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3.登録

 マリーさんは私に優しく声をかけてくれましたが、実は何を言われているのかがよく判りませんでした。個人カードって?マイナンバーカードみたいなものかしら?でも、残念。まだ、私マイナンバーカード作っていないのよね。


 私が、黙ってその場に立ちすくんでいると、マリーさんって優しいですね。笑顔で声をかけてくれました。


「あなたの上着の胸ポケットにカードが入っているから、それを貸してくれる?」


 自分の胸ポケットを探ると、確かにカードが入っていましたよ。マリーさんは私からそれを受け取ると、カウンターの真ん中で光っている部分にそのカードを置かれました。


「じゃあ、始めるわね。えーっと、あなたのお名前は?」


「え?…名前ですか?」


「そう、登録名よ?決まっていないなら『ジョン』にでもしておきます?」


 なんで『ジョン』?


「え?…ちょ、ちょっと待ってください。流石に『ジョン』って男の方の名前では?」


「まあ、そんなの、別に何でもいいのですよ。じゃあ『ジョン』にしておきますね」


「いや、待って…あの、『ミドリ』…『ミドリ』にします」


「あら、そう?残念ね。『ジョン』って格好いいと思ったんだけどな…でも、『ミドリ』も良い名前ね、じゃあ、あなたの名前は今から『ミドリ』ね」


 ひやひやです。危うく『ジョン』にされる所でした。マリーさんはマサトのお勧めの受付嬢さんという事ですが、一体この方、何なのでしょう?ニコニコされていますが、うかうかしていると何をされるか判りません。


「じゃあ、ミドリさん。次は職業ね。何にします?」


「何があるのですか?」


「職業はね。ウィザードプリーストソルジャープリーステスハンツマンレディーハンターオセンニキャラメルですね」


「あ、あの…それは何かの呪文でしょうか?」


 何を言っておられるかサッパリ分かりません。おまけに最後の方には変な単語が混ざっていたような気もするし…あ、ニヤニヤわらっている。さてはワザとやっているわね。


 ああ、マサトもニヤニヤ笑っている。あいつもこうなる事を分かって、この受付嬢さんに並ばせたな。


 一応、マサトの方を向いてキッとにらんでおきましたが、こたえていません。


 くっそぉ、へらへらしやがって。


「じゃあ、もう一度言うわね。ウィザードプリーストソルジャープリーステスハンツマンレディーハンターオセンニキャラメルですね」


 うん、やっぱり変な事を言っていますね。でも、今回はちゃんと聞こえましたよ。悪戯いたずらには悪戯いたずらがえしです。


「あの、じゃあ、オセンニキャラメルをお願いします」


 オセンニキャラメルってお煎餅せんべいとキャラメルの事ですよね。さて、どんな返しが来るのでしょう?


「はい、オセンニキャラメルです。2ピネル頂きます」


「げっ」


 マリーさんは平然な顔をして、お煎餅せんべいとキャラメルを出してこられました。ここは売店ですか?うー、本当に置いてあるなんて開いた口がふさがりません。でも、地味に美味しそうですが、残念ながら私はピネルを持っていないので買うことは出来ないのですよ…


って、一体これは何のやり取りなのですか?


「……」


「えへへ、ごめんなさい。ミドリちゃんが可愛いから、ついつい揶揄からかっちゃったわ。それは私からの初、冒険者登録のお祝いよ。食べてね。さあ、真面目に仕事をするわ、ウィザード、ソルジャー、プリーステス、レディーハンターが最初に選べる職業よ…」


 困った顔をしている私を見たマリーさんは、クスクス笑いながらようやく話を進めてくれました。突然、親し気な『ミドリちゃん』呼びには驚きましたが、ただでオセンニキャラメルを頂けたのですから、まあ、良しとしましょう。


 話によると、ウィザードは魔法使いさんです、魔法で攻撃をする職ですね。ソルジャーは剣士ですね。力と技で相手をねじ伏せます。プリーステスは女性の癒し及び防御係職です。主に回復魔法、防御魔法にけている方です。レディーハンターはハンターと言うだけあって、遠隔物理攻撃が得意のいわゆる狩人です。弓が得意だそうです。


 最初に選べるのはこれだけで、経験を重ねると上位職にもなれるのだとか。その話を聞こうとしたら「まだ早いですぅ」と言われました。ぶうぅ。マリーさん…説明するのが面倒だっただけなのではないでしょうか。


 私の将来の夢は医療従事者になる事なので、この中で選ぶとしたら癒し系のプリーステスが気になります。が、別にゲームの中なのでこだわらなくていいのだけどね。


 ただ、ひとつ気になる事は、このお話はモンスターを倒すことが前提でしょ?癒し系のプリーステスってモンスターを倒すことが出来るのかしら?この職を選んでマサトの世話になるのはごめんだし…


「あの…プ「はいはいはいはい。私にはわかりましたよ。ミドリちゃんはソルジャーになりたいのでしょう。顔を見た時からそう思っていましたよ。じゃあ、ソルジャーにしておきますね」…」


 うえぇ、お話を聞いてくれない方ですね、いきなりセリフをさえぎられました。それにマリーさんどんどん登録を進めていこうとしていますよ…こりゃ、まずいです。


「ちょ、ちょっと待ってください!ソルジャーにはなりません」


 お話を聞いてください。思わずマリーさんの手をつかみ、動きを制止しました。え?何やらマリーさん顔を赤らめていますよ…


「あら…手をつなぎたいならそう言ってくれたらいいのにぃ」


「ち、ち、違いますよ…そうじゃなくて、ソルジャーにはならない事を伝えたくてですね」


「あらそう?残念ね。ミドリちゃんが凛々(りり)しく剣を持っている姿、楽しみだったんだけどな。まあ、いいわ。じゃあ、何にする?ミドリちゃんなら何でもよくお似合いよ」


 マリーさんの趣味で職業を決められたら困ります。


 やれやれ、なんだか疲れてきました。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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