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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第四章 新天地へ向けて

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48.いざこざ

 普段の朝一番の時間帯や夕方なら、こうやってマリーさんとのんびりおしゃべりなんて全くできません。多くの冒険者たちが事務処理を待っているのです。そういう訳で、私がマリーさんを訪ねる時は決まって、お昼を過ぎた暇な時間帯です。だからこうやって呑気にうだうだ色々な事をダラダラとしゃべれるわけなのですけれどね。


 突然ですが、ギルド内には食堂があるんです。いいのか悪いのか分かりませんが、いつも頑張ってくれている冒険者たちが少しでもストレスが解消できるようにと、昼間っからお酒も飲めるようになっています。


 まあ、自分の稼いだお金で飲むわけですから、それは構わないのですが、この時間帯に飲んでいる奴なんてロクな奴は居ません。そして、ろくでなしの中の一人、バナードって奴もいつもこの時間に酒を飲んでいるわけなのですよ。マリーさんから教えて貰った「相手をしない方が良い奴リスト」の中の一人です。


 ギルドの食堂も冒険者登録をしている客なのでお酒を提供していますが、酔っぱらって粗相そそうを働くわけなのですよ。たちの悪い事に、若い青葉マークの冒険者にからんでは、小金こがねかせぐみたいな事もやるそうです。


 どうやって小金を稼ぐのかですって?それには冒険者の評価値について、説明が必要ですね。


 基本的に冒険者の評価値は5段階あって、駆け出しの冒険者は評価値1から始まるのですよ。評価値1の場合は依頼料の取り分はギルドが5割、評価値5の場合はギルドの取り分は1割になります。例えば、掲示板に書かれてある依頼料が250ピネルの場合ですが、それは評価値1の報酬で、依頼者がギルドに支払う原資は500ピネルなのです。したがって評価値5だと450ピネルが報酬になるわけなのです。よく勉強しているでしょ?えへへ、マリーさんからの受け売りですが…


 つまり評価値が高い方が報酬をたくさんもらえるわけですね。ろくでなし達はそれに目を付けたのです。


 例えばですよ、評価値1の冒険者が素材を納品した報酬が250ピネルだったとします。それが評価値3ならギルドの取り分が3割なので、350ピネルが報酬になるのです。


 バナードは評価値1の冒険者から報酬が250ピネルの素材を300ピネルで買うって迫っているのですよ。バナードの評価値は3だそうなので、バナードが納品すると二人とも50ピネルもうかるからいい話だろってね。


 でも、だまされちゃあいけません。評価値は依頼をこなせば上がっていきます。評価値を上げるには『依頼料×評価』の蓄積が必要なので、バナードの話にまんまと乗って目先の小金に飛びつくと、ずっと評価値は1のまま、逆にバナードは『依頼料×評価』が蓄積されるので評価値も上がる。一石二鳥、濡れ手で粟です。


 だから奴らはいつも昼間っから酒を飲みながら、冒険者と受付嬢の世間話に聞き耳を立てて、そのチャンスを狙っているのですよ。


 あ、因みに私は沢山の『いたずらネズミ』を狩っているので評価値は4まで上がっています。えへへ、凄いでしょ。まあ、レベル17ですから。


 話を戻しますが、私とマリーさんが楽しくお話をしている時です。バナードは新人の冒険者を捕まえて、素材を買い取ると強引に迫っていたのです。可哀そうに…新人の男の子と女の子は怯えた顔をして震えていますよ。


 私の横でマリーさんは歯ぎしりをしだしました。マリーさんも助けてあげたいのですが、ギルド職員に直接苦情が来なければ、個人交渉レベルなので何も言えないのですって。その子たちは報復を恐れて、とてもギルドに申し立てをできる感じではありません。


 おかしいですよね。私は早急に制度の改革を要求します、って今そんな事を言っている場合ではありませんね。


「くそぉ、バナードの奴、また若い子に絡んで…あいつミドリちゃんの友達のマサト君にやっつけられてしばらく大人しくなっていたんだけど、彼がこの街から出て行ったらまた新人の子をカモにし出したのよ、でもあの子たちが訴えてこない以上何もできないし…」


 マリーさんはガルルルって感じですが、バナードはそう言う事も分かってやっているのですね。酷い奴。でもね、マサトがやったのなら私もやらないとね。


 マリーさんが出来なくとも、私は出来る。だって職員じゃないもの。私はバナードの方へ向かって歩き出しました。


「え?ミドリちゃん何処に?」


「私に任せてください」


 あんな奴を野放しにしておけば、これからも迷惑を掛けられる新人の子が沢山出るはずです。しいて言えば、それは未来の偉大な冒険者の出現を妨げる事にもなりかねません。


 見ていなさいよ!


「あ、ちょっと、ごめんねおじさん。この子達困っているみたいだけど、どうしたの?」


 私は何食わぬ顔をして尋ねてみました。私が割った入ったものだから新人の二人は一瞬ホッとした表情を浮かべましたが、話しかけたのがひ弱そうで若い娘だったので、直ぐに不安そうな表情に変わりました。きっと、私の身を案じているのです。


「あん?なんだお前は?こいつらは困っちゃいないぜ、先輩の俺がこいつの持っている薬草50セットを170ピネルで買ってやろうって言っているんだ。ギルドにそのまま出すとこいつらが受け取れる額は150ピネルだ。どうせ駆け出しだから金もないんじゃないかと思ってよ、高く買ってやろうって言っているんだ。20ピネルも得をするんだぜ、有難い話だろう」


 バナードはぬけぬけとそんな事をのたまいます。


 こいつ、新人の子や私が何も知らないとでも思っているのかしら…ほんと、頭悪いわね。


 そうは思っても、それを今顔に出すわけにはいきません。あんたがそう出るなら、私はこうしますよ。


「優しいのね、おじさん。おじさんの立派な態度に心打たれたわ。じゃあ、その子たちの素材を私が240ピネルで買ってあげる。おじさんがふところを痛めなくても、私がもっと高い値段で買い取ってあげるわね」


いつも読んで下さりありがとうございます。

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