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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第二章 孤児院を守れ

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21.下ごしらえ

 日暮れまでまだ少し時間があるので、畑に戻った私はクマさんに作戦を伝えます。


「クマさん、畑に大きなビニールシートを敷いて、その上にブルーチーズを沢山置きたいです。ブルーチーズあります?それに廃野菜。痛んだものでも構いません」


 ブルーチーズと大きなビニールシートが無ければ、今日は作戦を決行することが出来ません。中途半端な事をして逃げられると、知恵がつく可能性があるからです。そうなると、二度と同じ手は使えないでしょう。


 クマさんはキョトンとされ「なんでそんなものが必要なんだい?」と聞いてきました。


「匂いの強いブルーチーズをくことによって、きっと一ヶ所に『いたずらネズミ』を集めることが出来ます。ビニールシートを使う訳は、私が使う魔法『ライトニングプラス』は電気による広範囲魔法攻撃なので、一応絶縁の為ですね。それに敷いておけば畑に散らばった『いたずらネズミの歯』を拾い集めるのに便利でしょ?」


 クマさんは「ほほぉ」と言いながらうなずいてくれています。「ただ、ブルーチーズって結構高いぞ。あまりたくさん出すのはなあ…」


 そうおっしゃられると思いました。判っていますよ、ブルーチーズ単独だとハイコストになっちゃいますので、要らない野菜にそれを混ぜてにしようと思っています。かさ増しですね。要らない野菜も処分が出来て、一石二鳥でしょ。


 私がそう提案すると、クマさんは大きな樽を持ってきて、その中に廃野菜と古めのブルーチーズを放り込み、ぐるぐるぐるぐると中身をかき回しました。


 ツーン…なかなか強烈な匂い、慣れるまで鼻栓が必要かも


 いま『いたずらネズミ』に来られては困るので、樽にしっかりと蓋をします。これで匂いは漏れません。


 駆除くじょの舞台である、外灯がいとうそばの畑の大きさは、25メートルプールを2つ横並びにした程度の大きさです。そこにビニールシートを敷くのはなかなか大変なのですが、クマさんの5人の使用人さん達に手伝って貰いながら、数枚のシートを用いて敷き詰めることが出来ました。


「お嬢ちゃん、この上にその餌を撒くのかい?」


 クマさんは半信半疑で私にそう聞いてきます。そりゃあ、そうですよね、廃野菜と古いブルーチーズとはいえ、結構なコストがかかっているはずです。失敗すれば大損ですものね。


 でもご安心ください。多分、大丈夫…だと…思います。


「はい、太陽が半分くらい沈んだら、皆で一斉にシートの上にそれを満遍まんべんなくばら撒いてください」


 太陽が沈みだすまで後15分ほどです。


 私の声掛けで、使用人さん達はビニールエプロンとビニール手袋を装着し、鼻には綿球を詰めて「ふごふご」言いながらマスクにゴーグルも装着。片手に柄杓ひしゃくを持って待機をしてくれました。


 私の方は広い畑なので、すべての場所に音が届くように拡声器を借りて私の前に設置をし、脚立に乗っていつでも『おやすみの笛』がける準備をしました。それと、念のために『トピカハッカ』の葉を何枚か身体に貼り付けました。襲われない様にするためです。


 後は太陽が沈みだすのを待つだけです。


 ◇ ◇ ◇


 西の空が真っ赤に燃えだし、太陽が半分まで隠れた時、私は「それじゃあ、宜しくお願い致します」と号令を掛けました。


 使用人さん達には太陽が沈み切るまでに、この畑前面に満遍まんべんなくいて頂くようにお願いをしていましたので、畑の一番奥から順番に「うりゃー」っと豪快ごうかいな掛け声を上げながらみるみるうちには、シーツの上にき詰められていきました。


 うわぁ…くさぁ…


 おもわず鼻を塞ぎたくなりましたが、皆さまが一生懸命頑張ってくれているのですから、それをやっちゃあだめですよね。


 ブルーチーズは、少しずつならこの香りもさほど気にならずに、美味しくよばれることが出来るのですが、これだけ大量になると相当きついですね。おまけに痛んでいるものだから臭さは倍増。この匂いのお陰で、かえって『いたずらネズミ』が来なかったらどうしましょう…


 もう間もなくが敷き詰められるかという時に、夕日はすっかり沈み、月の灯りと外灯が当たりを照らし始めました。


 その時です…私の肩に居たユキちゃんが大慌てで、ナップザックに逃げ込みました。


 何処からか、地割れが起きてもおかしくない様な地響きと轟音ごうおん、遠くを照らしているのは月の明かりだけですが、遠くの方から黒い影が波の様に揺れています。


「うわぁ、あ、あれは…た、大量の…い、『いたずらネズミ』だ…まるでスタンピードだ…」


 慌てた使用人さんたちは、その場に柄杓ひしゃくを投げ捨て、大慌てで逃げだしました。でも、これは想定内。あらかじめ大量の『いたずらネズミ』が押し寄せた時には、直ぐにこの場を立ち去る様にと伝えていましたから。


 ただ、これは想像を超える程のネズミの量…私も出来れば逃げたいです。いやいや、子供たちの牛乳の為、やらなくちゃ…


 私は生唾を飲みながら、波の行方を見守っていると、それはあっという間に目的の畑に到着し、周囲を囲んでいる垣根をものともせずになぎ倒し、ブルーチーズの付いた野菜にむしゃぶり付きました。押し寄せた波はあっという間にシーツ全体に広がり、まだ大量にあるえさをめぐってみにくい争いが起きています。


 なんておぞましい…


 目をおおいいたくなる光景に、何とか気を落ち着かせながら、私は笛を構えました。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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