とある弁護士の報告
その頃菅野は千間に報告をした。
「今回の事件の真相は、実行犯は朝倉。黒幕は我々の見解通りあいつらでした。あいつらは朝倉を利用し、爆弾事件で世間の注目を浴びた。そしてその罪を朝倉に着せた。その目的は赤い落書き殺人事件の裏にあるもの表に引きずり出すこと。斉藤一派は既に真相を掴んでいました。まあ一派は壊滅しましたから心配はありません。組織名。退屈な天使たち。六年前から音沙汰がなかったが、復活したらしい」
「なるほど。おもしろくなってきました。では対策本部を設置しますか。彼らは殺人だけをするとは限りません。テロもすれば強盗もします。だから対策を一課だけに任せる訳にはいきません」
菅野の意見に千間は反対した。
「対策本部か。反対だな。奴らは水面下で暗躍して事件を利用するから表舞台には姿は現さない。つまり奴らを表舞台に引きずり出す程の実力のある刑事がいなければ対策本部の意味はない」
「では忘れましたか。七年前のある強盗殺人事件の犯人がどうなったか」
その事件はある資産家の家を強盗が襲い一家全員の命を奪った事件だった。その事件の犯人は半年後逮捕された。主犯の男の供述である組織の関係者の名前が浮上した。その人物の自宅を警察官が訪れると何者かにより殺害されていた。
「奴らを表舞台に引きずる出すことなんて不可能です。表舞台に出るくらいなら集団自殺を選ぶさ」
「では奴らを表舞台に引きずり出す程の実力のある刑事が現れたら対策本部を立ち上げるという結論でどうですか」
「そんな刑事がこの日本にいるのか」
「該当すると思われる刑事が五人います。彼らなら奴らを潰すことも可能だと思います」
「随分曖昧な答えだな」
「彼らは未完成の存在ですから。ところで国枝はどうなったのでしょうか」
「知らないな。指名手配はしたからすぐに逮捕されるだろう」
千間は煙草に火を付ける。




