ワーカホリック
初めまして、ぷにすけと申します。
文章など碌に書いてこなかったうえ、小説も大して呼んでこなかったので文章の読みづらいことこの上ないと思いますが、この駄作を読んでいただける方がいてくださればそれだけで私は幸せです。
「私たちは会社の一員として働けることに感謝し、自身と社会の幸福のために貢献します。」
午前7時半、朝礼で社訓を読み上げて一日が始まる。暗く、重く、無益な一日。
大勢のうらぶれた社員がヘドロのように流れ込んだ会議室には、いつも鈍色にすさんでいる。
そのヘドロの中に今年、また新しい漂流物が流れ着いた。
その名は田村陽一、23歳。今年大学を卒業したばかりの人間である。
そこそこの家庭に生まれ、生まれてから苦労を一つもせず、なんとなく大学を卒業したその面はあからさまに世間をなめている。
今までなまじっか人生がうまくいってしまったがために、彼は就活をろくにしていなかった。
高校も大学も大して勉強せずになんとなくでまあそれなりの、ちょうど真ん中くらいの学校に行けてしまった。
人間関係もそうである。彼は何となく友達がいて、孤独を味わったことがない。
そんなザマであるからなめた面をしているのは当然の帰結であろう。
当然彼は就活などなめ腐っているわけだから、同期が必死にインターンを受けだした大学2、3年を怠惰と堕落に費やしてしまった。
この田村陽一は何となくうまくいってる現状を自分の実力と勘違いしているので、まあ何とかなるだろうという何にも基づかない自信とそこからくるプライドだけに支えられていた。
彼は今までバイトもろくにしてこなかった。自分が少しでも合わないと思えばすぐにやめるし、自分が傷つきたくがないゆえに退職の連絡すらもできないのに。
そんな彼にもさすがに焦りの色が見えだしたのは4年生の8月、もうすでに彼の周りは全員内定を持っていた。
いい加減現実を見なければならない、人生の夏休み真っ只中だった彼にも徐々に31日が見えてきたのだろう。
同期の人間が内定を根こそぎ刈り取っていったぺんぺん草も生えない就活戦線の中でも、彼は内定を勝ち取ってしまった。
バイトもろくにせず、社会に全くと言っていいほど揉まれなかった彼には当然会社の良し悪しなど見分けがつくわけないのであるから、自分のためというよりかは他人に追いつくため、社会に置いて行かれているというひた隠しにしてきたコンプレックスを癒すための内定であった。
自動車免許もなく、持っている資格といえば高2の時に取った英検二級くらいしかない何の能力もない人間がそれでも内定をとれるのだから世間の言う人手不足は相当なものなのだろう。
またしても人生の岐路を何となくで通過してしまった彼はいまだ世間を、人を、社会を、わかったようなふりをしてなめ腐っていた。
何をしていようが時間というものは過ぎ去っていくもので(当然彼は何もしていなかったが)、とうとう彼は4月1日を迎える。
へらへらしながら入社式を終え、なんとなくのコミュニケーションを図り、ふんわりと一日を終えた彼には今後の自分など見当もつかなかった。




