったくもって光栄なことだ、と内心で吐き捨てる。



 和やかな小休憩を終えて、襲撃は第二部へと入ろうとしていた。







◇◆◇◆◇







『アンコ、無理はするなよ』


 マイク付きのイヤホンから、心配性の声が流れる。

 いったいこれは何度目だろう。


「わかっています」


 棒読みのまま、廊下を突っ切る。

 この台詞も何度言っただろうか。

 マナーなどはガン無視して、スパイク付きのスニーカーは容赦なく木製の廊下に引っかき傷をつけていく。しかしそれは、僅かなものだ。


『旧校舎周辺はあらかた封鎖したけどな、くれぐれも気をつけろよ』

「何にですか?」


 部長の人脈と首尾の良さに違和感を覚えはするが、それほど気に求める必要性はないだろう。今更だ。


『あのなぁ、お前がミスったら停学ついでに部活動禁止だろうが!』

「…………」


 この人はきっと、阿呆なのだろう。まず部活ですらないということを失念するなんて。

 言葉を失い、眉をひそめる。なんだか著しくやる気が削がれた。


『おい、アンコ、聞いてるのか? おーい』

「あーっ、イヤホンがー」

『あ、ちょ、わざとだろっわざ——』


 緊張感のないやり取りに脱力しかけ、杏子は容赦なくイヤホンを引っこ抜いた。


「……ていうかキョーコですし」








「誰と話してたんだよ」


 ふと、頭上を見上げる。階段の上から、立木が顔をのぞかせていた。


「余裕ですね」

「だって相手の目的ぐらい知りたいと思うだろ、普通」


 はっ、と杏子は唇をゆがめて笑う。


「それが人にものを聞く態度ですか? 敬語を使いなさいな。け、い、ご」

「や、金属バット振り回すバイオレンスな人に、敬語使う方がおかしいと思うよ。 たとえ上級生でも」


 キレもしない、喚きもしない。

 杏子の迫力が圧倒的に足りないのか、立木が単に剛胆なのか。身近な人間サンプルが大豆ぐらいしかいない身としては容易に判断はできない。

 命は天使だ。決まっている。サンプルにするだなんておこがましい。


「まぁ……どうでもいいか」


 立木の言うことにも一理ある。何故襲撃者が標的に丁寧語を使う必要があるのだろう?


 さあ、まずは間合いを詰めることから始めよう。


 武術の心得なんて持ち合わせていない杏子は、正攻法の二段飛ばしで階段を駆け上がる。




 立木の余裕の面が崩れるのは、時計の針が一周する頃だった。






◆◇◆◇◆






「なんでこんなことするのかって? 理由は先ほど言ったじゃないですか」

「だから、それは理由になってないじゃんか!! 電波か!! 電波だよ!!」

「失敬な」


 追うものと追われるものの構図を保ち続けて、よくもまあお互いに息が続くものだ。純粋に体力馬鹿と言われてきた杏子でさえ、疲労の予兆を感じ始めているというのに。この状態で叫ぶのは、真性の馬鹿だろう。


 逃げもせず、隠れもせず、怒りもせず。模範解答を最初に示さずに挑発なんていう失格行為を見せた時点でげんなりとしたが、いい加減にかったるい。奇をてらったつもりならば、徹底すべきである。


「そうですね、あなたにでも納得できる理由を作るならば」


 こんな言葉に、お互い立ち止まるのはどうかしてる。


「なんかお前がうざくてしょうがないし腹立つからとりあえず殴っておこう、です」

「聞いた俺が馬鹿でした」


 ほら、どうかしていた。

 踏み出すのはほぼ同時。思考パターンが似ているなんて仮定が実証されてしまえば、嫌悪感で倒れそうだと考えた。


 孤高(ぼっち)を経験したが故に、杏子の執着心は自覚する程度にはひどい。だから正当な理由なんて、最初からあるわけがない。友人をハーレム要員なんかに引き抜かれたくない、それだけですべての行動の条件は満たせるのだ。

