表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊樹のお気に召すまま。  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/18

15 音無しの滝。

残り2話!







 容赦なく首を撥ねる勢いで、抜刀される。

 私は屈み込み、地面に手をついて、両足をアカマルに叩き付けた。

 そのまま一回転した私は、さっきのお返しもかねて。


「ーー”火柱“ーー!」

「!?」


 炎系魔法を行使してやる。

 これも、エンから習得したものだ。

 紅蓮の炎が渦を巻きながら、私の目の前で火柱を立てる。

 一回転した私は、着地をした。

 火柱から出てきたアカマルは、少し火傷を負ったようだ。

 けれども、まだ戦闘不能じゃない。


「面白いな!」


 同じ魔法を返されたことを大層気に入ったようで、アカマルは笑っていた。

 やる気を出してしまったのか、袖を抜いで、サラシを巻いた上半身を見せ付けるアカマル。筋肉質でいい身体だ。

 そんな彼は、私に手を翳した。


「ーー”炎の球よ、呑み込め“ーー!」


 炎の塊を放つ。私の身長くらいはあるそれを、横に転がって避けた。

 そこに先回りしたアカマルが、抜刀する。

 私は剣を両手で支えて、受け止めた。やっぱり強力すぎるそれに、痺れが走る。


「ーー”炎の球よ、呑み込め“ーー!!」


 そんな痺れる手を開いて、顔面目掛けて炎の塊を放ってやった。

 目の前で、爆発。


「ぐはっ!」


 怯んだアカマルが、煙を吐く。これでも戦闘不能にならないのは、流石人外だ。私なら、ノックダウンしている。

 そんなアカマルの角を避けて額を掴んだ私は、全力で地面に叩き付けた。

 全力の力で、地面が割れる。


「くっ……!」


 これは続けて、大ダメージだろう。

 それでもアカマルは、私から離れて態勢を整える。


「余裕な笑みはどうした?」


 私は休む暇なんて与えず、ましてや笑う暇も与えず、畳み掛けることにした。

 ドンッと突進するように間合いを詰めて、剣を叩き下ろす。

 上で受け止めることは予想済み。私は得意の足技で崩した。

 膝をついたアカマルの顔に膝蹴りを決める。


「かはっ!」


 反動で離れる前に、素早くターン。回し蹴りを腹に決めてやった。

 吹っ飛んだアカマルは、岩にぶつかる。


「くぅ……」

「負けを認めなさい。それともまだやるの? ーー”炎よ、燃え上がれ“ーー!」


 私はトドメをさすふりで、掌に炎を灯す。

 まだ立ち上がるアカマルに、歩み寄っていく。

 すると、右から短刀が飛んできた。炎を消して、受け止めた私は、横目で確認する。リリカの隙をついた桃色の髪の美少年フェイスの男が、飛ばしたものだとわかった。リリカも負け気味だ。


