chapter 2 − recollection − 2月20日
――― 2月20日
冬合宿
僕は雪景色の前にいた。
いわゆるスキー合宿とゆうやつで、この時期になると試験も終わった大学生たち一斉にゲレンデに押し寄せる。いまや大半がスノーボーダーの現実にスキー合宿って名前は説得力をなくしてる状態だ。
意気揚々、ゲレンデに繰り出すサークルメンバーをよそに僕には違う目的があった。杉本と話し合うとゆう最大の目的が。
杉本は後期授業の大半を欠席した。その間、出欠のゆるい授業に関しては友人に代返を頼んでいたらしかった。後期試験も受けたらしいのだが、結局顔を合わせることはなかった。でもその時にサークルのメンバーの一人と会ったらしく「冬合宿は参加する」との旨を亜美さん経由で知ったのだ。
そしてこの日、この合宿で久々に見る杉本の姿があったんだ。
それはサークルのメンバーたちにとっても同様で、みんなと和気あいあいと話してる彼の姿を見ると今までの出来事が嘘だったような錯覚すら覚えさせた。かなり痩せた外見以外、なんら変わってないように思えた。でもそれは錯覚だった。変わってないのは僕に対しての態度だったんだ。いくら話しかけても無視、無視また無視、これの繰り返し。そのくせ亜美にはやたらと話しかけていって妙に馴れ馴れしかった。
「何話してたの?」
亜美に尋ねても
「うん、大したことじゃないんだけど「今まで出てこなくて悪かった」とか「これからもお世話になる」とか、それだけよ、」
彼女自身もあまりの日常染みた会話に掴み所がないようだった。
「僕のことは何か言ってなかった?」
「それなんだけどね、私も裕矢のこと言おうとしたの。そしたら「それはいずれきちんと話すから」って言って行っちゃったのよ、」
どうして今話し合えないんだ?
やっぱり彼は僕を赦してくれてはいないのだろうか。龍ちゃんとも普通に話してるし無視されてるのは当然僕だけだ。
やりきれないよ、
話ぐらい聞いてくれたっていいじゃないか
そうしなきゃ何も変わらないよ
どうしたらいいんだ
どうしてほしいんだよ
時が過ぎるのを待つしかないのか
時が解決してくれるってゆうのか?
それでいいのか?
どうして分かってくれないんだよ・・・