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ソフィアのファンタジックワールド ~ミドリ 編~  作者: 季山水晶
第二章 孤児院を守れ

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14.ライタ

 孤児院に着くと、皆が汗水垂らしながら、垣根の修理と畑の修復をしていました。百匹ほどの『いたずらネズミ』を駆除したので、当面荒らされたりはしないはずです。子供たちはそれを知っている為、生き生きと作業をしています。


 子供たちは私を見ると、嬉しそうに手を振りながら寄ってきました。皆泥だらけです。


 一緒に作業をされているシスターマーガレットさんに「そろそろお昼なのでお食事にしませんか?パンを買ってきたのです。それとお肉も」と、声をかけるとニコッと笑われ、「中にナイフとお皿があるわ、どうぞ使って」言って下さったので取りに行きました。


 シスターマーガレットさんは私が食器を取りに行くのを見計らい、「みんな、そろそろお昼にしますよ。手を洗ってらっしゃい、ミドリちゃんが美味しそうなものを持ってきてくれたわよ」と子供たちに声を掛けました。


 孤児院の庭には、木でできた長いテーブルがあり、外で食事をることも出来ます。私は皆が手を洗いに行っている間に、袋からパンとローストビーフを出しました。借りたナイフでそれらを切り分け、人数分のお皿に盛りつけました。出来立てのパンに、出来立てのローストビーフ、とても美味しそうです。


 シスターマーガレットさんも、取っていた野菜を盛り付けて下さり、彩鮮いろあざやかな昼食が出来上がりました。


 子供たちが手を洗って戻ってくると、並べられた昼食に目を丸くしています。中にはよだれを垂らす子も居ます。余程お腹を空かしていたのでしょう。


 皆が席に着くと、シスターマーガレットさんと一緒にお祈りをささげた後、待望の昼食会が始まりました。お肉を食べるのは久しぶりなのでしょう。子供たちはものも言わず、猛烈にそれらを口に放り込んでいきます。


 あらあら、そんなに慌てると喉を詰めるわよ…まだまだお代わりもあるし、ゆっくり食べてね。


 食事を摂りながら私とシスターマーガレットさんは、今後の孤児院についてお話をしました。私は全くの部外者ですが、可愛い子供たちの為だもの、何かしてあげたいって思うじゃない。いっぱい笑顔でお礼も言ってもらったし、感謝されついでに協力を申し入れたのですよ。


 ここの子供たちは、シスターマーガレットさんに保護されて十分笑顔なのですが、今後いつ今回と同じような事が起こって、ひもじい思いをするか判りません。


 少々のことが起こっても、何とか「自分達だけで生きていける手段を備えておきたい」というのはシスターマーガレットさんの考えで、私も同意見です。


 そもそも、国からの援助が少なすぎる事が問題なのですが、私にはどうすることも出来ませんので。


 そこで、パラパラとガイドブックをめくりました。で、いい事を思いつきましたよ。とってもいい事です。『いたずらネズミ』から畑を守れるうえ、自給自足だけではなく、少しの収入も得る方法です。


 私が目を付けたのはこの辺りで野生に生息している鳥のモンスター『クックバード』です。お肉を食べることも出来ますが、にわとりの様に卵も産むとも書かれています。それを捕獲ほかくして孤児院で飼っちゃいましょう。卵は貴重なたんぱく源だし、上手くいけばご近所さんにも売れるかも。


 もう一つはちょっと森深くまで行かなければならないのですが、森に生えているミントの野草『トピカハッカ』です。なんと、この草は『いたずらネズミ』が大嫌いな草です。これを垣根の外に植えてしまえばいいのですよ。ミントの葉は料理にも使えるし、『いたずらネズミ』も寄ってこない、一石二鳥じゃないですか。


 シスターマーガレットさんに私のアイデアを話すと、手をたたいて賛成してくれました。早速、森に行ってこようと思います。


 私が出発しようとすると、孤児のライタと言う八歳の少年が「どうしても一緒についていきたい」と言ってきました。部外者に任せっぱなしは申し訳ないとでも思ったのでしょう。責任感が強いですね。


「よろしくね、ライタ君」と言うと、不愛想に「ライタでいい…」とつぶやきました。だから『ライタ』って呼ぶことにしましたよ。


 ライタは八歳だけど将来はラガーマンかと思えるほど、とても体が大きく力も強いのです。シスターマーガレットさんも是非にと言ってくれましたので、来てもらう事にしました。


 大きいと言ってもまだ八歳です、勘違いしないでください。私の方が背は高いですよ。


 丁度『クックバード』を連れ帰る時、どうしようかと考えていたので、彼に小回りの利く大八車を引いてもらう事にしました。鳥かごも積めますしね。


 嬉しいな。ユキちゃんに続いて、心強い仲間が出来ましたよ。


 ◇ ◇ ◇


「ユキちゃん、『クックバード』を見つけたら教えてくれる?」


 森に入った時、肩に乗っているユキちゃんにそう伝えると、首筋にすりすりと身を寄せてきます。きっと理解をしてくれたのでしょう。


 ライタは不思議そうにその光景を見ていましたが、何も口には出しませんでした。もしかすると「モンスター使いか?」とでも思っているのかもしれませんね。


 ライタはなかなかの男前です。顔の事を言っているわけではありません。いやいや、そんな事を言うと誤解されちゃう、顔も悪くないですよ。男気があるって言う意味です。


 重たい大八車を、汗を掻きながら引いているのに一切弱音を吐きません。それどころか私に「疲れたら乗ってくれ」とまで言ってくれるのです。いくら何でも乗ったりはしませんが、その気持ちをとても嬉しく感じるのです。


 森に入って30分くらい歩いたでしょうか、ユキちゃんがキイキイと鳴きました。その場に立ち止まり、ユキちゃんが見ている方向に目をやると、少し離れた所にガイドブックに載っていた通りの鳥モンスターが3羽居ました。『クックバード』に間違いありません。


 実際に見た『クックバード』の大きさはうずらより少し大きい程度、とても可愛らしいです。逃げ足が速いから生け捕りは難しいとガイドブックに載っていましたが、私には策があります。


「ライタ、これを耳の穴に詰めといて、ユキちゃんは袋に入って」


 ライタに小石を2つ渡し、ユキちゃんは袋に入りました。そうです、ここで『おやすみの笛』を吹くのですよ。私えらいでしょ。


いつも読んで下さりありがとうございます。

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