chapter 2 − recollection − 大学2年 7月14日
――― 月 日
ひとりぼっちだ
誰も僕と関わり合っていない世界
すべてが
無
失った
家族
恋人
友人
亜美から電話があった。学校にも行かない、居留守を使う僕を心配してか。
「裕矢どうして学校に来ないの?みんな心配してるよ・・・」
みんな心配してる?
孤独の中ただひとり、誰が心配してくれてるって?
「・・・誰が・・・心配してるって?」
「えっ・・・」
一瞬の間、それがすべてを物語ってる。分かってはいたんだ。そんな奴はいないって。それが自分の責任だってことも。社交性のなさが原因だってことも。
「・・もう・・・いいんだ・・・もう終わったんだよ・・・・」
もう嘘はいらない
もう何も信じられない
「な、なに言ってるの、ねぇ、」
「僕たちは・・・もう終わりなんだ」
僕がバカだったよ
お前だってそう思ってるんだろ
「なんで、ねぇどうして?どうしてそうなっちゃうの?」
どうしたこうしたもないだろ
「私のこと嫌いになったの?この間のことは忘れるからだからそんなこと言わないで!」
この間のことは忘れる?
なに言ってんだこいつは
僕が何をした?
何を忘れるって?
由紀さんが部屋にいたことをか?
なんでそうなる?
亜美は知らないのか
お前と龍ちゃんが寝たってこと僕が知ってるのを
「私には裕矢しかいないの、あなたを愛してるから!」
「何を忘れるって?お前が龍ちゃんと寝たことをか?昔二人が付き合ってたことをか!?」
何があなたを愛してるだ、ふざけるな!!
愛してれば誰とでも寝るのか!?
「なっ・・・なに言って・・・」
亜美に何も言い返せるわけなかった。
電話を切った。電話線を引き抜いた。すべてを断ち切った。ゆるせない、ゆるせるわけない。僕が二人の関係を知らなければいつまでも黙ってただろう。あれだけの苦しみの中から精一杯の愛を与えてやったのに、彼女は満たされない欲求を昔の恋人に求めた、いや求め続けてたのかもしれない。僕の与えた愛だけでは足りずに。そんなことってあるか?
ゆるせない・・・
ひとり
すべてを断ち切った
すべてから断ち切られた
失った
ひとりだ