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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第四章 新天地へ向けて

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46.悪いやつをぶっ倒せ 3

 吹っ飛ばされ、地面を転がりうずくまっているサラさんの方へユウロンは駆け寄り、ニヤニヤ笑いながら背中に蹴りを入れました。奴は蹴りによって更に吹っ飛ばされ、苦痛に顔をゆがめるサラさんに近寄り拳を振り上げた時、私の錫杖しゃくじょうはその身体の鳩尾みぞおちを捕らえました。


「ぐおお、何をしやがる!」


 ユウロンは胸部を押さえ、後ずさりをしながら声を張り上げました。


 卑怯な手段を許せない私は、無意識のうちにサラさんを守りに行っていたのです。考えるよりも身体の方が動いたってやつですね。


「それはこちらのセリフよ。ちゃんと見ていたわよ、その男が毒の吹き矢でサラさんを攻撃したのをね」


 サラさんを抱きかかえ、右大腿の下着にくっ付いていた針を手に取り、ムカに見せつけましたが「そんなものは知らん」の一点張り。証拠を突きつけてもこれですから話になりません。


 ジゴロウ師匠が「手段を択ばない」と言っていた理由がよくわかりました。正々堂々と戦うことが出来ないのなら、こちらにも考えがあります。


「あなた達、後悔しても知らないわよ」


「はん、サラはもう使い物にならん、お前ひとりでどうしようって言うのだ?」


 上体をり、横柄な態度をとるムカを横目に、奴らに気付かれない様にそっとサラさんに魔法を掛けました。


 『解毒カウンテラクション』 『回復ヒール


 サラさんは私に抱かれながら、自分の手足を動かし、一驚いっきょうされました。しびれも痛みもすっかり取れたようです。


「有難う。あなた凄いのね。助かったわ…」


 サラさんはそう言うと立ち上がり、服に着いた土をポンポンと払いました。


「サラさん、私、身体強化魔法をかけられるのですが、一気にたたみかけます?」


 私が耳元でそう囁くと「有難う、でも、あいつだけは自分の実力で倒すわ」と言って、サラさんは棒を構え、ユウロンをにらみつけました。


 瀕死の状態だったサラさんが、まるで何事もなかった様に立ち上がったのです。ムカの驚きは相当なもので、「おい、これは一体どういうことだ!」と吹き矢を放った男の胸ぐらを掴みました。


 男は「そんなはずは…」と言って動揺を隠せずにいると、ムカはその男を地面に叩きつけ、「もういい、お前たち、そいつらをやってしまえ」と怒鳴り散らしました。


 ほほう、そう来ましたね。ジゴロウ師匠が言っていました、「身体強化魔法を用いながら棒術を使えば山賊なんぞ目じゃないぞ」ってね。集団でかかって来るって卑怯者ですしね。それじゃあ私も遠慮なく。うふふ、お初ですよ。


 『身体強化ストレング2』


 小金色をした光が一瞬、私を包み込みました。


 わお、なにこれ、身体軽い、早い、凄ーい。


 ムカに急き立てられて、一気に私の方に飛びかかって来る門下生たち。


 文句なし、相手の動きはスローモーションで見えるし、私の動きは馬鹿早い。飛びかかってくる敵に教えて頂いた棒術でエイっと(ボキッ)…ガン(ボキッ)…ゴン(ボキッ)…


 門下生たちが私の錫杖しゃくじょうを受け止めようと、手なり足を出しますが、身体強化をされた私の力は半端ではありません。そこらじゅうをボキボキ骨折して、うめき声をあげながらその場に倒れていきます。


 あらぁ…えらい事になっているわね。加減が難しいわ…でも、全然弱いじゃない…身体強化をしなくても余裕で勝てたんじゃないかしら…


 二十人ほどの門下生がその場で悶絶もんぜつしだすと、他の門下生はそれを見て後ずさり、完全に戦意喪失状態です。


 慌てたムカは再び吹き矢男の胸ぐらを掴み、私を射る様に命じましたが、吹き矢を放つより私の動きの方が断然早い。筒を構えた時には私の錫杖しゃくじょうがその腕を捕らえてボキッ…


 あ、またやりすぎた…今度は少しひかえめにしたつもりだったんだけど…


 その光景を見て、ムカは鬼か悪魔でも見るような目で私を見つめ、「ゆ、許して…た、助けてください…」と絞り出すように声をらしました。


 身から出た錆のくせに、何を勝手な事を…腹が立つので、錫杖しゃくじょうで頭を殴るとそのままのびてしまいました。ピロン…ん?何?まあ、今は良いか。


 サラさんの方はと言いますと、完全回復をしたサラさんにユウロンはなすすべもなく、あっという間に意識を奪われておりました。まあ、そもそも相当実力差があったものね。


 圧倒的な力の差を目の当たりにした門下生の大半は逃げ出し、『サラ流棒術道場』から寝返った門下生たちは、その場に土下座をしておりました。


「サラ師範、申し訳ありませんでした。自分たちの身が可愛いばかりに道場を裏切ってしまいました。どんな罰でも受けます。もう一度だけ『サラ流棒術道場』の門下生にして頂けないでしょうか」


 元門下生一同は地面に頭をこすりつけながら、懇願こんがんです。


「私が不在にしていたのも悪かったし、良いわよ、戻ってきても。今回の事は不問にします」


 サラさんは土下座をしている門下生の前に立ち、笑顔でそう言いました。


 おお、太っ腹です。情けは人の為ならずですね、流石です。


「でも、今後は道場破りが来てもやられないくらいに、あなた達を鍛えないといけないわね、みっちりしごくわよ、覚悟はいい?」


 門下生たちが苦笑をしながら、冷や汗を掻いていたのは言うまでもありません。


 ◇ ◇ ◇


『サラ流棒術道場』に戻ると、ジゴロウ師匠は庭を掃きながら皆の帰りを待っており、サラさんの姿を見た途端、一筋の涙。鬼の目にも涙です。


 何処かで「これにて一件落着」って聞こえた気がしましたが、空耳ですかね…


いつも読んで下さりありがとうございます。

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