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chapter 2 − recollection − 8月2日

 ――― 8月2日


 バイトが終わり帰る頃にはすっかり日が昇り鳥たちがさえずってる。僕の瞳はもう半分閉じかけてる。毎日がそんなことの繰り返しだ。

 夏休み、これといって用事はないから家に帰って朝食なのか夕飯なのか微妙な食事を採り布団に入る。そして夕飯なのか昼飯なのか朝食なのか微妙な食事を採りまたバイトに向かう、これの繰り返しなんだ。


 もしバイトすらしていなかったら何をしていたんだろう


 今日もいつもと同じ繰り返し。

 布団に転がり眠りに落ちる。

 そして夕方4時半に目覚ましが鳴る。

 バイトに行く準備をする。

 そう思ってた。


 お昼の12時15分、携帯の着信に起こされた。起きようとしても疲れのせいで体の自由がきかない、金縛りにでもあったかのようだった。よりにもよって携帯は隣の部屋のテーブルの上、這いつくばり手に取るも留守電に切り替わってしまった。画面を開くとそこには「風間さん」の文字

「裕矢くん亜美でーす」

留守電にメッセージを残そうと話す彼女の声に慌てて

「も、もしもし!」

応答ボタンを押した。一瞬にして目が覚めた。

「あっ、裕矢くん!よかったぁー繋がってー」

 懐かしさすら覚える彼女の声に思わず聞き入ってしまった。

「裕矢くん?裕矢くーん、あれ電波弱いのかな?」

「あっ、ごめんごめん、聞こえてるよ、どしたの?」

「あ、うん、どうしてるのかなって思って」


 か、感動だぁ!


 彼女の方からそんなことで連絡くれるなんて、嬉しすぎて言葉にならない、そのまま感動を噛み締めていると

「あれ、裕矢くん?聞こえてる?」

「ご、ごめんごめん、ちょっと思うところあってね、」

「なにそれ〜、変なの〜」

笑い声が聞こえてきた。

「裕矢くんの家に電話したんだけど帰ってきてないって言われてね」

 僕の家?まさか、

「そ、それって実家ってこと?」

「そうそう、帰ってこないのー?」

 彼女は僕の家の事情を知らないんだ。

 痛感した。

「・・・バイトがね、忙しくってさ、」

「そっか」

 いずれはバレる

 まずい・・・

「それよりどうしたの?何か用があったんじゃないの?」

 思わず話題を変えてしまった。

「そうそうあのね、この前約束した映画のことなんだけどね、だから電話したんだけどこっち帰ってきてないんだったら無理だよね〜」


 あぁ〜素敵だぁ〜

 あの約束は本気だったんだ

 まさか彼女の方から誘ってくれるなんて


「バイト忙しいんでしょ?じゃあ会えないよね・・・」

 残念そうに呟き黙り込む彼女。


 僕に会いたがってくれてるんだ

 チャンスだ!


「会おう!会いたいな、バイトは休みもらうからさ、いつならいい?」

「本当に!?じゃあね・・・・来週の・・・9日なんてどうかな?」

 それから互いの近況やら見たい映画の話をして電話を切った。1時を過ぎていた。


 風間さんと会える!

 会えるんだ!

 やったー!!


 

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