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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第六章 ルナサフォランにて

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93.ビベックさん達

 黒い小さな丸い球の分析もから、色々な事が見えてきました。そう言えば、副市長は魔族だって聞きましたよ。魔族を倒せるなんてすごい冒険者も居るものですね。一体どんな人たちなのでしょう?どうやって倒したのかを知りたいです。今後、魔族と戦う事も有るかもしれません。


「ん?魔族を倒した冒険者かい?まあ、倒したというか逃げられはしたらしいが、その冒険者はカナディフシティの有名な冒険者であるレディーハンターのリアン氏の一行だよ」


 リアンさんは女性らしいです。そんな強い女性なら一度会ってみたいものです。レディーハンターって言えば、弓を使う人ですね。格好いいんだろうなぁ。


 でも、会いたいって言っても、会う理由も無いし興味本位では悪いですよね。私達がこうやって旅を続けていればいずれ会えるかもしれないし、その時まで楽しみにしています。


 それでは、アニカさんに会いに行った後、何かエドワードさんの役に立てることがあればお手伝いしようかしら…そう思って、ルイ様に一礼をして診療所を出ようとすると、ルイ様は私達を引き留めました。


「ちょっとまって、ミドリさんにアイラさん。この度は本当によくやってくれた、感謝する。感謝の気持ちを込めて二人にこれを送ろう」


 ルイ様が私達に多渡されたものは1枚の黄金のプレートです。クレジットカードくらいの大きさのもので、ピカピカ輝いていてとても綺麗です。


「これはセント・ライトランド公爵家が認めた冒険者であるという証明だよ。これがあれば君たちの身分を保証してくれる。それと、手紙をしたためるので、カナディフシティのギルドに行った時に名を刻印してもらいなさい、それがあれば役場で馬鹿にされることも無くなると思うよ。フフフ」


 なんとそれは『セント・ライトランド公爵公認の冒険者の証』でした。よく分からないけれど、私たちは公認されたようです。


 酷いわ、役場で馬鹿にされるって…まあ、されましたけど。でも、これがあれば役場恐怖症は解消されるかも…


 私にはそれが高価そうだという事しか分からなかったのですが、アイラは目が飛び出る程驚いていました。


「し、し、師匠!こ、これは一流の冒険者の証ですよ。師匠は兎も角、私はまだ駆け出しなのに…重たすぎます」


「へえ、そうなのかぁ、それなら私にも重いよ。返そうか。ルイ様、私達には重荷の様なので…お返しを…」


「師匠…驚きが少ないですね。全く価値を分かっていないでしょう…」


 役場で馬鹿にされないってのは魅力だけど、重すぎるものは精神的にも負担が大きいですね、お返ししましょう。


 頭を下げながらカードを差し出しましたが、ルイ様は受け取ってくれませんでした。それどころか優しく微笑んだ表情でこんな事を言われたのです。


「街をひとつ救う協力をしてくれたんだ。それだけの事をしてくれたんだよ。まだ、重いならこれからそれを持つにふさわしい冒険者になってくれればいい。ふたりともきっとそうなれるさ」


 ほええ、過剰評価ですよ。でも、そんな目で見つめないでください。これ以上何も言えなくなるじゃないですか。


 仕方がないので、これ以上断るわけにもいかず「精進します…」と言って受け取りました。私にはまだ相応ふさわしくないものかも知れませんが、やはり評価されることは嬉しいものですね。有難うございます。


 さあ、ハーブ園に行って、アニカさんに会いに行きますか。そう言えば、まだアニカさんから依頼終了の印を頂いていませんでした。ただ働きになっちゃう。


  ◇ ◇ ◇

 

 私達が再びアニカさんのお家に到着すると、庭ではビベック氏夫妻とチネッテさんさんが庭を歩いておられました。勿論傍にはアニカさんとフウリさんが付き添っています。


 近づいてきた私達に、アニカさんが気付き手を振ってくれました。絶賛リハビリの最中だったのですね。


 皆、まだまだ身体動かすのは大変そうですが、動けるようになった喜びが満ち溢れています。後は固まった関節を徐々に伸ばして、筋力をつけていくことですね。大丈夫、直ぐに元通りに慣れますよ。


「ミドリさん、あなた達のお陰で、お父さんたちはこんなにも動けるようになったよ。」


 笑顔のアニカさん。本当に嬉しそうです。ビベック氏も「久しぶりに日の光を浴びて光合成が出来ましたよ」と喜んでいました。クスッ、なに?光合成って。


 リハビリが終えた後、家に戻った私たちは事の経緯を説明しました。公爵家が入ってくれた事と、ルナカモマイルに解毒作用があった事を伝えると「これで悪いうわさも無くなってくれるよね」と皆が涙を浮かべていました。


 今回の一番の功績者であるフウリさんは、謙虚に「記録をして気付いた事を言っただけですので」と言っていましたが、あなたが居なければこの事件は解決しませんでしたよ。それに、こんなに早くビベックさん達が歩けるようになるわけがない。日ごろに介護の賜物ですよ。本当に素晴らしいです。


 後は従業員たちが戻ってくれるかどうかですが、病気の事と、ルナカモマイルの効果をギルドと役所に張り出してもらう様にお願いしておきますね。そうしたら他の人も「雇って」と来るかもしれません。ルナカモマイルのドライハーブの値段も上がりそう。私達には安くで提供してくださいね。


 うん、これでここもだんだん元に戻るよね。


「もう行ってしまうのかい?色々有難う」


 依頼終了証明を頂き、行こうとする私達にアニカさんは寂しそうな顔を浮かべました。このまま一緒に働きたいと思ってくれている様ですが、私達が冒険者だって事は重々承知なので、口には出しません。


「やるべきことは終わりましたので、私達の街に戻ります。役に立てて良かったです」


 アニカさんは感謝の気持ちだと言って、10キログラムもルナカモマイルのドライハーブをくれました。送ろうか?と言われましたが、私には魔法のカバンがありますので大丈夫です。収納するとすごく驚いておられましたよ。飲み切るのにどれだけの時間、かかるんだろう…さあ、アイラ、疲れを癒しに温泉へ行きますか。


いつも読んで下さりありがとうございます。

この話で第六章は完結です。番外編を投稿した後、第七章の準備に入ります。

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