 結局は自己中心。部長に振るった熱弁を思い返して、(あざけ)った。



 無駄に俊敏な、立木(サル)の動きに合わせ、下半身は急速な方向転換を行う。行動分よりは少ない負荷だが、不快なのには変わりない。ぐっと奥歯を噛み締めた。

 ——ひるむな。利点ぐらい、全力で活用しないでどうする。

 賢明なことに立木は振り返らないまま、さらに角を曲がる。見失うものか、と無茶を承知でスピードを上げる。どこまでいってもいたちごっこだ。

 ——いい加減に飽きてきた。こんなことを繰り返して、いつになったら終わ


「——っ!!」


 視界が盛大に揺れる。久々の、生の衝撃は予想外の規模。死角から攻め込んできた対象は、そろそろ余裕がなくなっているのだろう。

 切迫。

 ゼロ距離。

 だけども、既に転倒した杏子には圧倒的に遠い。

 くらんだ視界の中で見た顔は罪悪感と驚愕に染まっていて、劇的に甘ったるい。

 ソレは明らかに怯んでいた。


「ごめん!!」


 しかし短い謝罪と取り返せるほどの躊躇ののち、走り出すあたりがさすがだろう。毒されてきた。立木は杏子に、杏子は立木に。

 背中は、あっという間に消えていく。


「……あはは、馬鹿みたい」


 ゆっくりと立ち上がり、間接をまわす。つけられたこの差は、慌ててどうにかなるものではない。

 あえて深呼吸とラジオ体操を二セットするぐらいの余裕が必要だ、なんて内心でほざく。本当はそんなこと、これっぽっちも思ってはいないけれど。


「加害者は、こっちなんですよ」


 丁寧語の方がしっくりとくる。感情を出しにくくて、淡白を装える。だから、好きだ。

 拳を握りしめて、少しの間考える。少年漫画的演出はどんな風だっただろうか、と。思い出したその瞬間に、一切合切の迷いなく拳を壁に打ち付けた。


 数秒の空白を作って、息を吐き出す。


 ——ああ、やっぱり痛くない。


 数ヶ月ぶりの外的要因による衝撃を思い返しながら、歩き出す。微妙に手加減はされていたのが恨めしい。


「こっちはそういう器用なこと、できませんからね」


 傷つきにくい床も、痣一つできない手も。

 杏子が崩壊(こわ)せるのは、形のないものだから。

 見えないものへ、手加減の仕方なんて分かるわけがない。







◆◇◆◇◆








 ——振り切った?


 残りの体力を振り絞り全力逃走の後に、立木はやっと後方を確認する。

 人影も足音も聞こえない。耳に入る音は、自分の荒い息だけだ。

 のろのろと階段付近の丁字路に身を隠して冷たい壁にもたれ掛かる。

 制服が汗でべっとりと張り付いた。

 まだ月曜日なのに、と軽く憂鬱に陥る。


「あー……理不尽だ」

「ええ、本当に」


「……はい?」


 恐る恐る階段の上に目を向ける。

 ほどけた髪も、埃で薄汚れたセーラーも、最悪のアングルから下ろされる視線も。

 最初に錯覚した可憐さとはほど遠い。

 立木の悪夢は夕日に染まって、赤らんでいた。


 一瞬何もかもが硬直したように感じる。

 お互い和やかに引きつった笑みを浮かべて、


 ——どうせ壊れないんだから、どんな無茶してもかまわないでしょ。


 そんな声が聞こえた気がした。


「らあああああああああああああっ!!!!」

「はぁ———っ!?」


 ダンッ、と床が抜けそうな音を発して、体勢は危険なほど無茶苦茶に、だけどもバットだけはしっかりと振り上げて、杏子が宙を舞う。

 否、落下する。


 幾多の選択肢が立木の頭を巡って、最終的に本能が「逃げろ」と叫び声をあげた。出口の方向はもう分かるだろう。

 ——だからだからだから


「ああ畜生っ!!」


 当たり前のように脚は動く。だからそう、簡単だ。

 あんな体勢で、まともに着地できる訳がない。

 だから受け止める。それだけだ。



 杏子の落下点へとずれる。直接的に振り下ろせないぎりぎりの位置に。方向を転換されるまでに。廊下が彼女の身体を打つその前に。

 意識はしっかりと、凶器に向けながら。


「間に合ええっ!」



 我が身可愛さと正義感を微細な配分で両立させて、立木は手を伸ばす。











 杏子が、笑った。

 そしてそのまま両手に握ったものを、高く天井の方まで放り投げる。


「は?」


 立木は唖然とした顔を見せて、ほんの一瞬視線が飛んだ。

 受け止めにくると、思っていた。

 立木の主人公補正(ハーレムたいしつ)に杏子は賭けた。


 立木の伸ばした手は間に合い、杏子に届いた。糖分過多で死にそうだ。

 もらった善意をかなぐり捨てて、開いた両手は立木の腕を拘束する。

 ——別に、バットで殴るとは言及していなかったよね?

