chapter 2 − recollection − 大学2年 7月13日
――― 7月13日
昨日、目にしたもの現実だったんだろう。
二人がなぜあんなことになってたのかなんて分からない。
あの日、朝方亜美の家へと向かったんだ。留守かもしれない。合鍵で中へと入った。そこに彼女はいなかった。
彼女を探す手掛かりが欲しかった。手帳も何もなかった。電話に目が留まった。留守電が一件入ってた。
「リュウだけど・・・俺もお前も苦しみは同じだ、ひとりで苦しまないでくれ・・・俺にはお前しか頼れるやつがいない・・・だから連絡待ってる」
どうして龍ちゃんが苦しむんだ?
連絡待ってる?
龍ちゃんちにいるのか?
龍ちゃんの携帯に電話してみたけど留守電になってしまった。
彼の家へ向かった。
わけが分からなかった。
二人の関係を疑った。
音が鳴らないようドアノブを回した。
開いてる・・・
チャイムはわざと鳴らさなかった。
開けた瞬間に二人の関係が分かる
祈りながらドアを開けた。
二人はベッドで寝てた。
起きた彼は裸、その腕枕に眠る亜美。
二人は寝たんだ
僕の愛してる人は僕の恋人と寝たんだ。愛してる人に愛するべき人を寝取られたんだ。由紀さんの言ってたことは本当だったんだろう。二人は付き合ってたに違いない。そのことを僕に隠してた。
何で言ってくれなかったの?
僕に気を遣って?
それとも二人で騙して楽しんでたの?
亜美の愛は嘘だったの?
それだけはありえない
彼女は僕を愛してくれていた
だからこそあんなに悩んでたんだ
それなのにどうして龍ちゃんと寝たりしたの?
どうして龍ちゃんも亜美を受け入れちゃったの?
僕があんなことしちゃったから?
それじゃ由紀さんはどうなるの?
僕はどうなるの?
ねぇ教えてよ
教えてよ龍ちゃん
僕が悪かったの?
教えて、
誰か教えてよ、
なんで?
どうして?
ねぇ教えてよ?
僕はひとりぼっちだよ