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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第五章 旅路~ルナサフォラン

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69.後始末

「6,000ピネルだなんてとんでもない…」


ミカさんは驚いた表情を浮かべ、手を横に振りました。


「安すぎます?」


「いえ、その反対です。高すぎます。1,000ピネルでも高いくらいだと思っています」


「なら大丈夫ですね。物の価値は私が決めればいいので、6,000ピネルでOKです」


「そ…それは…」


 ミカさんが困った表情を浮かべていると、上手にアイラが口を挟みます。


「ミカさん大丈夫ですよ。師匠はお金持ちなので…それにほどこされるのが嫌だったら、元気になった両手で6,000ピネルに相当する反物が出来た時に、それを頂けたらいいので」


「うふふ、アイラ…あんたがそれを言う?」


 ミカさんは申し訳なさそうに私たちを見て、目頭を押さえました、そして思い出した様に口を開き、厳しい顔つきをされました。


「そう言えば、ミドリさん。先ほどの話ですが、トトが何をさせられていたのかを教えて頂きたいのです」


 そうでした。ミカさんの手足が動くようになって喜びすぎていました。トト問題はまだ解決をしていなかったですね。私とアイラはミカさんにトトから聞いた話と、今日あった出来事を話しました。ミカさんの顔は怖いくらいに、怒りに満ちています。


「ミドリさん、アイラさん。お恥ずかしいお話ですが、その反物を買って頂けますか。そのお金であの人にお金を返してきます。そして二度と私たちに関わらない様に言ってきます」


 ミカさんはバランスを何とか保ちながら立ち上がり、外に出ていこうとします。トトは大慌てで母を支えに行きました。母の怒りをひしひしと感じながらも、母が動けるようになったことが嬉しいのでしょう。心配そうな表情をしていますが、その目は希望に溢れています。


「ミカさん、あの乱暴者は何をするか判らないので私たちも一緒に行きますよ。金輪際関わらない様にバシッと言ってやりましょう」


 私はミカさんに身体強化魔法をかけました。弱った右の手足ですが、身体強化魔法をかければ、しばらくは普通に動けるようになるはずです。うふふ、あのおっさんの驚く顔が目に浮かびますね。


  ◇ ◇ ◇


 ミカさんにかけた身体強化魔法の効果はバッチリで、良かった、スタスタ歩いています。効果が切れたらまたふらつくと思うけど、私がいる間はまた身体強化魔法をかけますよ。しっかりリハビリしてくださいね。


 手持ちが少なかったので、ギルド銀行でお金を下ろし、ミカさんに代金を支払うと直ぐにサイコロステーキ屋に向かいました。娘に詐欺まがいの仕事を押し付けていたとはいえ、困っている時に助けてくれたのも事実、金輪際関わるつもりはないのですが、ミカさんは出来れば穏便に済ませたいとは思っていたようです。


「イタロさんこんにちは」


 サイコロステーキ屋のおっさんはイタロって言う名前だったのですね。まあ、覚える気はないけど…


「み、ミカ…手足が動くようになったのか」


 客足が途切れた頃を見計らって、ミカさんはイタロに声をかけました。イタロはミカさんが動けるようになった事と、傍に私たちが居る事で大層動揺をしており、ばつの悪そうな表情をしながら何度も汗を拭っていました。


「ええ、お陰様で。この方たちが治してくれたのよ。お金を貸してくれてありがとう、もう自分で稼げるので借りた分はお返しします。5,000ピネルです。それと、トトに詐欺まがいな事をさせていたのは知っています。ただ、助けて頂いたことも事実…あなたとのかかわりを永遠に立つことで何事もなかった事にします。今後一切私たちに関わらないでください。ではさようなら」


 ミカさんは封筒に入った5,000ピネルをカウンターの上に置き、イタロに背を向けました。


「ちょっと待てよ、トトの事は済まなかったよ。稼ぐためには仕方がなかったんだ。『関わるな』なんて冷たい事を言うなよ。折角病気が治ったんだ、全快祝いでもしようじゃないか、俺がご馳走をしてやるからよ」


 イタロはかなり事を軽く見ている様で、へらへら笑いながら店から出てきてミカさんの腕を掴みました。


「離してください、汚らわしい!」


 ミカさんは勢いよく掴まれた手を振り払いました。身体強化を掛けているので体力が落ちているとはいえ、相当な勢いがありました。凄まじい音を立て、イタロはその場にドテンと倒れました。予想もしなかったパワーに驚き、目を丸くしています。


 か弱そうな女性に振り払われ、倒されたのです。周囲からの注目を浴びるのは当たり前で、相当な人達から笑われることになりました。


 この手の男がこうなった時に決まって行うのは逆切れです。恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら「この場を去ると永遠に笑われる」とでも思ってしまうのでしょうね、威嚇をしてミカさんに謝罪を求めだしたのです。


「優しくしてやればつけあがりやがって、困った時に助けてやったのは誰だと思って言うんだ。恩を仇で返すとは正にこの事だな、恥をかかせやがって思い知らせてやる」


 やれやれです。予想通りの馬鹿者でした。思う様にならなければ直ぐに暴力に訴えようとするのですよね。


 イタロが立ち上がり、ミカさんに飛びかかろうとする際に私はサッと足を出しました。あらら、ものの見事に転びましたね。テーブルに突っ込んじゃって…顔が擦り傷だらけになっているわ、そんな顔じゃ誰もお肉を買ってくれないね。


「文句があるなら私が相手になってあげるよ」私はイタロの前に立ちはだかりました。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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