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chapter 2 − recollection − 大学2年 5月10日

 ――― 10日


 まさかこんなことになるなんて・・・

 

 こんな結末

 望んでなった




「ちょっと出かけてくるよ・・・」

 亜美を部屋に残し家を出た。

 携帯を手にした。

「・・・これから学校に来い・・・来なかったらそっち行くからな」

 一人大学へと向かった。

 上着の内ポケットに折りたたみ式のナイフを忍ばせて。

 

 校門の前、待つこと6時間。午後7時を過ぎていた。

 学生たちは皆家路をたどり校内の明かりも消え始めた。


  赦さない

  絶対に・・・


 歯止めのきかないもう一人の自分が囁いた。

 誰もいないキャンパスを見つめた。

 携帯が震えた。

 着信「杉本」


  来た


「もしもし」

 即座に出た。

「・・・俺だ・・・」

 低くしゃがれた声、奴だ。

「・・・9号館前に来てくれ・・」

 なぜか奴からの指定先、9号館に向かった。

 手を入れたポケットに信じられないほどの重みを感じた。


  鼓動が高鳴る

  頭に血が上る

  呼吸が乱れる


 9号館正面入口

 奴の姿はなかった。

 辺りを見回していると再び携帯が震えた。

 着信「杉本」

 即座に。

「どこにいるんだよ、」

「・・・昨日、西角に会ったよ・・・」

 質問には答えず勝手に続けた。

「ここに呼び出されてな・・・」

 ここ?9号館に龍ちゃんに呼び出された?

「・・・ボコボコにされた・・」

 えっ?

「右腕と肋何本か折れてるかもしれねーわ・・・まぁもう関係ねぇか・・・」

 龍ちゃん・・・

「風間とな、お前の仇だとよ」

 龍ちゃんが・・・

「・・・お前、いい友達持ったな、」


  いい・・・友達・・・?


 彼の言葉が頭の中こだました。

 錯乱した。

 廻り廻る想い出の中に問いただした。

「俺にもあんな友達がいれば、少しは変われたのかもな」


  友達なのか?


 押し止められてきた熱い想いが一気に溢れ出してきた。


  本当にそれでいいのか?


「・・・結局俺はお前を赦せなかった・・・だから謝る気はない・・」


 想いが意識と重なった瞬間、最大の過ちに気が付かされた。


「自分の罪は・・・」


 信じたくない事実こそが真実だと思い知らされた。


「・・・・自分で償うから」


  僕は・・・



「じゃあな」


  僕は・・・


――― ドサッ!!


 目の前に落ちてきたのは、杉本だった。










 


 

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