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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第六章 ルナサフォランにて

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79.真実を探せ

 残り3人の方に『解毒カウンテラクション』を行うと、ゆっくりではありますが、こぞってベッドから身を乗り上げられました。でも、動けなくなってから3カ月も経つので、身体が随分重いのか上半身を起こすので精一杯です。


 ビベック氏なんかはちょっと動いただけで、フウフウと息を切らしていますよ。


 でも、皆がなんとか動くことが出来たので、再度『所見ファインド』を使って悪い所が無いかを調べる事にしました。


 結果は皆揃って、極度の筋力低下ですって。こりゃあ、歩くまでに暫くかかりそうですね。おまけに動いていないので関節拘縮も起こっていて、ビベック氏なんてまともに腕が上がらない様です。え?それは違う?前からの五十肩ですって、こりゃあ、失礼しました。


「ミドリさん、兎にも角にも有難うございました。身体は動けなくとも実は、意識はしっかりありましたので、どういう状況になっているかは概ね把握しております。それに、アニカ、フウリも本当に有難う。ふたりの細かな気遣いは本当に感謝しているよ…有難う…有難う…」


 ビベック氏は服の袖で涙を拭いながら、そう言われました。他の3人の方たちも涙を流して服の袖で涙を拭いています。ちょっと、誰か手拭いを貸してあげてくださいな。


「眠っている様でも意識はあったとおっしゃっておられましたので、私が話していた事を聞いておられたかと思います。そこで質問なのですが、病気になる前に普段と違うものを食べたりしていませんか?」


 ビベック夫妻はお互いに顔を見合わせながら、全く覚えがないといった表情で、首を横に振りました。


「いや、特別変わったものを食べた覚えもないのだが…チネッテは何か心当たりは有るかい?」


 ビベック氏はベッドに居る家政婦さんを見て、そう言いました。チネッテさんは病気になった家政婦さんのうちの1人です。


「いえ、旦那様…私も思い当るものも無くて…」


 チネッテさん首をかしげながらそう言うと、その隣のベッドにいる家政婦さんも「私もです」と答えました。


 病気になった人がこぞって知らないとなると、食事以外のものかしら…


 他に思い当る原因は何だろう?と考えていると、私の横で分厚いノートをパラパラ捲っていたフウリさんが「あっ」と声を上げました。


「旦那様、今から4カ月前の2月15日にマフィンを食べておられます。新しく街にできたスウィーツのお店から宣伝用に頂いたものですよ。その後、旦那様と奥様がとても美味しかったからと、翌日に買いに出かけられて、それから病気になる迄、毎日、おやつの時間に少しずつ食べておられます。今では行列のできる店になっているとか…」


 なんと、フウリさんは日記をつけておられるのですね。仕事が丁寧な方はやることが違います。でも、マフィンなら、アニカさんやフウリさんも食べていたのではないですか?


「でも、マフィンなら皆で食べていたじゃないか?何故、アニカとお前は病気にならなかったのだ?」


 ビベック氏が私の疑問を代わりに言ってくれました。それでもフウリさんのお顔が曇る様子は有りません。


「マフィンを頂いていた時、私たちと旦那様が取っていた行動に違いがあるのです。関連があるかどうかは分かりませんが、旦那様たちは珈琲を飲んでおられ、私とお嬢様はルナカモマイルのハーブティーを飲んでいました。それと、これも日記に書いているのですが、2回目にマフィンを買いに行かれた後、甘さが控えめになったと書いています。そこで、何らかの成分を変えた可能性があります」


 いくら何でも、そんなにすぐに思い当る節が見つかるとは…それも飲み物の違いに目をつけるなんて…その違いで食中毒にならなかったりするの?


 しかし、マフィンが原因ならそれこそ大事おおごとですよ。だって、街中の人が食べているのだもの。でも、もっと多くの人がバタバタ倒れていてもよさそうなものだけど…皆がルナカモマイルのハーブティーを飲んでいたとは考えにくいし…あ、2回目のマフィンで成分を変えたから倒れる人が少なくなった?うん、関連性を調べる必要はありそうですね。


 それにしてもフウリさん、ミスマープルですか?まるで探偵さんじゃないですか。アイラも目を丸くして感心していますよ。


 え?ミスマープルはもっと歳がいっている?それに推理の方法の違う?し、知っていますよ。例えですよ、例え。


「ミドリさん。マフィンの消費期限は短い為、皆が食べておられたものはありません。だからどうやって調べるかですけど…街で同じマフィンを買って調べてもいいのですが、また成分が変わっている可能性もあるし…」


 フウリさんは私に向かってそう言った後、顎に手を当て考え込まれました。すると、チネッテさんが「あの、当時食べていたマフィンは有りますよ。私が病気になる前なので、腐っちゃっているか、カビが生えているかもしれませんが…」と、言ったのです。


 話を聞くと、丁度出された時にお腹がいっぱいだったので、食べずに部屋に持ち帰ったらしいのです。衣装ケースの中にある小箱に入っているとの事ですが…きっとカビだらけでしょうね。でも、ナイスです。十分な手掛かりですよ。


「ねえねえ、フウリさん。何故、それが怪しいと思いたの?」


 アイラはその事がずっと気になったのでしょう。ミステリーに興味があるのかな?目をキラキラさながら、その答えを固唾を呑んで待ち望んでいる様に見えます。チネッテさんなんかは口をポケッと開けちゃって…


「ええ、実はおやつの時間にマフィンが出るようになってから、旦那様たちの気分に変化があるように感じたのです。なんだか、高揚しているというか、気が大きくなっているというか…最初はお仕事がうまくいっているからかしらと思っていたのですが、何かおかしいなと思っていました。そうしたらご病気になられて…その事も細かく日記には書いてあるのですよ。旦那様たちの様子がおかしいって…」


 気分の高揚ですか…なんだか危なそうですね…


いつも読んで下さりありがとうございます。

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