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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第四章 新天地へ向けて

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44.悪いやつをぶっ倒せ 1

 おっと、忘れていましたよ。サラさんが帰ってくるのを待ってないといけなかったですね。でも、いつ帰ってくるのだろう…でもね、きっともうそろそろですよ。私が『棒術』を習得することで次の扉が開かれることになっているはずです。…ほらね


 道場の門の所で、長い黒髪のスラッとした、見るからにアスリートって感じの美しい女性が呆然と立っていました。あれがきっとサラさんですかね?相当若そうなのですが…


「お、おじいちゃん…門下生は?それにその女の子は一体誰?なんで誰も居ないの?」


 あ、おじいちゃんって言っています。やはり彼女が『サラ流棒術道場』の師範でサラさんの様ですね。いきなりの質問攻めです。そりゃ、そうなりますよ、気持ちは分かります。


「ん、あ、そうじゃのう…門下生は皆『ムカ拳法道場』に取られちまったよ…」


「え?師範代のチョンはどうしたのよ?」


「ああ、負けたことを恥じて一人で修行の旅に出かけたのじゃ、まあ、仕方あるまい。やつは師範代じゃったが、それ程強くなかったしのぉ」


「何を言っているのよ。確かに実力はそこそこだったけど、とても良い指導者だったのよ。それにしてもムカの奴…私が居ない時を狙って来るなんて最低な奴…おじいちゃんもどうして助けてくれなかったのよ」


「わしは街に出かけておっての、帰ってきた時にはすべて終わっており、チョンが座り込んで項垂うなだれていたのじゃよ」


 サラさんは両拳を握りしめ、歯を食いしばっていました。相当腹が立ったのでしょう。


「私、『ムカ拳法道場』に行ってくる。門下生が戻るかどうかは本人たちの問題だけど、ここで泣き寝入っていたのではうちの道場の沽券こけんにかかわるわ」


 サラさんは旅支度をそこに放り出し、ジゴロウ師匠が止めるのも聞かずに、自分専用の棒を持って走って道場から出ていきました。


…私の事はどうでもいいのですね。


「ふぅ…やはりこうなったか。あの娘はこらしょうのない所があるからのお…すまんがミドリさん。追いかけてはくれぬか。ムカは勝つためには手段を択ばない奴じゃ、孫が心配じゃ…頼む…『ムカ拳法道場』の場所は…」


 ◇ ◇ ◇


 小走りをしながら『ムカ拳法道場』へ向かっていますが、サラさんの姿は一向に見えません。相当な速さで向かっている気がします。もしかしたらこれから戦うかもしれないのに、今から体力を使っていて大丈夫かしら…サラさんの事が心配になります。


 西地区にある『ムカ拳法道場』と大きく掲げられた看板のある建物は、『サラ流棒術道場』と同じくお寺の様な大きな建物でした。その門はしっかりと閉められており、中で何が行われているのか分かりません。サラさんが心配です。大きな門のすぐ横にある脇戸わきども、きっと閉まっているだろうなと思いきや…開いているじゃないですか。お間抜けさんですね。


 音を立てない様にそっと脇戸わきどを開きました。大きな門のすぐ内側には『サラ流棒術道場』と同じく、だだっ広い砂地の広場。その中央で、100人くらい居そうな大勢の門下生が、何かを取り囲む様に、ざわついています。そこの中には『サラ流棒術道場』の門下生だった人も居るのでしょうね。


 サラさんが一人で囲まれているんじゃないかしら…


 不安のよぎった私は、人の薄い隙間からこっそり中央を覗くと、やはり中に居たのはサラさん。その目の前には筋肉隆々の嫌らしい顔をしたごつい男と、そのすぐ後ろにはスケベ面をした偉そうな小太りの中年男性。察するに、筋肉男が師範代で中年オヤジがムカ師範だろうと思われます。


「門下生が移籍するのは自分の意志だから仕方ないとしても、我が棒術が弱いと出鱈目でたらめを広められるわけにはいかないのよ」


「何を言う、実際に我が拳法の前にお前の所の師範代が敗れたではないか。それを弱いと言って何が悪いのだ」


「師範代は指導者よ。門下生の方が強いという事はありうるでしょ。まあ、そんな事はどうでもいい。我が棒術があなたの拳法よりも強いという事を証明に来たのよ」


 サラさんは怒声を上げますが、前に立っている筋肉男もムカも平然としており、それどころか薄ら笑いをしている様に見えます。


「まあ、わざわざ来て貰ったのだ、お前の顔を立てて相手をしてやろう。ただし、お前が負けたら道場は閉鎖して、お前はここで下働きをするという事が条件だ」


 ムカはニヤニヤしながら勝手な事を言ってきます。そもそも、自分から道場やぶりに来たくせにどういう事?何を考えているのよ、気持ち悪い。そんな挑発に乗ったらだめですよ、サラさんっ…あ…


「ええ、いいわよ。でも私が勝てばここにいる人たちは、我が棒術があんたんとこの拳法より強かったという事を知るでしょう」


 あぁ…乗っちゃった…それ非常にリスクを背負った勝負ですよ…ダメですサラさん!


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。だいたい下働きってなによ。サラさんをどうするつもり?気持ちの悪い中年オヤジ」


 あまりにもサラさんが心配で、思わず飛び出してしまいました。そんでもって、やっちゃった感ありです。筋肉男もムカも怪訝けげんそうに私を見ています。


「なんだお前は?」


「わ、私はですね。えっと、そう!サラ流棒術の門下生です」


「ほお、お前も門下生か。なら、師範が負ければお前も下働きをしてもらおう。気持ち悪い中年オヤジ呼ばわりしたのだ、それくらいの覚悟はできていての事だろうな。ぐふふ」


 うわあ、やっぱり気持ち悪い。スケベな感情がだだ漏れだよ…私も怪訝けげんがおがえしをしているとサラさんが止めに入りました。


「この子は門下生じゃないわ。関係ない子を巻き込まないでちょうだい!」


いつも読んで下さりありがとうございます。

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