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はじめましの、ハジメです。
ホントに思い付きで始めました。
楽しんでいただけたら幸いです。
「魔王っているんだー」
「いるよ、サリーのお父さんも昔、うちの両親と討伐に出てたらしいよ。」
「えー、そんなわけないじゃん。昨日お母さんに怒られて土下座してたよ。なんかよく分かんないコップ買ってきたって」
「あーコレクターだもんね。サリーのお父さん」
「コレクター?」
「なんかいろいろなもの集めるのが趣味の人」
「あーそれだよ。うちのお父さん」
――――――――――――――
わたしには嫌いな人がいる…
「おい、ユウこれと俺の荷物全部運んどけよ。お前はホーンラビットも捕まえられないお荷物だからな」
•••
「ちっ、助け人なんだろ、助けろよ」
「いいよ!やっておくよ」
「さっさと返事しろよ!俺はもういくぞ。」
「カイなんでユウに荷物持たせるのよ!」
「聞いてたろ、こいつがいいって言ったんだよ。サリーもこいつに荷物わたして先帰ろうぜ。」
そういってカイは先に家に向かってしまった。
「ちょっとユウ!なんでカイの分の荷物まであなたが運ぶのよ!嫌なら嫌ってちゃんと言いなさいよ!」
「別に嫌って言ってないだろー、ホーンラビットを捕まえなかったのもほんとだし、サリーも知ってるでしょ、僕は助け人だから」
「ホーンラビットは捕まえてないけど薬草とかキノコとか籠いっぱいに集めてくれたじゃない。それに助け人ってなによ!神託の義かなんか知らないけど助け人って言われたからみんなのいいなりになるわけ!?そもそも助け人なんて聞いたことな「うーん、家に帰るの遅くなるからもういってもいい?」
「なんなの!?男なら少しは言い返しなさいよ!」
わたしには嫌いな人がいる。
それはこの幼馴染のユウ。私たちの親同士は仲がよかった。そして、同じ時期に子どもができたため自然と一緒に育った。昔は仲がよかったユウは面倒くさがりだけど、頭もよくて知らないことや分からないことをたくさん知っていた。「あー薬草はそのまま使うよりすりつぶした方が効能上がるよ」
「なんであんたそんなこと知ってるのよ」
「本読んだり勉強してるから?」
「知らないわよ。なんで面倒くさがりなのに勉強はするのよ」
「本も勉強も自分のためになるからかなー。」
「わたしにも勉強教えなさいよ」
「それはやだ。」
「なんでよ。ケチ」
でも一年前に変わってしまった。
神託の義
人は皆、訓練すれば魔法を覚えられるし剣もつかえる。しかし才能のある人とない人では多きな差が生まれる。神託の義は伸ばすべき才能を神様が教えてくれる儀式と言われている。12歳を過ぎると各町の教会で無料で行ってくれる。…これもユウが教えてくれたんだけど。
わたしとカイとユウが12歳になったときカイの母親の付き添いで三人は一緒に町に行き神託の義をうけた。わたしは(弓術士)カイは(戦士)という判定をうけたそしてユウは(助け人)と判定されたのだ。
(助け人)今までそのような職種は聞いたことがなかった。大人たちも同じだったようだ。神託の義をうけたあとその才能について考えると自分の才能についての詳細がわかる。そのため大人たちはユウに(助け人)について聞いたがユウはそれに答えなかった。
わたしも聞いてみたが「人助けとかするんじゃない?」と適当に返ってきた。
それからしばらくして、ユウは村のうわさになった。カイのお母さんが村の人に話をしたからだ。世間話程度だったのだと思う。ユウが聞いたこともない職種を授かった。(助け人)というらしい。
それが段々と人助けをするだけの何の役にもたたない才能らしい。とか、ユウに頼めば嫌なことでもなんでも手伝ってくれるらしいとか、ユウの両親のこともあって表だっていう人はいないがみんなユウをバカにしていると思う。カイなんてまさにそうだ。
そしてユウは村の人に助けてと言われると断らなくなった。自分は助け人だからと
助け人ってなんなのよ!なんでみんなのいいなりなのよ。
ユウが人助けを笑いながらしてるのをみると無性にいらいらするようになった。
――――――
「ユウくん荷物運んでくれてありがとうねぇ」
ユニばぁがお礼を言っている。
また、ユウが人を助けてる。
「ユウなんで断らないのよ!」
「助けてって言われたし」
