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とある籠城犯の事情聴取
十四時。渋谷署の刑事大野は立て籠り犯の事情聴取をしていた。
「だから金が欲しかったんだ。結婚詐欺師に騙されて一億円の小切手が盗まれた。商談に使うはずの小切手だ。この事実がばれて俺はリストラされた。一億円を手に入れて挽回したかった」
供述を述べると取り調べ室に大野の上司加納が入室して一枚の写真を見せた。
「容疑者だ。この女を渋谷駅で見なかったか」
大野は驚愕した。
「本当に彼女が容疑者なのか」
「ああ。防犯カメラに偽物の不審物を仕掛けた所が写っていた。それだけではない。偽物の爆弾を仕掛けた場所に必ず出没している」
加納は立て籠もり犯に写真を見せた。
「俺が人質にした女だ」




