chapter 2 − recollection − 4月5日
――― 4月5日
今日入学式だった。
ついに大学生になってしまった。
信じられないほどの青い空。雲ひとつない。
春と思えないほど照り付けてくる日差し。
いろいろな人を見た。
いろいろなものを見た。
今までとは違う。変わっていける。そんな気がした。
そう、登校初日にして知り合いと出くわした。
西角龍二、彼とは中学以来の再会だ。相変わらずだった。
早くに着いてしまったため体育館の一番前の椅子に座らされていた僕のことをどこから見つけたんだろう、彼は近寄ってきた。
「裕矢、裕矢か?」
人懐っこい笑顔は昔とちっとも変わってなかった。
「あれ、龍ちゃん?龍ちゃんだよね?」
彼は僕の隣に座っていた人に頭を下げずれてもらい隣に座ってきた。
「ひさしぶりだよなぁー、お前もここか」
背もたれに深々と寄りかかり脚を組み微笑んでた。
「同じ大学なんて奇遇だよね、4年ぶり?だよね?」
僕は一年浪人していた。彼も同じらしい。
説明会が始まっても僕たちは話してた。事務の人かな、入学早々雑談に花を咲かせている僕たちを見て嫌な顔して見てたな。
正直不安だったんだ。
大学生活を上手くやっていけるかって。
でももう知り合いに出会えた。
何かいいことが起こりそうだよ。
今までと違う生活が僕を変えてくれそうだ。
大学生活一日目、僕は龍ちゃんと再会した。