「……」


 私はアカマルに、短刀を放つ。トドメをさしたわけではない。

 足の間の裾に刺して磔にしておいただけだ。

 そして私は、その桃色髪の美少年フェイスに走って向かっていく。

 受けて立つと、リリカを蹴り飛ばした男は、短刀を二本構えた。

 大きく振りかぶって、全力で叩き落とすと、パキンと短剣が割れる。

 まさか相手の短刀を破壊してしまうとは思わなかった私は、身を引きながらも軽く切った。傷は浅いが、切られれば痛いものだ。美少年フェイスは苦痛に歪む。

 よく見たら、目元には隈取と呼ばれる歌舞伎の役者などが塗っている化粧がされている。いやどうだろうが、髪と同じだから、もしかしたら模様かもしれない。


「そっちの大将は倒した! 刀を収めてもらおうか!?」


 苦戦を強いられているセレナさん達を見て、私は声高々に響かせた。


「ならば、そちらの大将を倒すまで!」

「クチナ様っ!」


 クロムが相手していた水色の髪の男が、私の背後から刀を振り下ろしてくる。

 それを剣でいなす。アカマルのような痺れはなかった。

 なので、私は微笑みを寄越してやってから、柄を溝に叩き付ける。

 こちらも、目元に隈取があった。水色だ。


「自分の大将が倒せなかった相手を倒せると思うな。お前達は負けている」


 そう冷酷に告げて、周りを見た。

 セレナさん達が相手していた男達は、動きを止める。

 しかし、二人を除いて、だった。


「ん?」


 リクニスと、黒い髪の男だ。

 激しく剣と刀をぶつけ合っている。激戦だ。

 ぽっかーんとそれを見てしまったが、いい加減止めなくては。

 二人の攻撃を見定めた私は、ちょうど三つの刃がぶつかり合うタイミングを掴み、二人の動きを止めた。


「「!」」


 ギロリと二人は邪魔をするなと言いたそうな睨みを向けてくる。

 私はにこりと笑みを返して、リクニスの胸に拳を、黒髪の男の腹に蹴りを入れた。

 黒髪の男も、目元に黒いラインがある。


「ぐお!?」

「やめろって言ってるだろうが!!」

「な、何をしやがる!?」

「そもそもリクニス! お前が喧嘩を買うからこうなったんだからな!? 頭冷やせ! このバカ!」

「お前呼ばわりをした上に、バカだと!? 貴様!!」

「里の代表のくせに挑発に乗った、それのどこがバカじゃないっていうの? バカ!」

「ま、また言ったな!?」


 怖い顔をしても効かない。リクニスはバカだ。

 私はプイッと顔を背けて、桃色の男の元に戻る。


「ーー”癒しを“ーー」

「!」


 治癒魔法を使われたことに、彼は驚きを隠せないでいた。


「他人の戦いに横槍を入れるのが悪いんだよ?」


 一対一の勝負をしていたはずだ。

 大将を守りたかったのだろうけれど、横槍はいけない。

 傷が塞がったところを見計らって、私は桃色の髪を撫でてやって魔法を止めた。


「リリカは? 大丈夫?」

「はい、私は大丈夫です」


 少し息を乱してはいるが、リリカに目立つ傷はない。

 それならと、私は岩の方に行き、動いていないアカマルの顔を覗いた。


「死んでないよね? ーー”癒しを“ーー」


 殺すなと言いながら、私が大将を殺してたらどうしようかと思ったが、致命傷は与えていないので、大丈夫だろう。


「ははは……ここまで痛めつけられたのはいつぶりだろうか……」


 あ、生きている。

 リーンリーンと癒しの魔法を行使している中、アカマルの顔を見た。

 笑っていた。やや細めの瞳をしているが、整った顔立ちをしている。

 今は乱れてしまっているけれど、戦う前は髪も綺麗なものだった。


「やっと巡り合えた……」

「ん?」


 魔法の光を、仄かに放つ手を握り締められる。


「わしの嫁になってくれ」


 リーンリーン。鈴の音は鳴り続けた。


「……アカマル、頭打った?」

「結婚してくれ」

「強打したのか」

「本気だ、クチナよ」


 生まれて初めて求婚されてしまった私は、受け流すことにする。

 けれども、私の手を握り締めるアカマルは、真顔で熱い眼差しを注いできた。


「……今すぐ、クチナを放さなければ、お前を殺す」


 いつの間か後ろに立っていたルーシウスが、殺気立っている。

 お、おう? どうした、ルーシウス。


「アカマルを殺そうとするならば、お前を殺す」


 赤紫の髪の男が、短刀の刃先を向ける。

 バチバチと殺気の火花が散った。

 落ち着け、喧嘩はおしまいだから。

 治癒も終わったので、私は手を振り払った。


「それでは、敗者はお引き取り願います」

「結婚をしてくれ! クチナ!」

「断る!!」

「では従者にしてくれ!」

「極端!?」


 はっきり断ったら、次は従者にしてほしいなんて言われて、ドン引きをする。


「従者としてそばに置かせてもらって、夫の座を狙う!」

「え、それを明かして、そばに置いてもらえると思ってるの? アカマルも、バカなの?」


 私は心底同情した眼差しを向けた。


「では夫候補としてそばに置いてくれ! 夫と相応しいと思った時、結婚してくれ!」

「そもそも私が結婚しているとは思わないの?」

「しているのか!?」

「いやしてないけれど」

「ならば問題ない!」


 ニカッと、アカマルは笑う。

 一周回って、コイツ面白いと思ってしまった。


「悪いけれど、私は結婚する気はない。諦めて」

「そうか。……従者にしてくれ!」

「……従者で夫の座を狙うの?」

「そうだ!」

「バカ正直!!」


 私はお腹を抱えて笑う。指差して、ルーシウスに凭れた。

 だめだ、アカマルは嘘つけない性分だろう。


「今なら、わしの子分も配下になるぞ」


 またニカッと歯を剥き出しにして、笑いかけるアカマル。

 そんな彼の横に、ずらりと並ぶ子分達。いいのか。子分達の意思はいいの?

