8.さあ、どうしよう
ノルマが達成できましたので、早めに投稿しました。
えっと、ここから一番近い林はっと…
『CCガイドブックダイジェスト版』によると西に森林があるみたいです。ここから三キロメートル、歩くと一時間弱はかかりますね。
馬車でも走っていないのかしら…あ、私一文無しだった。頑張って歩くとします。
私のこの格好の為でしょうか、道を行き交う人が首を傾けます、私もつられて首を傾けます。中には手を合わせる方もいらっしゃいます、流石に手を合わせ返したりはしませんが、プリーステスって尼さんみたいなものですか?やはり有難いのかしら。
色々な人と挨拶をしながらだったので、遠さを感じる事もなく目的地に到着することが出来ました。それじゃあ、『ヒャクヤクソウ』を探すとします。
辺りを見渡しても、道沿いの草にはそれっぽいのは無かったので、少し林の奥に入る事にしました。しかし、この靴歩きにくいですね。依頼料が入れば靴を新調しなきゃ。プリーステスならブーツが良いわよね。
身長の低い草が並んでいる場所でもこんなに歩き辛いのだから、深く茂っている所に行けばもっと歩きにくくなりそうです。それに深い所では『いたずらネズミ』が発見しにくそうなので何とかこの辺りで『ヒャクヤクソウ』を見つけたいものですが…
あ、あるある。多くは無いけどありますよ。他の雑草の中で、身を隠すようにひっそりと生えていますね。ちゃんと探せば20セットは集められそうです。
一枚、二枚と丁寧に採取していると、草むらの中から何かが飛び出してきました。ややっ、遂に出てきましたか『いたずらネズミ』…にしては小さいですね。体長も10センチ強くらいで、ハムスターみたいな感じですよ。そのハムスターみたいな生き物は、恐れる事もなく私の手に乗って今採ったばかりの『ヒャクヤクソウ』の葉をもしゃもしゃ食べていますよ。
あ、それは商売品なので食べないでください。代わりに…茎ならどうですか?と茎をむしり取りその生き物の前に差し出すと、もしゃもしゃ食べ出しました。
良かったです。茎は依頼に入っていませんからね。いっぱい食べてください。それにしても両手で持って器用に食べますね。真っ白の毛並みに濃紺のつぶらな瞳、丸い耳に、短いしっぽ。とても可愛いです。
でも、依頼でもないのに野生の生き物を持ち帰る訳にはいきません。そっと草むらに置いてやると、猛スピードで戻って来て私の肩の上に乗り、頬ずりをしてきます。やれやれ、餌付けをしてしまったようです。
どれどれ、この子は何ていう子かしら。折角購入したのですから活用しなくちゃね、『CCガイドブックダイジェスト版』を開きました。
ハーベストミニマムキャビア:ネズミ型モンスター
生息地:カナディフシティ地方 全長10から15センチ 草食性
人に懐きやすくペットとして売られることもある。平均販売価格1000ピネル
へえ、長い名前…とても覚えられないわ。でも、一応モンスターなのですね。特に悪さもしなさそうだし、可愛いから暫くそっとしておきましょう。と、『ヒャクヤクソウ』の葉を採取していると、肩に乗っているこの子が、いきなりキョロキョロと辺りを見渡し、キイキイと鳴きました。
ガサガサガサガサ…
雑草が波の様に揺れると同時に、いきなり20センチくらいの茶色の塊が牙をむいて草叢から飛び出したのです。
この生き物は『CCガイドブックダイジェスト版』に乗っていた『いたずらネズミ』に間違いありません。同じネズミでもこちらは全然可愛くない。
真っ赤な鋭い目つきと、突き出した牙をこちらに向けて猛然と飛びかかってきます。そして私のローブの裾に齧り付きました。
「きゃあぁぁぁ」
驚いた私は思わず錫杖で殴ってしまいました。
『いたずらネズミ』はその一撃で目を回し、ボトッと地面に落ちると蒸発するように消えて、後には歯と、1ピネル硬貨が落ちていました。
消えちゃった。予想以上に弱かったですね。それに噛まれたけど服の方は全く無傷、なんて丈夫なのでしょう。
この子が教えてくれたから警戒することが出来ました。そのまま黙々と『ヒャクヤクソウ』を摘んでいたらきっと手や顔を嚙まれていたでしょう。どうも有り難う、また教えてね。
きっと『いたずらネズミ』は好戦的で、縄張り意識が強いのでしょう。私がここに居るから追い出そうと襲ってくるのですね。
強力な協力者が出来た私は…あ、ダジャレを言うつもりはありませんよ。調子に乗って沢山の『いたずらネズミ』を狩ることが出来ました。感謝の気持ちを込めて真っ白い毛並みのこの子に『ユキ』と言う名前を付けてあげました。
「あなたは今からユキちゃんよ。ふふふ、有り難うね、ユキちゃん」
あら、不思議ですね。名前を付けるとユキちゃんの身体が一瞬、白く輝きましたよ。名前を付けると何かが起こるのかしら?
それと、狩りの途中でピロンと音が鳴っていたのは何なのでしょう?
この二つの事は『CCガイドブックダイジェスト版』にも載っていませんね、ギルドに戻った時にマリーさんに聞こうと思います。
さあ、ユキちゃんのお陰で思いの他、沢山依頼を消化することが出来ました。私は街へ帰りますのであなたもお戻りなさい、誰かに見つかると売られちゃうわよ。
しかし、ユキちゃんを草叢に置いても直ぐに戻って来てしまいます。
まあ、いいか。じゃあ、一緒に行きましょう。宜しくお願いしますね。
私に仲間ができました。
いつも読んで下さりありがとうございます。
続きは明日投稿します。よろしくお願いいたします。