chapter 2 − recollection − 5月15日
――― 5月15日
バイトが見つかった。
すぐ下のコンビニだ。
この前、龍ちゃんに言われてとりあえず自分にできることと思っての第一歩だ。
夜勤がほとんどなので僕一人になることが多い。それでも以前の生活に比べればとても充実してる。面白いってわけじゃないけどつまらないわけでもない。
ただ眠いね
朝6時までやると結局眠れないからそのまま学校に行く羽目になるんだけど、正直限界だよ。
そういえばこの頃よく校内で風間さんに会う。
なんだか彼女の方からわざわざ会いに来てくれてるみたいだ。
学年も違う、学科も違うのに僕の時間割が龍ちゃんとかぶってることを知ってか、お昼の時間になると授業上がりを教室の前待ってくれてたりする。
龍ちゃんに会いに来てるのか?
そう思ってたんだけど、龍ちゃんが休みだった日にいつもと同じように待っててくれた彼女と二人でお昼を取る機会があった。
「リュウ休みなの?」
二人きりになったのは初めてだった。
「じゃあ二人でどう?」
断るのは変だ
緊張した
龍ちゃんいなくてもいいのか?
学食に向かう僕の心臓はバクバクだった。
緊張のあまり何を話したのかあまり覚えてない。
ただひたすらにまぶしい笑顔を向け次から次へと話題を振ってくる彼女に圧倒されてた。
「ねぇねぇ今度さ、リュウの店に遊び行こうよ」
二人で?
本気だろうか?
社交辞令だよな・・・
「サークルね、20日から始まるから絶対来てよね。テニスするからさ」
「えっ、道具持ってないや、」
「大丈夫よ、レンタルしてるから。シューズだけ揃えといてね」
本当に活発な娘だと思う
なんか凄い
エネルギッシュだ
積極的で自ら何でもする
彼女は能動的
僕は受動的
彼女のように生きてみたい
彼女のようになりたい
バイトの給料が入ったら誘ってみよう
自分の稼いだお金で
少しでも彼女に近付くために