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更に予想外

授業が全て終わりみんなが帰り出した。俺も帰るか。


そう思いながら机の横に掛けてあったカバンを取る。立ち上がろうとした時、声が掛けられた。


「蒼緋、今日一緒に帰ろ」


「高嶋さんが帰りを誘っているだ…と?」


「本当にどういう関係なんだ…?」


「俺も誘われたい…」


おいおいおい。本当に何考えてんだ?


「旭…友達はいいのか?」


俺がそう言うと旭はあっさりと答える。


「うん。みんなに今日は蒼緋と帰ってもいいかって聞いたら全然いいよって言われたから」


「そ、そうなのか…」


いいヤツらだな。さすがカースト最上位の女子達だ。


「ね、いいでしょ?」


「別にいいが…」


「じゃあ行こ?」


そう言って俺は旭に連れられる形で教室を出た。その時、清水と目が合ったが何故かすぐに逸らされた。なんでだ?


だめだ。本格的に旭が何を考えているのか分からない。どうして急に俺に関わるようになったんだ?それも過剰な程に。


「お、おい旭。いきなりどうしたんだ?」


「んー?何がー?」


廊下を歩くだけで沢山の生徒から注目されている。改めて旭がどれだけ遠い存在なのかを実感する。


まだ学校の中を歩いているため口調は素に戻っていない。今旭に何か聞いてもきっとはぐらかされるだけだ。もう少し待って聞いてみるか。


俺たちは下駄箱で外靴に履き替え学校の外に出た。


「旭、そろそろいいだろ?」


「…」


旭は周りを警戒するように見渡す。


「ふぅ…そうね」


誰も居ないと分かってからは旭の纏う雰囲気が一気に変わった。先程まではほんわかした雰囲気を纏っていた旭だが、今はどこか冷たい印象を受ける。それでも美人であることには変わりないのだが…


「それで?なんでいきなり一緒に帰ろうなんて言い出したんだ?」


旭は少し考える素振りをしてから話し出した。


「…そうね。私の素を知っているのは蒼緋。あなただけなの」


「やっぱりそうなのか…」


昨日の会話で何となく察していたが、旭は俺以外の誰にも素を見せていないらしい。それを少し嬉しいと思っている自分がいることに気持ち悪さを感じた。旭は素を出せずに窮屈な思いをしているというのに俺は嬉しいと思ってしまっている。自分勝手で嫌な奴だ。


「だから要はストレスの捌け口になってもらおうと思って」


「あぁ…そういうことか…」


若干期待していたのは事実だ。もしかしたらただ俺と帰りたいだけなのかもしれないなんて思っていたがさすがにそれは違ったようだ。つまり俺を利用したいということだな。


「ダメ…かしら?」


旭が不安そうに俺を見てくる。


「いや、別にいいぞ。それで少しでも楽になるなら好きに使ってくれ」


俺だって自分勝手に考えている。多少複雑に思ってしまうがそれでも旭とまた話せて嬉しいのだ。もう恋心は捨てたはずなのにな。


「え?ほ、本当にいいの?」


旭が驚いたような顔でそう聞いてくる。


「あぁ、いいぞ。あ、でも俺にも予定がある日があるからその日は無理かもしれないぞ?」


こんな俺でも予定がある日がある。そう、委員会という予定がな。


「え、えぇ。もちろんそれはそっちを優先して貰って構わないわ。そ、それ以外の日なら…」


「何時でもいいぞ」


そう言うと旭はわかりやすい顔を明るくさせた。


こういう表情がすぐに変わるところなんて小さい頃から全く変わっていない。それを見ると少し懐かしい気持ちになる。

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