復讐に燃える仲間たち 前編
半年前。私は病院にいた。田中隼人が投身自殺をしたからだ。救急車で運ばれた時は意識不明の重体だったが、今息を引き取った。田中隼人と私は師弟の関係だった。公園のベンチで号泣していると一人の女性が声をかけた。彼女の名前は朝日奈恵子。
「あなたが朝倉武彦さんですか」
「はい」
「探しました。同じ境遇の人を。私の彼氏も投身自殺をしました。あなたの弟子も同じ日時に同じ時刻で同じ方法で自殺をしたと刑事さんに聞きました」
「それで同じ境遇の俺を見つけてどうする気だ」
「復讐です。分かるでしょう。たとえ他殺じゃなくても大切な人に自殺をさせるまで追いつめた友人に復讐しなくては気が治まらないという気持ちが」
彼女はメモを渡し去った。
「復讐したくなったら連絡してください」
その翌日警察の捜査で遺書が見つかり自殺で処理された。そして遺書が送り返されたので読んだ。字は心を映し出すと本で読んだことがある。その字からは不安や苦しみが伝わってきた。そして彼女の気持ちが重なった。自殺に追い込んだ友人に復讐をする。決意を紙に殴り書きをしてから彼女から渡された紙に書いてあった電話番号に電話をした。
「朝倉です。一緒に復讐しましょう」




