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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第三章 公爵家の方々

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31.凄いですね

「ミドリ様、この少女の足は早く治さないといけません。ずれている骨が神経を圧迫しています。放っておくとこの子の足は動かなくなるでしょう。ただ、このまま整復と言って、骨の形を整える秘術を使うと激痛が走ります、この子には耐えられないでしょう」


 メアリーさんの言いたいことが理解できました。整復とやらを行っている間、リンちゃんが起きない様に『おやすみの笛』を吹き続けろって言うのですね。要は麻酔の代わりって事ですね。


 そして、整復が終わった後に、『接合ジョイント』を唱えればよいのですね。


「了解しました。それにしてもメアリーさんは凄いですね。医学の知識もあるのですね」


 メアリーさんは少しほほ笑んだ後、リンちゃんの足を真剣な眼差しで見つめられました。どの様に整復するかを、考えておられるのです。


「素人に毛が生えた程度ですが、お嬢様の身に突然何があっても対処ができる様に、一通りの事は教え込まれておりますので…」


 そしてメアリーさんは、そう言って腕まくりをし、腰に掛けておられたポーチから、耳栓を取り出されました。


 おやまあ、そんなものまで持っておられる…それに、笛の音を聞くと眠るという事も知っておられるのですね。誰でも持ち歩いるものなのかしら?


 そう言えば、誰も『おやすみの笛』をモンスター討伐に使ったり、麻酔に使ったりしていないみたいです。使えば簡単に『いたずらネズミ』の駆除とかできるのに、どうしてなのでしょうね?


「メアリーさん、冒険者たちは何故『おやすみの笛』を使って、モンスターの討伐をされないのですか?」


 私がそう言うとメアリーさんは不思議そうな顔をされました。


「あの…どういう経緯でその笛を購入されたかは存じ上げませんが、『おやすみの笛』は吹き手を選ぶのですよ。誰が吹いても相手を寝かせられるという物ではありません。使える人が稀なのですよ?寝かせるだけなら、プリーステスの魔法に『眠りの魔法スリープ』と言うものは有るのですが、対象は単体ですので…ふふふ、今の場合はそちらの方が良さそうですけどね」


 あれ?ご存じありませんでした?とばかりの表情でメアリーさんはそう答えられました…けど


 何という事でしょう。売れ残っていた理由はそこでしたか。あのおばちゃんは「誰でも吹けるよ」見たいな感じでサラッと売ってくれたような…うぐぐぐ…騙されましたか?いえ、さらっと『上手く吹くとぐっすり寝てくれる』って言っていました。あながち間違ってはいませんし、嘘もついていません…それに、欲しがったのは私ですしね、別に文句はありませんよ。でも、売る時にそう教えてくれてもいいじゃない…まあ、吹けたのはラッキーでしたけどね…今度あのおばちゃんを眠らせてやろうかしら…


 ん…?ちょっと待ってくださいよ?笛が使える私はレアな存在って事ですか?よく考えればすごい事ですよ。ぐふふふ。私を笛の名手と呼んで下さい。


 おっと、ニマニマ喜んでいる場合ではありませんね。そんな事よりリンちゃんです。ユキちゃん、ナップザックに入っていて下さいね。


 私が『おやすみの笛』吹き出すと、2,3分待った後メアリーさんがリンちゃんの右足をそっと持ち上げられました。どうやら動かしても起きない事を確認されているようです。


 メアリーさんはリンちゃんが動かない事が分かると、右足の膝の部分と足首を持って引っ張り上げ、足を元の形に整えられました。うわぁ…ゴキゴキ言っていますよ…でもリンちゃん起きない、良かったぁ


「これでいい…ミドリ様、『接合ジョイント』をお願いします」


 私は錫杖しゃくじょうをリンちゃんの右足にそっと当てて、お初の魔法『接合ジョイント』を唱えました。リンちゃんの右足が、淡い赤外線の様な赤い光に包まれた後、それはゆっくりと消えていきました。


 メアリーさんは右足を持ち、動きを確認してから「よし、大丈夫。さすがミドリ様です。次は左足です。もう一度笛の音をお願いいたします」


 左足も、右足と同様に治療をし終えた後、メアリーさんはリンちゃんの胸に手を当てたり、呼吸の音を聞いたりされ「もう大丈夫ですね。心臓の動きも、呼吸も落ち着いています。しばらくすると起きると思いますので、このまま寝かせておいてあげましょう」とおっしゃられました。


 私は、シスターマーガレットさんから借りたおんぶひもでリンちゃんを背負いました。4歳の女の子ですから体重は15㎏位でしょうか、普段の私なら重くてヒイヒイ言うところでしょうが、全く重くありません。きっと、レベルアップの恩恵おんけいですね。素敵です。


 リンちゃんを背負ったまま、私が表情も変えずに山道をスタスタ歩いていると、驚いたのはメアリーさん。


「…ミドリ様は見た目以上に力がお強いのですね」


 私の身長は155㎝で体重45㎏ですので、スタイルはかく体重の値は私の理想です。…華奢きゃしゃに見えたのかな?


 でもね、そうおっしゃられますが、メアリーさんだってとても熊の首を跳ね飛ばす様には見えませんよ。私よりも背は高いですが、スラッとしていて、腕も足も白くて細いです。今でこそ迷彩めいさいの服を身に着けておられますが、ブラウスとスカートを着用しておられる時は「どこのお嬢様ですか?」って問いたくなる程、清楚せいそな感じでした。


「『いたずらネズミ』を沢山倒したので、沢山レベルが上がっちゃいまして、重いものでも楽になりました。エヘヘ…レベルアップ効果って凄いのですね」


 私が、へらへらしながらそう言うと、メアリーさんは「お尋ねして宜しければ、レベルを教えて頂けますか?」と問われたので「17です」と言いました。


「え…プリーステスさんでレベル17の方は滅多に居られませんよ…」


 メアリーさんは目を丸くして驚かれておられました。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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