Aランクギルドの長ライオの獅子王の紋章発動。魔王軍四天王ザナークの千連巨大魔術詠唱!
「案外この者は肥料にはなったかもしれんぞ、人間ではなく、この私魔王軍四天王ザナーク様のな」魔王軍四天王ザナークは口角をにやりと上げて不気味な笑顔で言った。
「なに?」マルルはこの戦闘において、初めて本音で言葉を出した。
「ザナーク様は魔力切れを起こして倒れていたのではないのですか?」マルルがまた無邪気な笑顔に戻り質問した。
「それについては、僕の獅子王の紋章の効果で踏み倒させてもらったよ、」鎧を着たザナークの後ろから、Aランクギルド獅子王の集いの長であるライオが笑顔で出てきた。一緒に二人についてきていた、あたしもザナークの後ろから様子をうかがうように顔を出した
時は、マルルがリズをサンドバッグのように滅多打ちにしているところまでさかのぼる。
「まずいよライオさん、リズさんが何度も何度も、何でリズさんのほうがさっきまで強かったのに!
このままじゃ、もう、、」今にも消えそうなか細い声であたしが言った。
「大丈夫だよ、リズは絶対に負けない。それに準備ができた。」ライオさんが大きく息を吸い込んだ。
「獅子王の紋章発動 発動魔術 超古代自然回復呪文 第10魔層 生命の泉 対象 魔王軍四天王 ザナーク」
そういうと、ライオさんの後ろにできた魔法陣から緑色のホタルのような光が出てきて、ザナークの体の周りにくっつく、そして次の瞬間魔力切れにより気絶していたザナークの小指がぴくっと動いた。
獅子王の紋章の効果は、どんな魔術でも一つだけ魔力量や魔力制限を無視して使うことができる。それは使用者当人が使えない魔術であろうとも、その魔術を使える生物が獅子王の紋章に魔術回路をストックさせれば使用可能だ。
ライオがストックさせた、魔術は氷の大精霊 ダイヤモンドブリザードの秘術である生命の泉。効果は対象の魔力制限開放。
ザナークは寿司なで少女と契約を結んだことにより、自身の魔力が低減していると表現していた。
だがこれは正確な表現方法ではない。実際にはザナークの魔力は減っていない。どんな生物にも魔力量のほかに魔力制限というものが存在し、寿司なで少女との契約でその魔力制限の幅が寿司なで少女が扱える範囲にまで狭まってしまったのだ。だからザナークは今回の戦闘において魔力切れではなく魔力制限による反作用を起こし気絶した。
つまり獅子王の紋章に刻まれている生命の泉を使えばザナークを復活させるどころか魔王軍四天王ザナークの全盛期まで魔力出力を一時的に戻せる。
「起きたかい?」ライオさんが笑顔で聞いた。
「おい起きたどころではないぞ人間、私は覚醒てしまったぞ。」ザナークは口角をあげながら魔族としての覚醒を感じていた。
「これはもともとリズかバウアーに使うつもりだったんだけれど、この魔術結構な出費だったんだよ」頭の後ろに手をやりながらライオが呆れた顔で言った。
「代金は何で払えばいい?」ザナークが分かり切ったように聞いた。
「天海衆第三師団団長の命30億個で手を打つよ」笑いながらライオさんが言った。
「ほう、安いな」ザナークがかっこつけながら言った。
「うお、なんかザナーク起きた」あたしはそんなこともつゆ知らずただただ驚いていた。
「なるほどそういうわけですか、面倒ですね。もう少し寝ててくださればもっと早く終わったものを、
けれど本領を発揮したあなたとまた久しぶりに死合えるわけですか、胸が躍りますね。」マルルは今日一番に口角をあげた笑顔で言った。
マルルはこの時本心から 「魔術封殺呪文 最終の刻」があと少しでたまるという焦りよりも、また全盛期のザナークと戦えるという喜びのほうが勝っていた。
「おいおまえは一つこの戦闘でミスを犯している。」ザナークが上司が部下に説教をするように、ゆっくりといった。
「ほう?なんでしょうか」マルルは教師に叱られている最中の子供のように単調な返答をした。
「お前 業 インカ を展開しているな」ザナークが死刑宣告でもするみたいに言った。
ここで一瞬静寂が流れた、
これより前リズとの格闘戦を制すためマルルは確かに物理逓減呪文「業 インカ」を展開していた。
この時のマルルは業 インカに対する、さまざまな情報が脳裏を駆け巡った。物理逓減魔術「業カルマインカ」は対象範囲の物理攻撃の威力を少しずつ下げていく高速展開可能な汎用高等魔術。しかしこれには、いくつかの制約と弱点がある。例えば一度業インカを使うと10分ほど業インカを解除できないことなどだ。
そして、物理逓減魔術「業カルマインカ」の最大の弱点は対象内の物理攻撃の効果を抑えれば抑えるほど魔法攻撃の威力を高めてしまう。
業インカは物理攻撃の威力を百分の一ほどにまで逓減できる。その代わり魔法攻撃の威力を百倍ほどまで高めてしまう。
「これが、貴様の業だ、少し人間をなめすぎたな」ザナークが笑いながら言った。
「ちょっと待ってください話せばわかりますよ、同じ魔王軍四天王のよしみじゃないですか、少しあと少しでいいから待ってください。」マルルがいきなり動揺したように言った。
「いいや、打つね、時間は有限だからな」ザナークが言った。
「千年生きているくせに固いこと言わないでくださいよ。先輩」マルルが泣いているような、ハンドジェスチャーをしながら言った。
「千年生きているからこそ、ここぞというときの時間の重要性は身に染みている。相対性理論というやつだ」ザナークが淡々と言った。
「なんですかそれ?」マルルが聞いた。
「知らん、特に意味はない。どんな言葉も音から生まれた記号にすぎん、意味を求めるな。私は言いたいことを言いたいときに言う。
普段の俺ならば魔力制限がなかったとしても、巨大魔術の連続詠唱は10連ほどが限界なんだがな、今回はお前の大出血が見たいがための大サービスだ。」ザナークが無慈悲に言った。
「1000連巨大魔術詠唱開始」巨大な千を越える星々のような魔法陣がザナークの真上の空に一瞬にして広がった。