 コンマ一秒に届くか届かないか、杏子の視線はそう語り、身体を、膝を、曲げた瞬間に。


「杏ちゃん……?」


 聞こえてはいけないはずの声が聞こえた。


「命っ!?」


 予備動作を終えた身体は既に止まらず、


「ぐふぇっ……!」


 立木の腹に膝が食い込むのと同時に、


「うそっ!!」

「え?」


 加減無し反動無視に放り投げた物体が落下の過程で、命の何かを崩壊させた。


「みことっ——!!!」






◆◇◆◇◆














 教室の扉の陰で、おそるおそる杏子は中を窺う。


「何やってんだお前」

「ひうっ!?」


 首と頬を軋ませながら、声の方を向いた。

 見飽きた陰気な顔色。


「先輩、何やってるんですか。 教室に帰りやがれですよ」

「その一、日本語がおかしい。 その二、意外に悲鳴が可愛らしかった」

「殴っていいですか」

「アンコが殴っても痛くないだろう」


 呆れた表情は絶妙に腹が立つ。

 少しばかりむっとして、杏子は言い返した。


「今日は納豆のタレの袋、開けれましたから」

「それ多分全然凄くない」


 静かに眼を逸らした。


「というかなんで来たんです?」

「いや、ちょっとした連絡」


 そういって、プリントを渡される。無駄に字の細かい予定表だったが、することなどまともに無いはずなので杏子は今回も熟読はしない。


「こんな時間に、よくいると思いましたね」


 杏子は基本的に、遅刻ギリギリまで登校しない。今日は特別だ。


「登校中に背中が見えたからな」

「声をかければいいものを」

「朝から走るなどという無謀なことはしない主義だ」


 ドヤ顔で言い張られても、特に何の感慨もわかない。

 いや、厳密には『数年前の先輩がこのことを聞けばどう思うのだろうか』なんて不毛なことを思っていた。


「とにかくそんなところで突っ立ってると不審者だから入れ……」


 大豆が扉を引いて——


多数の男子生徒に囲まれて(他学年の立木までいた)目を白黒させる白浦命の姿を空目、いや非常に現実味を帯びた景色を目撃


——ゆっくりと扉を閉めた。






「何だ、あれ」

「…………」


 杏子は顔を覆った。


「その、私が、命の状態異常を壊しちゃったみたいで、怪我は、無かったんですけど」

「あ、はい」


 大豆は微妙な相づちを打った。

 幸か不幸か、命は大豆の包囲を切り抜けてしまっている。落ち度のある身としては苦い顔をするしか無いのだろう。


「それで、なんか……状態異常に相殺されていた才能が出てきちゃったみたいで。 以前からモテてはいたんですけどね、美人ですから。 でもほら、何しろ壊滅的に間が悪いので……その」

「……うん」

「先輩、私将来の夢ができました」

「よかったな」

「サークルクラッシャーになりたい」


 あの空間を壊したい。杏子の眼が据わっていた。


「サークラ(物理)か。 平和的でいいと思うぞ。 胃に内部から穴が開きそうにない」


 大豆は陰からじっと立木を見つめる。


「……かなしいな」

「はい、悲しい事件でした」


 得体の知れない脱力感。


「先輩、何が見えます?」

「おそらく、アンコと同じものだ」


 二人の脳内にて、特定の単語が泳ぎ回る。

 

 『ハーレム要員(・・)体質』


「……」

「……」


 沈黙に押しつぶされそうだ。


「帰るか」

「先輩、授業です」

「もう疲れたんだ」

「はい、帰りましょう」

「声音変えて欠席連絡入れるか」

「相変わらず多芸ですね」

「そうだろう?」


 大豆はさっさと歩き出す。

 杏子は未練がましく、もう一度中を覗き込んだ。杏子に気づいた立木は、劇的に嫌な顔をする。まあ、それは当たり前だろう。

 しかし次の瞬間、はっと逆ハー状態の命が眼を合わせた。杏子は顔を引きつらせる。

 小さな間が怖い。

 そっと耳たぶに触れた。


 ——覚悟、決めとかなくちゃ。


 決意した直後に、



「(杏ちゃん、先生は誤摩化しとくね!)」


 口だけがそう動く。何故だか分かった。

 送られてきたのは容赦ないほどふわふわとした笑顔だったことに、少しばかり拍子抜けする。というか、サボリがばれている。恐ろしい子だ。


 サークルクラッシャーなどよりもたちが悪い杏子が人間関係を壊さずに積み上げられるのは、同じく状態異常を持つものだけ。

 だから命は、もう、どうなってしまうのかなんて。

 祝福もできずに自己中心的な杞憂を繰り広げていたのが、とても、馬鹿みたいだった。

 ——今度こそつなぎ止めればいいだけの話なのに。


 杏子は微笑み返して小さく手を振り、大豆の後を追う。





「先輩、アイス奢ります」





「おう」








 虚弱特性部の非生産的な日常は、今日も始まりを迎える。





















崩壊者(クラッシャー)』:悪役ロールプレイにハマると帰って来れない。尋問等に最適。常に孤高()の称号と隣り合わせで生きている。調子のいい日は布ガムテープぐらいなら、素手で楽に千切れる。



『モヤシ』:いろいろ能力は高い。だがモヤシである。


『薄幸』:かわいい。


『ハーレム要員体質』:辛い。

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[良い点] 豊富な表現力で場面の情景や登場人物の感情がありありと浮かんでくること。 作者であるさちはらさんの趣味と好みが全開の魅力的な登場人物達。 ストーリーも分かりやすく、かつ読みやすく工夫され…
[良い点] 虚弱特性とみせかけて、虚弱+特性というのは意表を突かれました。 [気になる点] >「おまっ、僕の金だからなっ!! 即ち驕りだぞ! 遠慮しろ!」→奢り >「だいじょぶです。 私は整理整頓の…
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