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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第五章 旅路~ルナサフォラン

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59.朝飯前?昼食前ですけど…

「師匠…何だか分からないですけど、異様な雰囲気が漂っていますよ。周りがやけにざわざわいっています」


 四方八方から草叢くさむらの中を駆け回る音がしています。それも明らかにこちらに向かって音が大きくなっています。


「あ…あの…うん。アイラ、モンスターの気配がするわ、杖を構えて備えて頂戴、取り敢えず身体強化魔法をかけるわね」


 そう言った私の顔を怪訝そうに見るアイラ…


「師匠?この異様な雰囲気に驚きを感じていませんね?何かしましたか?」


 す、鋭い…


「ははは…じ、実は少しだけモンスターの好きな匂いの袋を出してしまって…えっと、もう仕舞ったんだけど…遅かりし由良之助って言うか…」


「何ですかそのなんとか助って!意味が分かりませんが」


「えっとぉ、由良助って言うのは『仮名手本忠臣蔵』っていう歌舞伎の中で出てくる…」


「そんな事を聞いているのではありませんよ。ふぅ…もう、仕方がないですね…困った師匠ですねぇ」


 アイラは苦笑しています。


「す、すみません…」


「じゃあ、さっさと終わらせますか。こんなの朝飯前ですよ」


 おお、アイラさん凄い、これまでモンスターを前にしたらびくびく震えていたのに、すごく堂々としています。


「あの、お昼の前なので、昼飯前かな?」


「そんなどうでもいい事言わないでください、さあ、出てきますよ、私にくっ付いてください」


 周囲のガサガサ音がピークに達した時、四方八方から出るわ出るわ、大量のモンスターが口からよだれを垂らしながら飛び出してきました。


 スライムにケッパーラビットにいたずらネズミも…他にはイタチみたいな奴とか、毛玉みたいな奴も…ざっと、3,40匹くらいは居そうです。


 いくら何でも多すぎやしませんか?ははぁ…カレンさんが言っていたサービスって匂い袋の効果の事だったのか…


 見たところ弱っちいモンスターばかりなので、棒術を使って地味に叩いても倒せそうですが「もぐら叩きゲームの様になかなか骨が有れるだろうなぁ…」なんて考えていると、アイラは天に向かって杖を構えまして


爆発エクスプローション


 アイラと私を中心に爆発が起こり、モンスターたちはあっという間にノックアウトです。


 凄いアイラ、身体強化魔法をかけているとはいえ、一瞬で殲滅せんめつしてしまいましたよ。おまけに匂い迄吹き飛ばしてくれて…


 でも匂い袋をこの辺りで使っていて良かったと思います。もっとカナディフシティから離れた所だと、強いモンスターも沢山出だすから危険だったかもしれません。これからは使い方に気をつけなくちゃ…


「師匠!レベル8に上がりましたよ。こんなに直ぐにレベルが上がるなら、師匠、もう一度余計な事をしてくれてもいいですよ、えへへ」


 幸いアイラが喜んでいました。良かった…棚から牡丹餅ぼたもち的な感じでレベルが上がってくれて…


 アイラのそのセリフには苦笑で返しまして、あちこちに散らばったピネルやら、素材やらを拾い集めました。思いの外沢山ある素材やピネルにアイラは大喜びで「ルナサフォランへ着いたら美味しいものが食べられますね」ですって、本当に強くなりました。


「ひと稼ぎもしたし、少しこの辺りでお昼にしましょうか」


 丁度、道から少し離れた所に大きなもみの木があり、その下が広いスペースになっていたのでそこにシートを敷いて食事を摂ることにしました。


 お昼ご飯は『ママブレッド』で買った美味しそうなサンドイッチです。レジャーシートに木陰でサンドイッチ、完全にピクニックです。緊張感が少ない気もしますが、道中は楽しまないとです。小さな器にピーナッツをザラザラっと入れると、ユキちゃんは美味しそうにポリポリ言わせながら食べています。


 アイラとふたり、ほのぼのしながら美味しいサンドイッチを頂いて「ピーナッツも美味しい?」とユキちゃんの方を見ると、もう1匹別のハーベストミニマムキャビアがピーナッツを頬張っていました。体型はほぼユキちゃんと同じで、色はライトブラウンです。


「アイラ、ほらほら…見てごらんユキちゃんとクリちゃん」


「わぁ、ほんと可愛い。ユキちゃんとクリ…?え?クリちゃんて何ですか?」


「え?クリっぽいから今私が勝手に呼んでいるだけだけど?」


「師匠、そのネーミングはどうかと思いますよ?もっとこうね、思い付きの見たままではなくて、可愛い名前があるじゃないですか。うーん、マロンとか」


「そんなに変わらないじゃないのさ。じゃあ、どちらが良いのか彼女?に聞いてみましょうよ」


 私が取り出したのはこれも『ママブレッド』で買っておいたプチリンゴ。小さい割に瑞々しくてとても美味しそうです。それをアイラと二人で1つずつ手に持って隠してから「ユキちゃんはちょっと我慢してね」と言いました。


「アイラ、同時に彼女の名前を呼んでプチリンゴを見せるのよ、せえの」


「クリちゃん」

「マロンちゃん」


 私たちが同時に名前を呼び、手に持っているプチリンゴをライトブラウンのハーベストミニマムキャビアに見せると、首を持ち上げチョコチョコチョコっとアイラの方のプチリンゴに走っていきました。


「ほら、師匠、見てくださいよ、マロンの方が気に入っていますよ。ふふふ、私の勝利ですね」


 アイラは優しくマロンちゃんの頭を撫でながら嬉しそうに微笑みました。


「師匠、この子を一緒に連れて行ってもいいですか?」


 私もユキちゃんを連れている以上ダメとは言えません。


「マロンちゃんが行くって言ったらね」


「私と一緒に行く?マロンちゃん」


 マロンちゃんは嘘か本当かコクッとうなづきました。それを見たアイラは満面の笑み、なんて可愛いのでしょう…


いつも読んで下さりありがとうございます。

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