かえりみち
駅からの帰り道、普段は人気のない神社前で夜店に出くわした。
有志による小さな催事だった。たこ焼き、焼きそば、フライドポテト。りんご飴にチョコバナナ、綿菓子もある。ビールはないようだ。
ひょっとこの面をかぶった店主からラムネを買い、その隣でイカ焼きを買って座りもせずにかぶりついた。咀嚼しながら喧噪を後にする。
「ただいま。すぐそこに夜店が出てたぞ」
出迎えの子供たちに土産を渡すと、子供たちは不思議そうな顔をした。
「パパ、お酒臭ーい。ママに怒られちゃうよ」
リビングに駆け込む子供たちの手には渡したばかりのコンビニのレジ袋。物の怪に化かされたか、それとも酔いから見た夢か。
首をひねりながら、幼い二人の後を追う。
第15回 毎月300字小説企画、お題は「酔う」でした。