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chapter 2 − recollection − 12/12龍二

 ――― 俺はあの日以来、いったい亜美と由紀どちらを取るべきなのかを悩んでいた。


 亜美は裕矢の彼女になってしまった


 その事実は変わらない。


 俺は由紀と付き合ってる

 でもこのまま由紀と付き合っていけるのか?


 事実と現実の狭間でせめぎ合う疑問が頭に張り付き離れなくなっていた。


 由紀を失ったら俺はひとりだ・・・

 ひとりになった時、あの二人を見て耐えられるのか?


 由紀の過去に疑問を抱き始めてから、彼女に対して以前のような愛情を注げなくなっていたんだ。「もし高橋さんの言っていたことが本当だとしたら彼女の行動はさらにエスカレートしていくだろう」そう考えると正直怖くなった。


 亜美が裕矢を好きなら付き合えばいい

 亜美がそれで幸せになれるなら協力してやろう


 そんな思いは由紀の存在があったからなんだ。多少亜美に未練が残っていようとも、純粋に由紀を好きでいられた時期があったからこそ思ったことなんだ。

 

 由紀に対する疑念が邪魔してどうにもならない

 愛情を注ぐ術が見つからないんだよ


 由紀をきちんと愛せていれば亜美に対する未練も和らいだに違いない。こんな思いはしなくて済んだはずなんだ。


 それでも現実は容赦してくれなかった。

 亜美に対する想いが再燃し始めた最中の裕矢からの亜美との交際宣言、これが良心に支えられていた俺の心を崩壊させたんだ。心の奥底に眠っていたおぞましきエゴが湧き出て止まらなくなった。

 腕の中眠る由紀を見ては「亜美も裕矢の腕の中抱かれてるんだろうか・・・」抱き締める腕にいっそう力が入った。「この腕の中に抱かれているのがなぜ亜美じゃないんだ」悩んでは落ち込み、こんなことを考えている自分に自己嫌悪してはまた悩んだ。「そういえばあいつらまだ「くん」と「さん」で呼び合ってなかったか?」そんなちっぽけなことでも少し救われた気分に浸れた。亜美は言っていた「最近あんまり会えてない」と。「まだ二人は寝ていない」確証なんてない。そう自分に思い込ませて、そう信じて自分を慰めた。なのに時は残酷なものだ。


 もうすぐクリスマスじゃないか!


 12月に入り街はいやがおうにも盛り上げムードに突入していたんだ。


 あいつらどうするつもりなんだ

 クリスマスなんて格好の餌食じゃないか!


 そう思うといてもたってもいられなかった。気付くと裕矢に電話してた。


 4人ですごせば何も起こらない


 そう思いパーティーを企画したんだ。


 一晩中拘束してやる・・


 その計画(・・)に裕矢はまんまと乗せられたんだ。

 だが、最大の問題が目の前に立ち塞がった。

 由紀だ。

「なんでよ〜!初めてのクリスマスだよ〜!なんでみんなで集まんなきゃならないの〜!」

 説得するのが大変だった。

「裕矢の母親の件知ってるだろ、落ち込んでんだよ、」

「だからってどうしてクリスマスなのよ〜、」

「あいつら最近上手くいってないんだよ」

 嘘さ

「えっ、そうなの?」

「ギクシャクしててさ、」

 ある意味本当か・・・

「その件以来な」

 違う意味で本当だ

「お前だって二人には上手くいってほしいだろ?」

「・・・うん、」

 由紀とっては真実

「協力してくれるか?」

 俺にとっては嘘だ

「・・・分かった・・・がまんする・・・」


 やった!


 心の中でガッツポーズを決めた。

 狂ったガッツポーズを 

 

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