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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第四章 新天地へ向けて

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45.悪いやつをぶっ倒せ 2

 サラさんが否定しても、筋肉男もムカも「そんな事は知ったこっちゃない」とニヤ付いたままです。


「サラ、お前はそう言うが、その娘は自分で門下生だと言っておるぞ?」


「私の事を師範と言っていない以上、門下生ではないという事は分かるでしょ」


「ほお、その娘の心配をしておるのか」


「関係のない人を巻き込みたくないのは当然でしょ」


 サラさんは私の事をかばおうと必死になってくれますが、奴らにとっては暖簾のれん腕押うでおぬかくぎ状態です。それどころかこんな事を言い出したのです。


「ほほお、それはお前が負けるかもしれないと思っているって事だな?勝てるならそんな心配をしなくても良いだろう。ははは。よし分かった、このまま戦わずして負けを認めるなら、その娘は何もしないで返してやろう、その代わり、今日からお前はこの道場の使用人だ」


 やはり、私は失敗しましたね、行動が悪手でした。サラさんの負担を増やしただけでした。そして、ムカたちが負けそうになった時、私を人質にサラさんが脅されることも視野に入れなければなりません。自分の失敗は自分で尻ぬぐいをする、私にできる事と言えば…


「サラさん、私はあなたが負けるとは思っていませんので、大船に乗ったつもりで見守っています」


 そう言って腕を組み、その場に座り込んでみました。無抵抗で動かない事が大事です。まあ、いざとなれば戦いますけどね。


「私はこの場でじっとしている。この場で私を人質にして勝とうとすれば、その卑怯な行為をここの大勢の門下生たちが見ているわ、きっとあなた達に失望する事でしょうね」


 暴れたり、逃げようとしたりすれば奴らに拘束する理由を与えてしまいます。私を脅しの材料として使わせない為にも、敢えて大きな声でそう言いました。ムカの門下生だけなら通用しないでしょうが、この中にはサラさんの元門下生も居るはずです。今は、その人たちの常識に期待するしかありません。ここはじっと我慢です。


「ふふふ、なかなか肝の座った娘だ。いつまでその空元気からげんきを続けられるかは見ものだがな。おいユウロン!」


 ムカは筋肉男に向かってそう言って顎で指示をしました。ユウロンと言う名前の筋肉男はゆっくりとサラさんに近づいていきます。そして、サラさんとの距離を調整しながら戦闘態勢を取りました。


 サラさんも背中に背負っていた棒を手に持ち、構えました。


 ムカの「やれっ!」と言う怒号が響くと、ユウロンはサラさんに飛びかかって行きました。


 掴みかかろうとするユウロンの腕を、器用に棒を使ってさばいていくサラさん。


 攻撃をかわされるユウロンは、強烈な回し蹴りで棒を叩き落とそうとしますが、それを難なくかわすと、サラさんはスッと身をかがめユウロンの顔の前に棒を突き出しました。ユウロンがそれを避けようとしてった所を足払い…ユウロンは見事に転倒。


 わあ、サラさん凄い、私は思わず前のめりです。


 必死になって起き上がったユウロンに、凄まじい速さの突きの連打を浴びせ、再び体制が崩れたところへグルグル回転させた棒が右の横面よこつらにヒット、苦痛に顔を歪め、たまらず片膝をつくユウロン。右の頬を抑えながら鬼の形相をし、まるでコントロールの利かない暴れ馬の様に興奮状態になっていきます。


 唸り声をあげ、猛ダッシュをしてサラさんに掴みかかろうとする瞬間に、彼女はその場に伏せ、ものの見事に足を絡め、ユウロンは再び転倒。サラさんの軽快な動きになすすべもありません。


 私は盛大に拍手、格好良すぎです。前髪を払うその姿髪…惚れてしまいそうです。


 顔に沢山の擦過傷さっかしょうを作りながらも立ち上がったユウロンは、懲りずに何度もサラさんを掴もうと必死になって腕を伸ばします。ようやく棒をつかめたと思えば、サラさんはそれを棒高跳びの棒の様に地面に据え、ユウロンを跳び越すと、その後ろから蹴りを食らわせました。


 強すぎるサラさんを、ムカはどの様な顔をしてこの状況を見ているのかと思い、そちらの方に目をやると、鬼の形相をしながら爪を噛み、そばに付き添っている男に何やら合図を送っています。すると傍に居る男が細い筒をくわえ、プッと何かを噴き出しました。


 なんと、吹き矢でサラさんを攻撃したのです。門下生たちは戦いに夢中で、全くその事に気付いていません。


 細い吹き矢の針はサラさんの右の大腿に刺さりました。目の前に敵を倒すことに集中するサラさんにとって、細い針が大腿に刺さった事に気付いていない様子でしたが、突如として彼女の右膝が崩れたのです。


 一心不乱で物事に立ち向かっている時には、気付かないうちに何処かを怪我していたというのはよくある話。吹き矢の傷などはサラさんにとってその程度の事だったのでしょう。しかし、どういう訳か突如として右足の力がうばわれたのです。サラさんは驚愕きょうがくの表情を浮かべ自分の右足に目をやりました。何が起こったのか理解が出来なかったのです。


 刺さった針は浅かった為か、直ぐに身体から抜けたようですが、彼女の足の状態から、針に何らかの毒が塗ってあったのでしょう。その様子を見て、ムカはニヤリと笑いました。


 ユウロンは体制の崩れたサラさんを見て、チャンスとばかりに右顔面に凄まじい蹴りを放ちました。サラさんはとっさに腕でカバーをしたのですが、相手は筋肉男、防御してもその衝撃は相当なもの、ものの見事に吹っ飛ばされてしまったのです。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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