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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第四章 新天地へ向けて

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55.修行兼お仕事

 茂みからゆっくりと姿を現したキラーウルフは全部で5匹です。そしてそのうちの1匹は他より一回り身体が大きく、どうやらその群れのボスの様でした。


 私の目の前のボスがにらみを利かせ、その後ろに4匹が控えています。そしてボスがゆっくりと首を上げると、ボス以外の4匹は私たちを取り囲むように、ゆっくりと移動をしました。


 どうやらボスは私を狙っていて、他の4匹はアイラを標的にした様です。


「アイラ、先制攻撃よ、どれでもいいから1匹を狙って魔法を放ちなさい。それで相手がひるんだら戦い易くなるはずよ」


 一斉に襲ってくる前に、1匹でも倒して連携プレーを阻止しなければ、いくら身体強化をしているとはいえ、アイラ一人で4匹を相手にするのは辛いでしょう。しかしアイラは小刻みに震えてなかなか魔法を打とうとはしないのです。


 おびえているわけではなさそうですが、動かしたくとも緊張のあまり身体が動かなくなっているのです。


「何をしているの、早く打って、アイラ!」


 口はわなわな動かしているのですが、小刻みに震えている身体は一向に動こうとはしません。


「アイラ!打ちなさい!」


 私は目一杯声を張り上げました。アイラはビックリした様に身体を大きく振わせた後、慌てて杖を構えました。


火の魔法(ファイヤー)


 身体強化魔法を受けている火の魔法(ファイヤー)です。レーザー光線の様な細くて早くて、それに重く真っ赤な炎が、アイラの前に居た1匹のキラーウルフの首を捕らえました。


 見事に炎が頸部を貫通すると、キラーウルフはその場に倒れました。それを見た外の3匹のキラーウルフはひるみ後ずさりです。


「その調子よ、後は相手の動きを見ながら正確に魔法を当てていきなさい」


 私は目の前に居るボスを睨みつけながら、アイラにそうアドバイスをしました。アイラは1匹を倒して気持ちにゆとりが出来たのでしょう。「はいっ!」と大きく返事をしました。もう震えている様子は有りません。


 今の感じなら十分私の背中を預けられます。目の前のボスに集中です。


 ボスはうなり声をあげながらよだれを垂れ流し、体制を低くしました。私の倍ほどの大きさです。何をしたいのかは見ただけで判る、全身のバネを目一杯使い、一気に飛びかかるつもりなのでしょう。


 そう言えば、こうやってまともにモンスターと戦うのは初めてですね。自分の実力を試すためにも、ここは身体強化魔法を使わずに戦います。


「さあ、かかってきなさい。相手をしてあげましょう」


 私がそう言うのを待っていたかの様に、ボスはロケット弾の様に飛び出してきました。動き方を見ていると他の奴よりも動きは断然早い。断然早いですが…うん、十分追えます。この程度なら全てかわすことが出来そうです。次はパワーがどれくらいかですね。


 大口を開けて飛びかかってきたボスに、両端を持った錫杖しゃくじょうをつっかえ棒の様にくわえさせました。相当な勢いで突っ込んできたのでしょうが、平然と受け止めることが出来ました。ボスとはいえ、このエリアのモンスターの最高レベル10程だってマリーさんが言っていました。レベルの差というのはこういう事なのだと痛感します。


 私はくわえさせた錫杖しゃくじょうを思い切り振り回し、ボスを投げ飛ばしました。なかなかこの錫杖しゃくじょうは強くて丈夫ですね、傷一つ付いていません。前の錫杖しゃくじょうだったら折れていたかも…店主おじさん有難う。


 投げ飛ばされたボスは、空中で器用に体制を整え着地、黙って私をにらんでいます。そして、私たちとの実力差を感じたのか、遠吠えの様な声を上げると部下のキラーウルフが戻ってきました。でも、1匹しかいません。なんと既にアイラが3匹を倒していたのです。


 アイラは頻呼吸をしながらも、自信に満ちた笑みを浮かべています。


「ほぉ、アイラやるじゃん。さあ、今度はこちらから行くわよ、覚悟は良い?」


 ボスは部下を3匹やられて悔しそうに私たちを睨みつけていましたが、仕掛けたのは自分達なので、敵の実力を見誤った事を後悔している様にも見えました。そして私たちに背を向け、樹海の奥へ消えていったのです。この判断が野生で生き残っていくには、必要な事なのでしょう。


 去る者は追わず。アイラが依頼の3匹を倒してくれたのでこれ以上深追いはしません。


 今回は二人で戦ったので、二人に経験値が入りました。アイラはレベル6になり、私はレベル18になりました。18になるまで長かったぁ、キラーウルフって経験値が多いのですね。アイラもキラーウルフを倒せた事で自身に満ちた顔をしています。…が、忘れないでね、身体強化魔法を使っていた事を、まともに戦っていたらきっと負けていたよ。


 落ちていたキラーウルフの牙3つと毛皮2枚に30ピネルを拾い、次の目的『蜘蛛毒の結晶』の収拾に向かいます。


「ユキちゃん、ポイズンスパイダーを見つけたら教えてね「キィ」」


 ユキちゃんは私の肩で右に移動したり、左に移動したりしながら行き先を教えてくれます。歩いている所はとても道と言えるところではないので、アイラはとても嫌そうな表情をしています。スカートだものね…ごめんね、依頼の選択ミスだったかも…


 湿気が多く鬱蒼うっそうとした木々が茂っている場所で、ユキちゃんは上の方を見つめました。そこには全身真っ黒で赤い目をギラギラさせた大きな蜘蛛が、1匹、2匹、3匹4匹…き、気持ち悪い…10匹くらいいるよ…


「アイラ、こいつら毒を持っているから噛まれたら教えてね、解毒するからそれとこれ、毒消し薬。必要な時に飲むのよ」


 私がそう言って薬を差し出すとアイラは涙目です。


「それが必要なのは今です…ふええぇ、足噛まれましたぁ…」


解毒カウンテラクション


 私は急いでアイラの解毒を行いました。幸い小さい奴に噛まれたのと、身体強化魔法の効果が続いていたので大したダメージではありませんでした。良かった。


「アイラ、たっぷり仕返しをするのよ。ここにいる奴ら壊滅させるよ!」


「おー!」とアイラは腕を上げ、『火の魔法(ファイヤー)』を唱えます。口から吹き出す糸も、モンスター本体も一気に焼き尽くしました。私の方は飛びかかってきた奴を棒術で撃破。


 ほんの10分ほどで、この辺りにいたポイズンスパイダーを壊滅することが出来ました。二人でやれば早いですね。それに一気に10匹を倒すなんてなかなかできないのでしょう、強くなっています。


倒し切った時、アイラはレベル7になりました。私はそのままですが…


 その場に落ちている200ピネルと『蜘蛛毒の結晶』は3つ、豊漁です。


「アイラ、やったね」


「師匠、やりましたね」


 二人は大満足です。さあ、こんなうす気味わるい樹海からさっさと抜け出して、帰りましょう。私たちは何故か仲良く手を繋いで、樹海を後にしました。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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