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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第四章 新天地へ向けて

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41.じじいのくせに

「まあ、折角来たのじゃ、お前さんがどれだけやれるか見てやろう。まあ、心配せぬともよいぞ、わしはここでずっと掃除をしながら練習を見ておるのじゃ、それなりの目はもっているつもりじゃからのぉ」


 何を言っているの?この変態じじいは…単なる掃除夫なのに?仮にも私は冒険者でレベル17なのですよ?モンスターのうさぎ(ケッパーラビット)だって一撃で倒せるほどですよ…怪我をしたいのですかね?


「おい、何をしておる?さっさとその手に持っている棒で打ち込んできなさい」


 躊躇ちゅうちょしている私にじいさんはあおり立ててきます。こうなったら仕方がありません。その手に持っているほうきを叩き落としましょう。


「怪我をしても知りませんよ」


 戦い方を学んだことのない私は、兎に角、錫杖しゃくじょうを野球のバットの様に、振り回すことしかできません。それでもレベル17なので当たると怪我をさせてしまうでしょう。体に当てない様に、ほうきを狙ってよいしょっと。


「なんじゃ、そりゃ?全然当たらんじゃないか…」


 見事にけられました。じじいのくせになかなか軽快な動きを見せてくれます。それでは、もう少し力を込めて…


 バットを振る様に左右にブンブンと錫杖しゃくじょうを振りましたが、ひらひらとかわされました。


「動きも単調で、遅い。まあ、少しは力はあるようだがの、それじゃあ敵は倒せぬぞ」


 習った事がないので単調なのは仕方がありませんが、この変態じじい、しゃくさわる言い方をしますね。


「ふぅ、ふぅ…当たりさえすればほうきを弾き飛ばせるのに…」


「ほう、当たればこのほうきを弾き飛ばせるとな?やってみんさい」


 おじいさんは自信満々の高飛車な態度で、私を見下してきます。じゃあ、やってやります。後悔こうかいしないでくださいね、えいっ!


『ガチンッ』…うそ…受け止められた。じじいのくせに…


うそでしょ?私はこれでも結構強いって言われているんだよ?おじいさん、なんで受け止められるのよ」


「ふぉっふぉっふぉっ。まあ、お前さんは確かに力だけは強い。この辺りだとそうそうお前さんに勝てる奴はいないじゃろう、だが、所詮しょせんは力だけ、世間知らずの井の中のかわずじゃ。プリーステスのお前さんが、ここに来たのにも何か理由わけがあるんじゃろう。どれ、わしが稽古をつけてやろう」


 おじいさんは、ニヤリと笑いながら手招きをしてきました。


「え?普通に嫌ですけど…」


「え?わしが直々(じきじき)に稽古をつけてやろうって言っておるのにか?何故じゃ?」


 まさかの拒否だったのでしょう。おじいさんは口を開けたまま、目をパチクリです。


「だって、おじいさん、セクハラするし嫌なんだよ」


 的を射た私の返答に、おじいさんは目を点にして思わず絶句…ほらね、きっと稽古にかこつけて私を触ろうとしているのですよ。


「ホテルの一件か?あれは事故じゃよ、事故。たまたまふらついて手がお前さんの胸に当たってしもうただけじゃい」


「手も握ってスリスリしましたよね?」


「あ、あれはお前さんの潜在能力の高さを知ろうとしておったのじゃ。底力を感じたものでのう」


「怪しすぎます。言い訳なんていくらでもできるもの。教えて貰うならここの師範の先生に教えて貰います。先生が帰って来ないなら、『ムカ拳法道場』に行ってみようかしら」


「それはダメじゃ、あそこの師範はずるくて金に汚くて、おまけにスケベじゃ。お前さんのような小娘が行くときっとひどい目に遭うぞ」


「スケベなのはおじいさんも変わらないじゃない」


 おじいさんは「うぐぐ…」と黙りこくってしまいました。覆水ふくすいぼんに返らず、身から出たさびですね。


「分かった、お嬢ちゃん。わしが悪かった。セクハラはせん、約束する。だから、ここでの修行を受けてくれぬか?」


 おじいさんはぺこりと頭を下げました。でも変なの。「教えてやる」から、「修行を受けてくれ」に変わりましたよ。


 私としては、セクハラされないで教えて貰えるならどこでもいいのですが、ここまで言われるのは何か理由があるのかもしれません。


「まあ、セクハラをせずに教えてくれるなら、教えさせてあげてもいいですけど…そんなに私を指導したいのですか?何か悪い事でも考えていません?」


「いや、何も悪い事は考えておらん。ただ、少し頼みたいことはあるが…その事も踏まえて、是非、わしにお前さんの指導をわしにさせてくれぬか」


 ついにお願いされましたよ。習いに来たのに、指導をさせてくれだなんて立場が逆転?頼みたい事がロクデモナイ事でなければ、いいですけどね。


「じゃあまず、おじいさんの頼みたいことから聞きます。私のきける頼みであるならご指導を頂戴したいと思います。おじいさんの頼みっていったい何ですか?ジジ活とか嫌ですよ?」


「おい、その男女系の話はもうやめてくれ。もうしないって言っておるじゃろ…実は、『サラ流棒術道場』の師範のサラと言うのはわしの孫娘なのじゃ。サラがここに戻ってきた時、門下生が居なくなっている事で『ムカ拳法道場』に乗り込んで行くと思う。だが、あそこの師範のムカは汚い手段を平気で行える男じゃ。サラが心配での、プリーステスのお前さんなら回復などの魔法が使えるんじゃろ?孫の力になってやってほしいのじゃ…」


 なんだ、やっぱりただの掃除夫なんかじゃないじゃないの…でも、おじいさんのお話、信じていいのかしら…


いつも読んで下さりありがとうございます。

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