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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第五章 旅路~ルナサフォラン

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71.足止めなんて喰らってられない

 翌朝ミカさんとトトに一宿一飯の恩を受けた後、役場で山賊お掴まえた報奨金を受け取り再びルナサフォランに向けて出発です。


「師匠、昨夜の料理は本当に美味しかったですね。ケッパーラビットの肉も料理次第であんなに美味しくなるのですね」


「そうだね、固くてあんなにまずかったお肉も時間と手間をかけてお料理したら、あんなに美味しくなるんだね。そう言えば『すじ肉』もじっくり煮込んだら柔らかくなるし、同じだね」


「それに、山菜の煮込みの副菜と天ぷらも美味しかったですよ。ミカさんがこれまで山に入って反物を作る繭を取りに行っていたというだけあって、山の幸を良く知っていますよね」


「うん、『もう一度身体強化魔法をかけて欲しい』って言うから何をするのかと思っていたら、山菜を取りに行きたかったんだね。怪我無く帰って来てくれてよかったよ」


 私たちは昨夜の()()()()()を思い出しながら、ルナサフォランに行くための一本道を歩いていました。


 この道も普段は街に行きかう人がそれなりにいるらしいのですが、まだ朝が早い為か誰も居なくて歩きやすいです。それに今日もいいお天気なので、気持ちも清々しい。このペースならルナサフォランにはお昼くらいには着きそうです。


 でもね、やっぱりそうは問屋が卸しません。ちゃんとイベントが待っていました。


「ねえ師匠、あそこで藁を積んだ馬車が止まっていますよ、何をしているのですかね?」


「ほんとだね。農家のおじさんみたいだけど、なんで先に進まないんだろう?」


 そのおじいさんは落ち着きなく、馬車の周りをウロチョロしながら、落ち着きなく舌打ちをしています。何か忘れものでもしたのかしら…それとも馬が動いてくれないのかな?


 少し気になりながらも、その馬車の横を通り過ぎようとした時、そのおじいさんが私たちの前に立ちはだかりました。


「おい、いかんいかん。先を見てみろ、あそこの木が黒くなっているだろう。あれはなブラックホーネットの集団じゃ。それも100匹近くいるぞよ。このまま進めば確実に襲われるぞ」


 ガイドブックによると、ブラックホーネットと言うのはこの辺りに生息する蜂タイプのモンスターで、大きさはスズメバチの3倍くらいは有るとの事、勿論鋭い針と毒を持っています。


 話を聞くとこのおじさんはルナサフォランに住む酪農家の方で、名はボンゴと言いました。朝早くから道の駅へ餌の藁を買いに来ての帰りでした。ブラックホーネットは()()()()には居なかったらしいのですが、突然群衆が発生していたそうです。


「あいつらきっとあそこに巣を作るつもりだ。1匹2匹でも恐ろしいのにあの数に襲われたら命の保証もないわ。一体どうすればよいのか…家には孫がわしを待っているというのに…だから、お前さん達も襲われる前に引き返した方が良いぞ」


 ボンゴさんはしっしっと、私たちを追い払い様な仕草を見せました。でも、私たちは先に進まないといけないですし、ある意味これはチャンスです。


「アイラ聞いた?モンスター100匹だって。レベルアップのチャンスよ」


「そうですね。でもブラックホーネットってちょっと強そうじゃないですか?勝てますかね?100匹相手に…」


「作戦次第だろうけど、あいつら眠ってくれるかな?」


「眠りの笛の事ですね?どうでしょう…ここからでもなんかブンブン聞こえますから、音がかき消されませんかね?」


 アイラの言う通りまだ随分距離があるのに、ここまで羽音が聞こえます。近寄れば相当の音量でしょう。


「おい、何の話をしておるのじゃ?危ないから引き返せと言ったろう」


 興味本位でブラックホーネットに近づこうと思っている様に見えたのでしょう。眉間に皺の寄せたボンゴさんに叱られました。


「あ、はい…すみません。でもボンゴさんはどうするのですか?」


「わしは冒険者が来るのを待っている。冒険者ならあいつらをやっつけてくれるじゃろう」


「え?依頼はしているのですか?」


「今見つけた所じゃ、依頼などできるわけないだろう。それに、依頼を行うのはわしじゃなく街の方だしの」


 なんだかよく分からないのですが、誰か冒険者が通るのを待っていたという事だったのですね。


「ボンゴさん依頼が無いのに、頼めるの?」


「ああ、ああいう危険モンスターは。常に駆除依頼が出されていてな、ブラックホーネットの針1本につき50ピネルが保証されるのだよ」


 おお!という事は100匹倒せば5,000ピネル。加えて何かドロップするはずだからなかなかいい収入になりそうです。


「じゃあボンゴさん、その依頼は私たちが貰ったよ。こう見えても冒険者だし。ね、アイラ」


「はい。こう見えてもなかなか強いんですよ、私たち。直ぐにこの道を通してあげますね」


 ボンゴさんは驚いた表情をしましたが、どことなく心配そうです。


「失敗したら一斉に襲って来るぞ?本当に大丈夫か?」


「危ないのでボンゴさんはここで見ていてください。さあ、アイラ、どうやって料理する?」


「え?戦い前に何か食べるのですか?」


「違うわよ。本気で言っているの?私アイラの事が心配になるわ…」


いつも読んで下さりありがとうございます。

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