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心がロボットになったからもうだれも好きにならない?じゃあなんでそんなに泣くんです?  作者: 猫の集会


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どうして

 ひょんなことから、同席しているこの三人の女性。

 

 なんだか…おかしい。

 

 というか、秘密がありそうだな。

 

 事件のにおいがしなくもない?

 

 そもそも、いきなり美人女性が彼氏募集中なんて、おかしすぎる。

 

「あの、菜央さんには…その…彼氏がいないんですよね?」

「いないよー。今は(・・)

 芽依さんが答えた。

 

 今は?

 

 なぜあえて今は、と言ったのだろう?

 

「いますよー。ボクが菜央さんの彼氏でーすっ‼︎」

 お酒ののみすぎで、顔を赤くした友希斗が手をピーンとあげた。

 

「おめでとーー‼︎」

 芽依さんが、あとに続くように拍手した。

 

 完全にこの二人は、出来上がっている。

 

 でも、その方が話が早く進む。

 

「あー、ねぇねぇ、ねねね、きみは彼氏いないー?」

「わたし?いないー。いないいないばぁパァキャハハ」

 

 もう、友希斗と芽依さんは人の話すレベルじゃなさそうだ。

 

「ケイジさんって、どんな漢字なんです?」

 優花さんは、とにかくボクの名前に興味津々っぽいぞ。

 

「優花…いいって」

 

 小声で、菜央さんが優花さんにそう話す。

 

 たぶん…

 ほんとにボクの名前を知りたいのは、優花さんじゃなくて、菜央さんの方なのだろう。

 

「カタカナです」

「へ、へぇー…」

 

 そう返事しながら、優花さんは菜央さんをみた。

 

 菜央さんは…

 

 また涙ぐむ。

 

 もしかしてこの人…

 

「あの、仕事は?菜央さん仕事は、なにをなさっておりますか?年齢、住所教えていただけます?」

 

 あ、つい…口走ってしまった。

 

「え〜、なんか職質されてるみたい〜。菜央を逮捕しないでくださいね〜。ふふ」

 芽依さんがそう言って笑った。

 

「あの…仕事とか年齢くらいなら…まだ譲歩できなくもないですが…住所って、どうして…」

「すみません…つい職業病的な感じで…今の質問は、忘れてください。」

「ちなみにケイジさんのお仕事は…?」

 またも優花さんがまえのめりで質問してきた。

 

「あー、公務員です」

 

 …

 

「公務員さん…?」

 菜央さんが首を傾げた。

 

「あ、それより‼︎ここのタコの唐揚げ美味しいんですよ。ご馳走しますので頼みましょうよ」

「え、なに?ご馳走してくれるんですか?やったあ」

「やったあ」

 芽依さんと友希斗が喜んだ。

 

 

 この二人…

 

 意気投合してる…?

 

 友希斗…菜央さんは、いいのかよ⁉︎

 

 

 友希斗と芽依さんがこのままじゃ、どんどん酔ってしまうので、タコ唐をたべて、この辺でお開きにすることになった。

 

 芽依さんと友希斗と優花さんは、方向が一緒だったので、タクシーをひろい優花さんに二人は、お願いした。

 

 で、ボクと菜央さんは方向が一緒だったから、二人きりになった。

 

「では、帰りますか」

 ボクの声に頷く菜央さん。

 

「はい。でも先にひとつだけいいですか?」

 菜央さんの表情が少しキツくなった。

 

「なんでしょうか?」

「あの…わたし、だれも好きになりません。だから、あの芽依が書いた紙は…ただの紙なので、本気にしないでもらいたいんです」

「うん。わかっています。大丈夫ですよ」

 

 タクシーを拾おうと、少し大通りに出たとき、菜央さんがボクに言った。

 

 いや、たぶん…

 

 ボクには、聞こえていないのだと菜央さんは…思っているはずだ。

 

 でも、聞こえてしまった。

 

 その言葉は…

 

「ケイジ…」

 だった。

 

 菜央さんは、なぜ…なぜ、ケイジとよんだのだろう?

 

 そんなさみしそうな顔で…

 

 今にも泣き出しそうに…

 

「あの、菜央さん…」

「はい…」

「もしよかったら、教えてもらえませんか…?」

「…な、なにを……ですか?」

「あなたの秘密を」

 

 菜央さんは、驚いた顔をして目を見開いた。

 

「それは…できません」

「そうですか。ごめんなさい…無理矢理初対面の人にそんなこと言われてもですよね…ほんと、すみません。不法侵入しました…」

「えっ⁉︎だから、さっき住所を⁈」

「いえ、心の不法侵入です。」

「あぁ。泥棒なのかと思いましたよ」

「まぁ、ある意味泥棒かもしれません」

「それは…どういう…」

「時間泥棒ってところですかね。ボクなんかと話している菜央さんの、無駄な時間を奪ってしまって。」

 

 …

 

「いえ、そんなことありません」

「なら、よかったです。」

「…さっきの話ですが…ひとつだけ…ひとつだけ、いうとするならば、わたしはだれも愛しません。これから先、ずっと…もう、だれも信じません。人は、身も心も腐る生き物なのです。」

 

 菜央さんの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

 

 菜央さんの心は、きっとケガをしている…。

 

 このまま放っておいたら、ケガがどんどんひどくなるような気が、その時したんだ。

 

 だから、友達も…ちょっと強引ではあったけど、あんな行動にでたのかもしれない。

 

 

 三月の夜風は、少し寒さがありつつも、どこかあたたかみのある風だ。

 

 きみの過去になにがあったのかは、わからない。

 

 でも、これから先をきみと歩んでいきたい。

 

 きみの過去ごと、ボクが包み込んであげたい。

 

 不思議とそう思ったんだ。

 

 春風みたいに、優しくきみを包み込むことができたら…

 

 きみは、もう泣かないで笑ってくれるのかな…

 

 

 続く。

 

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