第十七話
……打つ手無しか。
「スナイパーさん、ライフルが無いのに何が出来るの? さっき神の元に逝けば痛みも少なく済んだのに……まぁいっか」
彼女はそう言うと小刀を構え、突撃しようとしている。
結局私は……軍に入ればこの国の民を守れると思っていた世間知らずのお嬢様に過ぎなかったということ……か。
その時無線から通信が入った。
まだ通信機、生きてたのか。
「こちらHQからベオウルフへ。これよりそちらにお前を巻き込んで支援砲撃を」
ねぇ、ちょっと待って司令官殿。 流石にそれは酷くない?
「あのー司令官、それは私に死ねと?」
「ん? あぁ、言い忘れた。 中身は炸薬では無くスモークだ。 本体が当たらないようにだけ祈れ」
「いやそれ運が悪ければ……死にますよね?」
「……あとスモーク投下後、航空機から君に新しい武器を投下する。君の友人が作ったものだそうだ。恐らくこの武器を使えばこの戦闘を打破出来るはずだ。頑張ってくれ」
「……了解」
先ずは砲弾に当たらないようにしないと。
何かが高速で飛んできた。
砲弾がちょうど私の先にいる彼女に命中し、スモークで周りが見えなくなる。
「無駄にいい精度ね」
前に歩こうとすると私の指先に何が当たった。
やたら大きなガンケースがそこにあった。
「これがアイツからのプレゼント……か」
ガンケースの表面にはこう彫られていた。
20ミリ無反動対物ライフル カラドボルグ