72.簡単でした。そして見えてきました。
この話で第五章終了です。
「ぐふふ。上段に決まっているじゃないですか」
「アイラ、字が間違っているわよ。冗談が正解よ…全くもぉ。さあ、どうやって倒すか考えないとね」
「口語で字が違うとかやめてください。なんでわかっちゃうのですか?」
「イントネーションで判るわよ、メンドクサイ子ね。そろそろこのどうでもいい会話を終了してもいいかしら」
「ラジャ」
100匹以上いるモンスターと戦うので、アイラは妙にハイテンションです。頼むからおかしな事はしないでね。
「一斉に攻撃をするなら私の『爆発』か師匠の『広範囲電撃魔法攻撃』かのどちらですが、あの量のモンスターを倒すには身体強化魔法をかけて貰って相当強威力のある魔法が必要です、だから…」
私に強力な『広範囲電撃魔法攻撃』を打てと言う事ですね。アイラの『爆発』では森を傷つけてしまうかもしれないと…うんうんそれで?
通電しやすいように、アイラがブラックホーネットに『水の魔法』をかけでびしょびしょにすると…
きっとブラックホーネットの攻撃は物理だから、『攻撃反射』もかけて対策を取り、『広範囲電撃魔法攻撃』で仕損じたものはアイラの『火の魔法』でピンポイント攻撃を行う。
アイラさん完璧じゃないですか、それでいきましょう。
「えへへ、こんな事もあろうかと、前に想像していたことがあったんですよ」
「うん、すごいすごい。これで計画通り行けたら最高だね。心配なのは私の『広範囲電撃魔法攻撃』一撃で倒せるかしら…」
「多分厳しいと思いますので、三撃お願いします。師匠なら3発連続で打てるでしょ?」
「やったことは無いけど…やってみるね。あ、それとあなたは兎も角、私を濡らさないでね、しびれるのは嫌だし」
「あなたは兎も角って、何を言っているのですか。私もしびれるのは嫌ですよ。師匠こそ私たちが通電しない様にお願いしますね」
売り言葉に買い言葉…無茶ぶりっぽい気もしますが、他の方法を何も考えていないのでやるしかありません。それにこれ位リラックスしている方が良い。失敗しても文句言わないでね、アイラ。
ボンゴさんに藁の中に隠れておくように伝えて、自分たちに身体強化魔法をかけた後、黒い木の傍へ近づきました。数匹のブラックホーネットがこちらを睨んでいる気がします。奴らの警戒エリアの境界が近づいているのでしょう。
「さあ『攻撃反射』をかけて一気に木の傍まで走るわよ」
攻撃反射の効果は3分間なので、効果がある間に他の魔法を放たないといけません。
『攻撃反射』
私たちは一気に駆け出し、木の傍約20メートルの辺りで立ち止まり、アイラは樹頭に向かって『水の魔法』を放ちました。私たちを警戒した数匹のブラックホーネットが襲い掛かってきましたが、攻撃反射によって見事に弾き飛ばされて行きます。
次にアイラは『水の魔法』を木にへばりついている黒い塊に放ち、木はびしょびしょになりました。
そしてすかさず私が同じく樹頭に向かって
『広範囲電撃魔法攻撃』×3
身体強化を行っている為、いたずらネズミを倒した時とは違い、凄まじい稲妻が木に落ちていきました。それも3発…
「やばい、やりすぎた…木が燃えちゃう」
アイラもそこまでの威力とは思っていなかったのでしょう、大慌てで消火に努めました。
電撃を浴びたブラックホーネットはバタバタと地面に落ち、ピクつきながら10ピネル硬貨と針だけを残して消滅していきます。そして最後に残った黒い影…なんだあれ、女王バチか。
1匹の大きなブラックホーネット、フラフラしながらこちらを威嚇しています。
「大きい…今までの奴より5倍くらいの大きさだわ。でも、もうヨタヨタだね。アイラ苦しませず一気に倒してあげて」
「はい」と言ってアイラは渾身を込めた『火の魔法』を女王に放ちました。
トルネードの様な炎は一気に女王の身体を貫き、一瞬で焼き尽くしました。
「なんまんだぶ…」
「師匠なんですか?それ」
「天国に行けるようにお祈りをしたのよ」
「…そ、そうですか…じゃあ、私もなんまんだぶ…」
「アイラが言うと、お祈りの有難みが減る気がする」
「自分で倒しておいて何を言っているのですか」
「いや、とどめを刺したのはアイラだし」
「意味わからない事を言わないでください、お金とドロップ品を拾いますよ」
そう言った後久々にピロンとなりました。レベルアップしました。アイラも5つ上がりましたよ。流石、ブラックホーネット100匹越えと女王様です。
アイラはレベル13、私はレベル19になりました。ブラックホーネット様様ですね。蘇生魔法を獲得できるレベル迄あと1です。その1が長いんだろうなぁ・・
1,420ピネルに、132個の針とドロップ品の固形蜂蜜を25個、よくわからない女王の瞳を手に入れてボンゴさんの馬車に戻りました。
「ボンゴさん終わりましたよ。出てきてください、ブラックホーネットは全滅です」
藁の中からボンゴさんは恐る恐る顔を出しました。そして、目を細めながらブラックホーネットの居た木を眺め歓喜の声をあげました。
「凄いな、お嬢ちゃんたち有難う。これで街まで帰れるよ。お礼だ、この後ろの荷台に座ってくれルナサフォラン迄乗せて行ってやろう。なあに、1時間もあればつくよ」
有難うございます。レベルも上がったのでご厚意に甘えさせていただきます。藁の横にちょこんと座ると、あら、良い香りのする藁だわ…
という訳で私たちは馬車の荷台でゴトゴト揺られながら、街道を進みました。
「おい、ルナサフォランが見えたぞ。あれがそうだよ」
馬車の目の前には街が見えてきました。ようやくルナサフォランに着いたのでした。
いつも読んで下さりありがとうございます。次話から第六章です。開始まで暫くお休みします。




