chapter 2 − recollection − 10月30日
――― 10月30日
「スギちゃん今日も来ないね・・・」
金曜日、これで二週間連続で杉本はサークルを欠席した。
毎週金曜日、週一のサークル活動。もともと普段あまり学校に来てない彼だが、金曜だけは必ず来てたんだ。でもあの日以来、サークルどころか学校自体に来ていないようだ。亜美さんが彼のクラスメイトに聞いてくれた話だと、ここ二週間姿を見ていないとゆうのだ。携帯は繋がらない。電源を入れていないようだ。
ため息が絶えなかった。
「ただの誤解なのにね・・・」
「・・・いや、誤解じゃ済まされないよ、」
亜美さんが首を傾げる。
「どうして?悪いのは彼女でしょ?」
だからだよ
「その彼女に裏切られた事実は変わらない・・・相手はまた僕だ・・・」
「でも裕矢くんは悪くないじゃない、」
自分が悪いって思える相手だったら僕の高校時代は変わってたよ。自分に非があるって思えないから人に責任を転嫁するんだ。高校時代の彼女は転校する羽目になった。彼が何をしたのかは分からない。でも想像はつく。その学校にいられなくなるようなことをされたんだろう。そして残る僕はひどい目にあわされた。
「なんで分かってくれないのかしらね、」
亜美さんはあくまで納得がいかないようだった。
幸福が訪れ、華やぐ日常が流れ行く中で彼のことだけが足枷となって僕を苦しめる。彼が悪いわけじゃない。僕が悪いわけでもない。悪の根源である女を抜きに、なぜ僕らは語り合えないのだろう。この狂ってしまった歯車を戻すことはできないのだろうか。
彼は今、いったい何をしてるんだろう
何を思ってるんだろう
どうするつもりなんだろう