chapter 2 − recollection − 8月1日
――― 8月1日
夏休みに入って早10日が過ぎた。
あいも変わらずバイト詰めの毎日だ。
日増しに暑さが増していく。暑いとゆうより熱いってのが正解。でもこの部屋にはクーラーがない。まぁ僕は痩せてるから暑さはさほど気にならない。それに自然な感じが好きなんだ。この暑さだって慣れてしまえばたいしたことないし、むしろ夏って感じがしていいくらいだ。龍ちゃんはうちに遊びに来るたび
「いいかげんクーラー買ってくれよ〜、」
なんてうだってるけどその気はさらさらない。そんなグダグダになってる龍ちゃんを見てるのが面白い。
そうそう、龍ちゃんに彼女ができたらしい。
僕のバイト先のコンビニに連れてやってきた。
「紹介するよ」
照れくさそうに彼女を横にしてはにかんでた。
「神里由紀です、」
彼の隣、緊張気味にかしこまってお辞儀をするその娘は、黒髪のストレートヘアーを腰まで伸ばしてて、身長は150くらいしかないんじゃないのかな、本当に小さい顔と相まってとにかくちっちゃな女の子って印象だ。ひと目で飲み屋で見た娘だと分かった。
「彼女?」
ひやかすように聞いた。
「まあな、よろしくな、」
緊張にこわばる彼女に
「はじめまして、近藤裕矢です。よろしくね」
軽くお辞儀を返すと、あまりの身長差に僕を見上げながらポーッとしてた。
清楚、お嬢様ってイメージがぴったりくる。飲み屋で見た時とは別人に見えた。あの時は後ろ姿だったし飲み屋の制服を着てたからかな、こんなに華奢な乙女って言葉がハマる娘だとは思ってもみなかった。
彼女も一人暮らしで短大に通っているらしい。
二人はしばらくコンビニで立ち読みをして二人分のお弁当を買って帰っていった。
さっそく彼女ができたか・・・
やっぱりもてるんだな
もう龍ちゃんと風間さんと三人でつるむことも少なくなるんだろうな・・・
ため息がこぼれた。
少し胸が痛くなった。