表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/174

6.また何処かで

 店の更衣室で早速防具を装着させて頂きました。なんて美しいローブなのでしょう。それにこのミトラも格好いい。馬子にも衣装とはこの事です。とても駆け出しには見えません。


 ぐふふ。形から入るとは正にこの事ですね。


 それにこの錫杖しゃくじょう、洗練された美しさ、震えが来ます。床に着けると小さく上品に「シャン」と鳴るのもたまりません。


 何よりもこの武具たちを装着したら、ほんわかと温かくなって、力が沸いてくる感覚に襲われました。これがこの物たちの付与されている力なのでしょうか。兎に角、素晴らしい。


 私が姿見の前で自分の様相に見とれていると、マサトは店主さんと代金の交渉をしていました。あ、別にナルシストって訳じゃあないんですよ。普段なら絶対着ない格好なので、ついね。


 マサトは店主さんに「これから依頼で遠くに出かけるので支払いは後日になる」旨を説明していました。4万ピネルもの金をツケにしてもらえるのかなと思っていたのだけど、あっさりOK。驚きましたよ、彼は信用されているのですね。


 マサトいわく、次に一人で来る時に、もう既に大金を持っているセーブポイントで支払うのですって。だから心配するなって事らしいのですが、おんぶにだっこ、少し気持ちが重たくなります。このままズルズルついて来られたらどうしましょう。


「ミドリが一人で行きたいって言っていたし、僕が一緒に居るのはここまでにするね。これで初期に出てくるモンスターも一人で倒せるはずだし、地道にレベルアップしなよ。それと、その装備を見たほかの冒険者はパーティに誘ってくると思うけど、ある程度レベルが上がってからじゃないと参加してはいけないよ、まだ何も魔法を使えないんだからね。それと…」


 杞憂きゆうでした。この先は一人で頑張る事になりました。


「わかった、わかったわよ。マサト母さん。後はマリーさんに教えてもらいながら何とかやっていくわ、はいはい、いろいろ有難う」


 ちょっぴりツンデレっぽくなってしまいましたが、本当は凄く感謝しているんです。


「マサト母さんって…ったく…じゃあ、一旦僕達の世界に戻ろうか。『ファンタジックワールド』の指輪は一つしかないしね。僕は他にやることがあるからしばらく先には進まないし、時間軸が同じになればそこで合流しよう」


 少し意味が分かりません。


「時間軸って?」


「えっとね、僕の最新のセーブポイントはここより未来なんだよ。その時間からあまり進めないから、今のミドリの時間がそこまで追いついたら、最新の状態の僕と一緒に冒険ができるって言う事だよ」


 言わんとすることが分かりました。頑張ってマサトの時間まで追いつけって事ですね。了解です。すんごく強くなって驚かせてあげましょう。でも、追いついたとて、どうやって船の上に行くのさ?…まあ、いいか。


 という訳で、マサトと二人で一旦現実の世界に戻った後、『ファンタジックワールド』の指輪を借りて一人で再び、この世界に戻ってきました。マサト、また何処かでね。


 ◇ ◇ ◇


 一人でギルドに入ると、先程とは違い色々な人の視線を感じます。きっとこの装備のせいですね。中身はスライム一匹すら倒したことのない私ですが、さぞかしハイレベルのプリーステスと思われているのでしょう。誘われた時、正直に「冒険者になりたて」だと話して、身ぐるみを剝がされたらどうしようって心配になります。そう考えると上等すぎる装備って危険ですよね。


 ここは誘われても、「ここで強力な仲間と待ち合わせをしている」とでも言っておきましょう。人と関わらない方が無難です。


 取りえず、マリーさんの所へと…


「マリーさん。依頼を受けようと思うのですが何かお勧めのものありますか?レベルが上がって知識も増えるようなものが良いのですが」


 マリーさんは私の装備を見て大層驚かれたようで、目と口を大きく開いておられます。


「ミ、ミドリさん?何処かのご令嬢だったのですか?それとも大物のパトロンでも見つけられました?も、もしそうなら、是非私わたくしめにもご紹介を…」


 パトロンと言えばパトロンになっちゃうのかな?ただし、今回限りのだけどね。


餞別せんべつにマサト君に買って貰いました。一人で頑張れって」


「何ですと、彼も駆け出しに近いはずなのに、なんでそんなにお金を持っているのよ。まさか…ピーチちゃんを売ったりしていないよね…でも、ピーチちゃん一匹では到底足り無さそうだし、もしかして私には内緒で他にもピンクスライムを沢山持っているとか…ぶつぶつぶつ…」


 マリーさんは顎に手をやり、難しい表情をしながら意味の分からない事をつぶやいています。


 正気に戻ってください。私は彼女の目の前で両手をパンって叩きました。


 マリーさんは「ひゃあ」ってビックリして飛び上がった後、我に返られました。


「はあ、ビックリした。ごめんなさい。ピーチちゃんって言うのはマサトさんの飼っているモンスターでとても可愛いピンクスライムなの。モンスターショップでは結構な値段で取引されているのよ」


 へえ、モンスターを飼う事も出来るんですね。でも、さっきマサトのそばには居なかったな、何処かに隠れていたのかしら、それとも本当に売っちゃったのかな?


 って、そんな事よりも依頼ですよ、依頼。マリーさんどんな依頼が私に合うか教えてくださいませ。


読んで頂いてありがとうございます。まだ続きます。

本日二話目です。

次話は明日の朝投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