「いいように使われて」
「それはサリーが思ってるだけだよ。ユニばぁもお礼言ってたよ。」
「でも」
「人を助けるのってダメなことなの?」
「それは…」
「僕からしたらサリーがなんで人を助けて怒るのかの方がわからないよ。」
「だって、もー、わ、わたしのことは……助けてくれな……」
「えっなに?」
「もう、知らないわよ。」
わたしはイライラしてそのまま森に駆け出していった。
「もう、なんなの」
わたしはユウとの会話を思い出していた。
確かにわたしはなにに苛立ってるのだろう。ユウがしてるのは人助け。おばあちゃんの荷物を運んだり、村の田植えの手伝いをしたりなんてことないのだ。でもユウはわたしが大荷物を運んでいても手伝ったりはしない。思い返してみてもユウがわたしの手伝いをすることはなかった。
あっ……そうか。わたしは気づいた。わたしはわたしを手伝ってくれないことに苛立っていたのだ。
ユウはわたしのことは助けてくれない。村の人の話は聞くのにわたしの話は聞かない。ユウのことを考えてるふりをして自分のことしか考えてなかった。
そして、自分の行動の愚かさに急に恥ずかしくなった。
戻ろう。そして謝ろう。今までの行動を
そしてわたしは歩きだした。
…ユウのいう通りだ。人助けが悪いわけがない。カイみたいなやつを助けて、わたしを助けてくれないのは気になるけど……カイを助けてわたしを助けない?…あれっ…わたしカイより下?…沸々といらいらしてきた。いや落ち着こう、今反省したばかりなのに。…いや、でもカイより下?えっあの糞野郎より?…いけない、いけない。段々とカイにもムカついてきた。…いやいや落ち着こう。と立ち止まって周りを見渡すと
「あれっここ、どこだろう。」
わたしはいつの間にか森の奥に来てしまったみたいだ。
そしてお母さんが昔言っていたことを思い出した。「森の奥には狂暴な魔物が住んでるから入ってはいけないよ」
やばい。急いで戻ろうと思ったそのとき
がさがさ
草の音が聞こえた。
「なにっ!?」
振り返ると
「探したよ。サリー」
「なんだ、ユウか」
「なんだってなんだよ!」
安心した。ユウでよかった。
「もう、こんな森の奥でなにやってたんだよ。帰るよ」
「それは、その…いろいろよ」
わたしは先ほどまで考えてたことを思い返していた。
「あっ、ユウ。さっきはあの…「おおおー」」
雄叫びと共に突進してきた魔物にユウが飛ばされて木に叩きつけられてしまった。
レッドボアだ。
ホーンラビットの次によくみかける魔物だ。通常は大人と同じくらいの大きさだが、この個体は特別大きかった。
わたしは逃げようとした。レッドボアはまっすぐにしか突進できない。方向転換しながら逃げれば、逃げられる。そう思ったそのとき、木にもたれ掛かってるユウが目にはいった。レッドボアもユウをみている。わたしが逃げたらユウが…そう考えたら自然とわたしはレッドボアとユウの間に移動して身構えた。わたしにできるのはそこまでだった。
レッドボアは動かないわたしを警戒しているのか様子を見ながら近づいてくる。そして、震えるわたしをみてなにもできないと思ったのか突進のための距離をあけた。
レッドボアが足踏みを始める。突進のための前兆のようなものだ。そしてレッドボアが突進してくるそのとき「お願い……誰か助けて」誰にいうでもなく呟いた。
「だからサリーは相性悪いんだよね。」
わたしの横で声が聞こえた。
そして目の前で轟音が響き砂煙が立った。
目を開けると目の前にはユウと倒れてるレッドボアの姿があった。
「えっ……」
わたしは呆然とした。
「サリー大丈夫?」
「えっ、ユウ!?」
「うん。僕以外に誰がいるのさ」
とユウは笑ってきた。
「ユウがレッドボアを?」
「そうだよ!いやー、突進をうけた時はどうしようかと思ったよー。」
「なん…で」
レッドボアが倒せるならホーンラビットも倒せたはず…突進をうけて倒れてたのは…わたしのことは助けてくれないんじゃなかったの…謝らなきゃ…カイよりわたしが…下?
聞きたいことはいろいろあって、いわなきゃいけないこともあって、思い出していらっとしたこともあってでも助けてもらって頭がこんがらがってきた。
何を言うでもなく、混乱したままユウをみた。
ユウと目があってユウは笑っている。
「うーん、なんか分かんないけど助け人…だからかな」
なろう小説はじめました。