 あ、頭下げちゃったよ。従っちゃうのね。


「配下とか、要らないから、私」

「なんと!?」


 そんな意外って顔をされても。


「では、このエルフ達と獣人はなんなのだ? クチナの配下ではないのか?」

「えーっと。従者はこのルーシウスとクロムだけれど……」


 リクニスが話すなと睨んでいる。

 話すわけないでしょう。リクニスみたいにバカじゃないから。


「そもそも、なんの一行なの? アカマル」

「ああ、わしの嫁探しの一行だ」

「嫁探し……」

「強い嫁をもらいたくてな。鬼の集落から出てきたら、コイツらもついてきた」

「へぇー……種族は鬼なんだ」

「? 見ればわかるだろう」


 私がこの世界の人間だと思っているアカマルは、首を傾げる。

 この世界では常識なのかな。まぁ、人間の国が近いからか。そこの出身だと思われているかもしれない。

 鬼は人間にとても近く、角があって隈取がある。


「そっちこそ、なんの一行なのだ? 冒険者か?」

「まぁ、そんなところ」

「曖昧だな。……ん? その幻獣は?」

「あ、レオン」


 アカマルの視線を追いかけてみれば、レオンがいた。

 もぐもぐと、自分より一回り小さな動物に噛み付いて食べている最中だ。


「じゃあ、私達急いでいるから」


 レオンも戻ってきたし、出発するか。

 これ以上質問責めされたくもない。


「待て待て。旅は道連れだ! 共に行く!」

「要らん! ついてくるな!!」


 全力で断るのは、リクニス。


「はっはっはっ! 大将のクチナに訊いている。お前ではない」

「ああん!?」


 アカマルは、リクニスを怒らせるのが得意らしい。

 また剣を抜こうとするリクニスに、横から拳骨をぶつけてやった。


「いい加減にしないとお前を置いていくからな!」

「なっ! 貴様っ!!」


 リクニスはショックそうに殴られた部分の頭を押さえる。


「行くよ、レオン。ルーシウス、クロム。セレナさん達も」

「はい、クチナ様」

「待て、クチナよ」


 セレナさん達の案内で、音無しの滝を目指す。

 アカマルの嫁探し一行までも、ついてきた。

 結局、野宿を決めた場所までついてきて、肉を分けてくれる。

 お肉がありつけた私は喜んだが、リクニスは断固拒否。

 クロムは、まず毒味をしてくれてから、私に渡した。

 ナーリベンサの里の食事では肉が少なかったからな。魚くらいだった。

 多分、エルフはあまり肉を好まない種族なのだろう。と勝手に解釈している。


「見張りなら、わしらがしてやろう。何、いきなり喧嘩を売った詫びだ」

「結構です。我々は我々で見張りをやるので」


 眠ろうとしたら、アカマルとセレナさんがそんなやりとりをしていた。

 セレナさん、いつも通りビシッと言っている。


「信用してくれてもいいのだぞ?」


 そう首を傾げてみるアカマル。悪いが、可愛くないぞ。


「ではわしら一行は少し離れたところで休む。置いていくなよ?」

「置いていくから安心して寝過ごして」

「わっはっはっ!」


 冗談を聞いたみたいにアカマルは笑っては、自分の子分の元に戻った。

 男だけの一行だから、大半が女であるこちらに気を遣ってくれたみたいだけれど、いるといるで警戒が強まったみたい。ミーシャ達は、鬼の一行と周囲の警戒をするように話した。


