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そして彼は躊躇することなく射殺した
「悪いね」
朝倉は銃口を大森の心臓に向ける。大森は冗談だと思ったが彼の表情は本気で殺そうとしている顔だ。
「冥土の土産に教えてあげる。この傘は硝煙反応対策。このホールは煙草一本の煙でさえも火災報知機が反応する。そうなれば警備員が来るでしょう。ここで終わりにしたくはないからね。現行犯逮捕なんてしたくないの」
大森は震えた口調で聞いた。
「なぜ殺人をする。あなたはこのバンドの理解者ではないか」
「復讐だよ。・・」
朝倉は残酷な真実を大森に告げる。そして彼は躊躇することなく大森の心臓を狙い射殺した。火災報知機は鳴っていない。彼は薬きょうを拾いホールに鍵を掛けてどうどうと出ていった。
その時彼は知らない。裏でうごめく陰謀と水面下で進行している劇場型犯罪の存在を。