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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第六章 ルナサフォランにて

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83.分析するぞ

 小箱に入ったカビだらけのマフィンを見て、この世のものとは思えないような目で見るキリコさん。選択が間違った事は明らかです。


「あの…依頼料ですけど…1,000ピネルで良いのでお願いできます?」


 私は可愛らしい上目遣いをしながら、ゆっくりキリコさんに語り掛けました。するとキリコさんは「ん?」と言って、小箱の蓋を閉じてこういいました。


「何を言っているんだ?別に3割報酬で良いぞ?これに価値があろうがなかろうが、俺が選択したことだ。変えたりはしないさ。それに、俺は金に困っているわけじゃない。退屈しているだけさ」


 へぇ、単なる意地っ張りではないのですね。なかなか言うことが男前じゃないですか。でも、退屈しているとは?どういうことですかね…


「キリコ君はその能力の為に、普段は目立たない様に過ごしているのだよ。彼が有名になると、その能力を悪用しようとするやからがでてくるのでね」


 説明有難うです、ポーターさん。なるほど、そういう訳だから刺激が欲しくて3割報酬とか考えているのですね。


「こんなものを調べようって言うのだから、何か関わっている事があるのだろう?よければ俺にもその話噛ませて貰えないか?退屈しのぎに丁度いい。きっと役に立てるぜ」


 まあ、今回の中毒の原因がこのマフィンじゃないとすれば、他にも調べないといけないかもですし、ここで無下むげに扱っちゃえば、また分析家を探さないといけなくなっちゃうかもですね。でも、この人を何処まで信じてよいかですが…


 私が少し考え込んでいると、私の後ろに隠れていたはずのアイラが勢いよく飛び出し、


「それは有難い申し出ですね。勿論OKですよね。師匠。だって、その分析結果が予想以外のものならまた分析をお願いすることになりますもの…ね…」


 あらら、考えも無しにペラペラと…え、どうしたの?急に動かなくなって…顔に紅葉を散らして…まさか、惚れちゃったの?本当に?へぇ、ああいうのが好みだったのか…


「どうしたんだいそこの女子、急に黙って赤い顔をして熱でもでたのかい?君も分析される?ははは、まあいいか。でもこれで交渉成立だな。早速分析をするが、ここでやればいいのかな?」


 顔が赤くなっている事を指摘されたアイラは、更に顔を赤く燃え上がらせて、再び私の後ろへ大慌てで隠れてしまいました。もう…言い出しっぺなんだから、責任を取ってよね。


 あ、ちょっと待って…ここでという事は、ポーターさんもいる前でって事ですよね。それは…ちょっと困るかな。キリコさんもだけど、ポーターさんも何処まで信じられるか判らないし、もし漏洩が有ったら出所は一つの方が良い、誰が漏らしたか判るから。


「ここで分析するなら、ポーターさんは席を外して頂けますか?困るなら私達が場所を移動します」


 私がそう言うと、ポーターさんは少し顔を歪めました。露骨に『信用できない』って言っているみたいだったから、不快に…感じたよね、やっぱり


「俺が信用できないってわけだな。まあ、依頼主の意向だ、ここは使っていいぜ、俺は出て行くとしよう」


 それだけ言い捨ててポーターさんは出て行ってしまいました。


「おやおや、怒らせたみたいだぜ。彼を信じていないのか、又は巻き込みたくないのか…まあ、どちらかとは思うが、これからも関わる可能性があるなら、もう少しうまい言い回しを身に着けた方が良いな。まぁ、俺はストレートな言い方は嫌いじゃないがね」


 キリコさんはいつの間にか手に持っているペンをクルクル回しながら、そう言いました。


 ああそうか。巻き込みたくないって考え方もあるんだ。そう言えばよかったなぁ。という事は、キリコさんも何か犯罪がらみかもって、思っているわけですね。それでいて協力してくれるのですね。本当にそうでしょうか…もし、彼も悪い奴に噛んでいるとしたらこちらの意図は筒抜けになって、先手を取られる可能性も出てきます。


 ああ…人を疑ってばかり…私って性格悪いですか?


「ど、どうしたのですか?師匠…いきなり顔をおおって…」


 アイラが私の変な動きを心配しています。


「ははは、色々考えて自己嫌悪に陥っているんだろうよ。これを見てくれ内緒だぜ」


 うぅ…見透かされている…


 キリコさんは突然、内ポケットから何かを取り出しました。おや?何処かで見たことのある紋章。そうです、セント・ライトランド公爵家の紋章の入った身分証でした。彼はセント・ライトランド公爵家の直属の部下だったのです。どうやら、ルイ様もここでの出来事に不信お持ち、身分を伏せたキリコさんを派遣していたのでした。


 キリコさんは身分証を仕舞うと、いきなり「ルイ様が黒髪の可愛い女子を宜しくって言っていたぜ」と耳打ちしました。急に顔が近づいたのと、ルイ様の電撃伝言で、私の顔も真っ赤な紅葉で、頭から湯気です。


「ち、ち、近いです、近いです。だ、大事な師匠に近づきすぎです」


 いきなりアイラは大慌てで、手をバタバタさせている私の身体を抱いて引っ張りました。本当に私が大事だからって思っているのかしら?


「ははは、すまない。口説こうとしたわけではないのだがね。少しは俺を信じてくれたかい?」


 は、はい…信じます信じます。


「一体どうしちゃったんですか?師匠…」


 無言で何度もうなずく私を心配して、アイラは何度も背中を擦ってくれました。ルイ様の名を出すなんて卑怯ですよ。そ、それも…可愛い女子だなんて…私ってチョロ…免疫なさすぎだあ。


「さあ、そろそろ分析してもいいかい?」


 はっ! キリコさんのセリフを聞いて我に返りました。宜しくお願いします。


 キリコさんは箱を開けてブツブツと呪文を唱えられました。


「ホント臭いなこれ…でも、わかったよ。分析結果は…」


いつも読んで下さりありがとうございます。

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