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夏祭り、君と僕

作者: 山口甘利

 彼女との出会いはバイトだった。

 都内のとあるファミレスで僕たちは知り合った。

 最初はただのシフト仲間だった。だけどいつしか、僕は彼女のことを目で追っていた。


「今週の日曜日、みんなで花火行かない?」

 バイトのグループLINEが騒がしい。グループLINEには、明るいムードメーカーの青山なぎさ、物静かな望月佳奈、真面目な藤本紗奈、そして僕が一目惚れした雪村一花、そして僕ー川口蒼空の5人だった。

 僕たちは高校2年生で、入った時期が近かったためすぐに仲が良くなった。

「今週の日曜日、みんなで花火行かない?」と一花がメッセージを送った。

 すぐになぎさが、「もちろん!浴衣着る?」

 それに続いて紗奈が「着る!」

 少し経って佳奈も「行きたい!私も着る!」と続いた。

「じゃあ決まり!蒼空君も来れる?」と一花が僕に聞く。

「うん、楽しみにしてる。」そう送って、LINEは終わった。一花は浴衣で来るのか、どう褒めれば良いのか分からない。


 前日、僕は眠れなかった。どんな話をしようか、どんな服で行こうか、いつの間にか眠りについていた。


 18:00。集合していた場所に着くと、一花以外はもう着いていた。

「お疲れー今日は男子1人でごめんね。でも楽しも!」と明るくなぎさが言ってくれた。

「うん、一花はまだ着いてないの?」

「うん、そうみたい。もうすぐ着くと思うよ。」と紗奈が言う。

 緊張が止まらない、目が合ったら何を話せば良いのだろう。そんなことを考えていると階段から白のブラウスに淡いブルーのジーパンの一花が来た。つい見惚れてしまった。。

「ごめん、遅くなって。」

「全然大丈夫だよ。それより今日は浴衣で来なかったの?」と佳奈が聞く。

「うん、良い浴衣が見つからなくて。まだ花火まで時間あるし、屋台回ろっか。」と言い、僕たちは頷いた。


 屋台はどこも人が多かった。焼きそばの香ばしい匂い、りんご飴やあんず飴の甘い香り、その中を一花は僕の少し前を歩いていた。

 少し経つとなぎさと佳奈、紗奈が「金魚すくい探してくるね」と言って、別行動になった。僕と一花は2人きりになった。

「何かしたいことある?」と落ち着いて言う。緊張する。。。

「うーん、ヨーヨー釣り行こうよ。」

「いいねー行こっ!」そう言うと一花は笑顔を浮かべた。


 ヨーヨー釣りの屋台に行くと、なぎさもいた。

「なぎさ何してるの?みんなは?」

「それが逸れちゃってー仕方ないからヨーヨー釣りしよっかなって思ってさ、2人もする?」

「うん、一緒にしよっ。」そう言い、3人で並んだ。


 順番が来て、僕はすぐに取れた。2人を待っている時に僕は無邪気な笑顔の一花を見て、決意した。

「ねえ、一花。」

「ん?どうしたの?」と一花が振り返る前に、一花の手を取り走った。人混みをすり抜け人が少ない所に出た。今頃なぎさは急に消えたことに困惑しているだろう、ごめん。

「蒼空君、急にどうしたの。」と少し照れくさそうに一花が言う。

「ねえ、一花僕と一緒に花火見てくれないかな?他の誰かじゃなくて一花が良い。良いかな?」顔を真っ赤にして僕は目を見て言う。

「うん、私も蒼空君がいい。」そう一花が言った直後後ろで花火の音が聞こえた。

 僕たちは横に並び手を繋いで見た。隣を向くと一花と目が合い、お互いにクスッと笑い合う。


 花火はすぐ終わった。最後に一つだけ言いたかったことがあった。

「次は2人で来ようね。」

「うん。」

 2人は手を繋いだまま、屋台に溶け込んでいった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

自分の理想を詰め込んだ、夏祭りの恋の物語。

これがいつか現実になったらいいなと、今もどこかで夢見ています。

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