現場検証
午前十時。喜田参事官と北条検視官と残りの捜査官は東都大学の現場に臨場した。
北条はまず検視をした。
「死亡したのはおそらく昨日の午後九時から十時の頃だろう。死因は射殺。司法解剖をしないと詳しくは分からない」
射殺と聞き中林は驚いた。
「射殺は無理ですよ。このホールはテロ対策で、たばこ一本の煙でさえ火災報知機が作動します。拳銃だって使用したら煙がでるでしょう。もしもこのホールで射殺したら、火災報知機が反応して巡回中の警備員がホールの周りを固めて犯人は警察に現行犯逮捕されています」
「密室殺人に不可能犯罪。かなり大きな事件に発展しそうな雰囲気ですね。それで犯人から挑戦状が届いたって言いましたね」
「はい。今流します」
木原はフィルムを回して、予告編を見せた。映画が終わり喜田は感想を言った。
「挑戦状ですか。面白い。今が十時二十分だから後四十分で予告編が公開です。北条。このフィルムを鑑識に回してください」
「はい」
北条は大森の遺体を警視庁に運んだ。そして木原は中林に聞いた。
「鍵は一つだけですか」
「いいえ。合い鍵がもう一つありますが、清水さんがホールの鍵を取りに来た時には二本ともありました。証拠は職員室前の防犯カメラです」
刑事たちは監視室に移動した。防犯カメラによれば昨晩の午後七時に清水美里が職員室に鍵を取りに来た。午後十時に挙動不審の男が映っていたので木原は中林に聞いた。
「この男が朝倉ですか」
「はい。この人です」
「つまり鍵を返したのは朝倉さん」