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1.ゲームの中へ 初めての世界

「いくら何でも最初から一人きりはダメだからね」


 私がいくら大丈夫と言っても、将人マサトは「これだけはゆずれぬ」と言って聞いてはくれませんでした。あんたが大丈夫なんだから、私も大丈夫に決まっているでしょ。


 そう言いたい所ですが、こちらは『ファンタジックワールド』の指輪を貸して頂かないといけない身、ここはいう事を聞きます。その代わりご褒美ほうび頂戴ちょうだいね。


 そう言って、私の物語が始まることになったのです。


 私の名は斉木みどり、十七歳の女子高生で、今目の前に居る将人マサトの幼馴染であり、同じ高校の同級生です。彼とは告白っぽい事をして付き合うかなと思いきや、そのままずるずるお互いの気持ちを言い出せないままここまで来ています。


 高校で吹奏楽を頑張っていた私ですが、超感染性の高い流行り病のお陰ですっかり活動時間が短くなってしまい、暇な時間も多くなりました。そんな時にたまたま教科書を忘れた将人マサトにそれを届けに行ったのです。


 すると、彼が…なんだろう、彼の部屋のゲーム機の前で、粒子が組み合わさる様にと言いましょうか、細かいドットが積み重なる様にと言いましょうか、レゴブロックを組み立てられるように完成したのです。


 はっきり言って人間のなせる業ではないですね。お化けかと思いました。


 相当、ビックリもしましたが、彼も私がいる事に相当びっくりしていましたよ。


 なんで、あんたもビックリするんだと思いましたが、目の前に『居るはずのない可愛い女子』が座っていたからという事にしておきましょう。


 嫌がる彼を無理やり説き伏せ、何があったのかを色々聞き出すと、妖精?時間を戻す?ゲームに入る?具現化?と何やら訳の分からない事を言ってきます。


 あなた、成績は良いのに、説明するのは凄く下手ですね。

 簡潔言うと、どうやら『ファンタジックワールド』の指輪があれば、ゲームの中に入ってリアルに楽しめる技を持っているとのことでした。本当かしら?


 でも、彼が中学生のころからいきなり運動ができるようになったり、勉強ができるようになったり、喧嘩けんかが強くなったりしたのはこういうからくりだったと言われると納得です。


 まだ、他にもなにか隠している事は有りそうですが、話すのを嫌がっている様子なので、それは聞かないでおくことにしました。焦らなくともいずれ判る気がします。


 その嫌がっていそうなこと?以外について、あまりにも楽しそうに話すので、だんだん私もそのゲームにかれてきました。


「いろいろな説明はいいから、私もその中に入らせて、それも一人でやりたい」


 言いました。楽しそうだし、遊びたいというのは当然ですよね。それに、彼も一人で始めたんだから、当然私も一人で始めたいわよ。


 そう言うと、「いくら何でも最初から一人きりはダメだからね」という事の次第でした。


 仕方がないので、OKサインを指で作りその条件を笑顔で飲むと、その他にも条件が出されました。


 夜遅くまで遊んでいると親も心配するだろうし一日三十分だけ、ゲーム内では六時間だそうです。保護者か!って思いますが、主導権は向こう。指輪を握られている以上、うなずくしかありません。


 その条件も飲みます。それで、ようやく満足顔の将人マサトになりましたね。


 そこまで話すと、将人マサトは急に難しい表情を浮かべ、もじもじしながら頬を赤く染めました。一体どうしたのだろう?


「あ、あのね。ゲームに入るには僕と手をつながないとダメなんだよ」


 なんだ、また何か保護者的な条件を出されるかと思っちゃった。あらら、赤くなっちゃって、思ったよりも初心うぶ。ふふふ、私は手をつなぐくらいどうって事無いわよ。


「なに?手を繋ぎたいの?」


 わざとそっけない態度で、ちょっと意地悪を言ってみました。色々条件を出してきた罰です。


「嫌ならいいんだよ?行けないだけだし。…僕も計画的犯行ってわけじゃなくて、そうしないといけからなんだけど」


 照れ隠しか、嫌なところを突かれたか、困った顔をしています。まあ、困らせたのは私だけど、「このんでつなぎたいわけじゃない」とか、「仕方がないからつなぐんだよ」とか、心無いセリフを吐かなかったから許してあげようかな。


 私が手を出すと、少し躊躇ちゅうちょしながら彼はそっと、手背に手掌を被せてきました。どんな顔をしているのだろう?背の高い彼の顔を下から覗き込もうとすると、眼をらされてしまいました。


 一体どうなるのだろう。すこし、ドキドキする。


 彼のごつごつした手掌を手背から感じながら、私は深呼吸をして心を落ち着け、その後の成り行きを見守ります。彼は慣れているだけあって、全く動揺している様子は有りません。


「ファンタジックワールド」


 ああ、その言葉を言わなくちゃならないのか…おやっ、彼が言葉を発した途端に左の小指にめた指輪が光り出しましたよ。でも、私なら薬指にまりそうだね。


 不思議に思って光る指輪を眺めていると、突然身体が引っ張られました。


「う、うわぁ…」


本編始まりです。よろしくお願いいたします。

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