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なでな寺僧侶の覚醒

ごとんと、後ろから大きな音が鳴った。

後ろを見てみると家のドア側の壁が一刀両断されていた。

何という、威力なのだろう!

もしもあたしがパジャマを着ていなかったらあやうく、一刀両断されるところだったかもしれない。あたしのパジャマはチャイニーズ製だっただろうか?

これが中国三千年の力かと内心感心していた。

「名を名乗っていなかったな、私の名は六大魔王がひとり、カナルサンド様の直系魔王軍四天王魔人ザナークだ!」

魔族が言った。あたしは混乱していてどれが名前でどれが肩書なのかがよくわからなかった。

とにかく相手は敵意むき出しのようだ!にげなくては、いけないと思うのに足も手も緊張で動かないままだ。冷汗が額をつたう。

「名乗ってはくれぬのか?かなしいな!貴様の風体を見る限り、身体能力が高いようには見えん。

物理的攻撃処理するべきか?」それを言い終わって一歩踏み出したかと思うとその瞬間ザナークの顔面が私の鼻の先数センチのところにあった。

「どわーー」あたしが驚き、叫んだ。

「ふん、その慌てようやはり物理的防御力は大したことないようだ!」

魔人があたしに向かって振り上げた左手を振りかざす!

反射的に寿司をなでたほうの手で受け止めるような形になった。ちなみに寿司をなでたのは右手だ。

目を開けられずにいると、

「ぐぬぬ」といったのはあたしではなく、

魔人のほうだった。

目を開けると魔人の左手が吹き飛んでいた。口から紫色の血を噴き出している。

「あの慌てるようなしぐさはフェイクだったか。

陽属性の究極極大魔法を右手に集約させていたのだな!」

何かよくわからんことを、ぺらぺらザナークは言っていた。

だがあたしが優勢らしい?これはz世代のネット仕込みの煽りの見せ所だ。

よくも怖がらせてくれたな!

「やーいやーいざーこざーこ

なにが、直系四天王だよ!家系ラーメンじゃねえんだからさ!

ていうか、肩書なげーよ私呪〇廻戦より鬼滅〇刃派だからさ10文字でまとめてくだーさい!」

「ぐっは」ザナークはまた大量の血を吐いた。

そして数回痙攣した後動かなくなった。

恐る恐る近づいた。死んだのだろうか?私が殺したのだとしたら魔族とはいえど生き物なのだから?

少し寝ざめが悪い。確認するために恐る恐る近づいた。

「かかったな」

その瞬間あたしの首が残ったザナークの右手で絞めつけられていた。

「やはりな、あの魔力量さすがに体全体にまとえるというわけではないようだな?

お前が馬鹿でよかったよ!」ザナークが言う。

その瞬間一瞬で気を失いそうになった。

だが、

「うおりゃー」この野太い声は先ほどの片腕の老人だ!

この家に立てかけられていた斧でザナークの右手に切りかかった。ザナークの右手をバサリとはいかなかったが、

「ぐ」その瞬間ザナークの力が緩んだ。そこで最後の力を振り絞りザナークの右手を私の右手でなでなでした。

本当は殴ってやりたかったけれど力が入らずなでなでするのが限界だった。

そうすると今度は右手が跡形もなく吹き飛んだ

「グワぁーダ」言葉にもならないような叫び声をザナークは上げた。

ザナークの体はかさぶたのようにボロボロになり、みるみる縮みやがて首だけとなった。

「ローウェン貴様私の戦いの邪魔をするか!」ザナークが哀れな姿で言った。

「あなたの邪魔をしたのではありません。私よりは強いかもしれないけれど、まだ彼女は幼いただの子供です。

さっきの言葉通り生贄私一人でいいその覚悟を持って立ち向かったのです。これが人間の美徳というものです。」その老人は右腕が切断されているのにもかかわらず子供に諭すように穏やかに言った。

するとザナークは苦虫を嚙み潰したような顔で歯ぎしりをした。

これが大人というものか、とあたしは感心した。あたしは大人というもの信用してはいなかった、というか見下していた、冷笑していたかもしれない。

あたしはこのザナークから大した実害を受けたわけではない。

だがボロボロになったザナークを煽り、馬鹿にした挙句の果て油断し反撃をくらい死にかけた。

これでは、私の炎上を蔑み馬鹿にしてきた大人たちと何ら変わりがないではないか、

そんなことを考えているとバタンと大きな音が鳴った。

老人が倒れた。

「だいじょうぶですか?」

気絶しているのだろうか?出血の量もひどい、恐る恐る近づき脈を確認した。

脈が止まっている。

「その男死んでいるぞ」ザナークが笑顔でも怒りでもない顔、首と顔だけの無表情でそういった。

「わかっているよ」あって間もない老人が死んでいる。

ただそれだけのことなのに、なぜかとても悲しい気持ちになってしまった。

この老人が見せてくれた人間としての教示がなければ、運の悪い老人だなと思うことはあっても、悲しいという気持ちは湧き出てこなかった。

「貴様は自分の身を心配したらどうだ?その男の行為を無駄にするつもりか、これだけの騒ぎやがて、魔族の偵察が来る可能性がある。逃げたほうがいいのではないか?」

「それでも、ここで感傷に浸らないと人間ではない、そこのおじいちゃんが教えてくれたんだ。

死してなお、示したんだよ人間の美徳というものを、、、」

「美徳か難しいな人間というものは、」

「簡単だよ人間なんて」私はわかったような口をきいた。

「そうか」











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