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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第三章 公爵家の方々

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29.見ぃつけた

 森に入ってから随分と時間が経ちました。ユキちゃんに言われるがまま、真っすぐに山道を進んでいると、メアリーさんの肩に乗っていたユキちゃんが、私のもとに帰ってきました。そして、側道があるわけでもないのに「キイキイ」と鳴き出したのです。


「え?ユキちゃん?ここからこの草叢くさむらに入って行けって言っているの?」


 私がユキちゃんにそう問いかけると、ユキちゃんはクンクンと鼻を鳴らしながら「キイ」と鳴きました。ユキちゃんが示す草叢くさむらを見てみると、ほんのわずかですが、草を踏みつけたような跡が見られます。


 きっと、リンちゃんはここで『クックバード』を見つけて、草叢くさむらに入っていったのね。


「メアリーさん、私は草叢くさむらを探してきます。その綺麗な服が汚れてしまいますので、どうぞここでお待ちください」


 私はメアリーさんにそう言って、草叢くさむらに足を踏み入れました。ほんの5mも進むと草の背丈は高くなり、私の太もも近くまで伸びています。それに周りには大きな木もうっそうと立ち並び、薄暗い木漏こもれ日が遠慮がちに所々を照らすのみです。探しにくい…


 この深い草叢くさむらをリンちゃんが歩いていたとしたら、首から上がかろうじて出るくらいかしら…


 うーん、歩きにくいわね。


 草をけなんとか歩いていると、いきなりガサガサガサガサ「ギギィ!」と興奮した兎が飛び出し、私に向かって襲い掛かってきました。ビックリした私は思わず錫杖しゃくじょうを振り回すと、見事にヒット。兎は草叢くさむらに落ちました。


 び、びっくりしたぁ。でも、あれ知っている。ガイドブックに載っていたよ、『ケッパーラビット』っていう奴ですよ。いきなりあんな奴が出てくるんだから、リンちゃん…怖い思いをしているのだろうなぁ。


『ケッパーラビット』が落ちた草叢くさむらをそっとのぞいてみると、そこには『ケッパーラビットの毛皮』と1ピネルがありました。1ピネル…ショボ。


 そう、ここは森のど真ん中なので、いつモンスターが出てくるか分かりません。だからリンちゃんがいつ襲われてもおかしくないのです。私は急いでユキちゃんに尋ねます。


「ユキちゃん、ここをまっすぐ行けばいいの?」「キイ」


 ユキちゃんを信じてそのまま草叢くさむらを進んで行ると、足に何かがからみつきました。


 何かしら?とそこへ恐る恐る手を伸ばしてみると、虫取り網の網の部分です。


 これはもしかして、ライタの言っていたリンちゃんが持って行ったと思われる虫取り網?土まみれにもなっていないから、落としてから時間は経っていない。それに間違いはなさそうね。と、いう事は近くにリンちゃんが居る可能性がある?


「リンちゃ~ん」


 大きな声で呼びかけてみましたが、返事は有りません。深い草叢くさむらを掻き分け、リンちゃんを探しながら必死に前へ進みました。草を掻き分けながら歩いているので、私の美しい手はカサカサです。あーん、リンちゃん何処に居るのよぉ…


 そんな時、いきなりユキちゃんが「キイキイキイ」と大きく鳴きました。


「どうしたの?ユキちゃん、またうさぎでも出てくる?」


 その場に立ち止まってそう尋ねると、ユキちゃんは何やらジェスチャーで進行方向を示しています。一体、何を訴えようとしているのでしょう?


 前を見てみると、草叢くさむらが深くて分からなかったのですが、なんと、その先は切り立った崖になっていたのです。


 う、うわぁ…危なかった…遭難そうなんするところでしたよ。


 おそおそる崖の下をのぞいてみると、崖の高さは5m程度で更にのぞんでみると…あ!人影が見える。リンちゃんだ、リンちゃんだよ。大変、崖から落ちて気を失っているのだわ。


 でも、こんな所どうやって下りればいいの?


 下手をすれば、私もリンちゃんと同じ目に遭いそうです。そんな時には、またしてもユキちゃんが助けてくれました。


 ユキちゃんは私の横に立っている大きな木に飛びつき、カリカリと何かにかじりつきました。それは大木に巻き付いた『トピカカズラ』の木のつるでした。


 わかったよユキちゃん。それを使って降りろって言ってくれているのね。


 ユキちゃんが、木の幹にの上の方まで伸びて、絡みついているつるの一部をかみ切ると、私はそれを大木から外しました。ゆうに10m位はあります。太さも十分、それに地面の深い所から生えてきているので、抜けたりもしません。強度もばっちり。


 さあ、行くわよ。リンちゃん待っていてね。


 ロープの様に伸ばしたつるを崖の下まで下ろし、私は足場を確認しながら、ゆっくり崖を降りました。


 幸い、リンちゃんが倒れている所は平坦になっており、足場もしっかりしていたので、取り敢えず直ぐに移動する必要は無さそうです。


 倒れているリンちゃんの顔へそっと近づくと、呼吸はしています。良かった、生きている。


「リンちゃん、リンちゃん」


 頭から血を流してはいませんが、声をかけても意識はありません。それに体中擦り傷だらけです。そして…あぁ…両足があらぬ方向を向いています。


 両足を骨折しているのだわ…この折れ方だと相当、内出血しているはず…


 ステータスを開けると、習得ポイントが30ポイントくらい貯まっていました。


 よし。なにか治療のできる魔法を獲得しよう。私はすぐさまナップザックからガイドブックを取り出しました。



いつも読んで下さりありがとうございます。

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