「私も見張りをやりましょうか?」

「いえ、クチナ様はおやすみください」

「……はい」


 きっぱりと断るセレナさんに従い、私は眠らせてもらうことにする。

 丸まるレオンを枕がわりにして、毛布にくるまった。

 表現しがたいレオンのいい匂いを吸い込み、ゆったりと眠りに落ちる。

 豪快に水が落ちる滝。その裏にある洞窟。暗闇が続いていた。

 そして精霊樹のように真っ白な彼。黒ずむ数珠。


「助けて」


 耳元で助けを求められたかのように、声量は大きく頭の中で響いた。

 私はその声に驚いて、飛び起きる。


「クチナ様……大丈夫ですか?」

「あ、うん……クロム、おはよう」

「おはようございます」


 そばで支度をしていたクロムが、尋ねてくれた。

 枕がわりにしていたレオンも起きていて、べろりと頬を舐め上げる。

 はいはい、大丈夫だよ。

 私はそう込めて、顔を撫でてやった。

 こっそり出発をして、鬼の一行を置いていってやろうとしたが、こちらも日が昇った頃には目を覚まして、ついてくる準備を整えている。


「どうしますか?」


 セレナさんは困ったように、私に助言を求めた。

 ええー? 私に訊くの? そりゃ私のせいでついてきているようなものだけれど。


「んー……適当なところで待機させてみるよ」


 一先ず、今日中には到着したいから、出発をした。

 目立たないようにって思ったのに、倍の数になろうとは。

 誰が予想していただろうか。

 坂を登り、崖を登り、山を越えた。


「音無しの滝の方に向かっているのか?」


 昼食に分けてもらったお肉をパンに挟んで食べていたら、アカマルが気付いて問う。


「そうだ。いつまでついてくる気だ。さっさと去れ」


 リクニスがそれに答えて、しっしっと手を振る。


「去らん! 我が主人についていく!」

「何勝手に主人にしてるの? ねぇ?」

「音無しの滝の向こう側に行く気なら、一日足らずでわしらの集落に到着する。元々一度戻るつもりだったのだ、来ないか?」


 受け流しやがった。


「私達には、私達の用事があるの。自分達の集落に帰りたいなら、さっさと帰っていいよ?」

「クチナ様、手拭きをどうぞ」

「クチナ様、肉を追加しましょうか?」

「ありがとう! でもやめてくれないかな!? 世話係は、クロムで間に合ってるから!」


 桃色の男と水色の髪の男が、隙あらば世話を焼こうとしてくる。

 なんでやる気満々なんだコイツら……!

 やめろ! そんな尊敬しているような眼差しを向けるでない!

 昨日会ったばかりで喧嘩しただけだよね!? 私達!


「流石、占い師ナリリの言葉は外れませんね……」

「!?」


 セレナさんが戦慄しているような表情をしていた。

 やめて! そんな目でも見ないで!

 確かに占い師ナリリにも、親分肌を発揮するとは言われたけれども。


「どういうことだ?」


 リクニスが食い付く。


「クチナ様はダン様に匹敵する存在になると予言されました」

「ちょ、言わないでよ! セレナさん!」

「はっ?」


 口にしないで欲しかった。むしろ他言しないままでいてほしかった!

 リクニスは身を引いて、たじろいだ。


「あの、ダンベラー国を築いたダンベラー国王に匹敵する存在になると?」

「……!!」

「あの、未来を絶対に外さないと謳われる占い師ナリリに予言されただと?」

「……!!」


 やめろ。確認しながら、ずるずると後退りすることをやめてくれ。

 そして異質だと言わんばかりの視線で見下してきた。


「ほう! ダンベラー国とは、一匹のヴァンパイアが一から築き上げた国だと聞く。そうか! クチナはそれを目指してーー」

「いないから!? 絶対に違うから!!」


 あのダンを目指しているなんて恐れ多い。

 だからアカマル。その尊敬しているような輝いた眼差しをやめてくれ。

 今なら王の座にヨイショされたらしいダンの気持ちがわかる。

 きっとこんな感じだったに違いない。怖。


「ふ、フン。占い師ナリリも、流石に今回ばかりは外したな」


 リクニスは腕を組んで、嘲るように言った。

 そうであってほしいけれど、あのナリリちゃんの予言を、私が外すのもどうかと思ってしまう。


「……」


 一人静かに私を見つめているルーシウスに、気が付く。

 目が合うと、そっと背けられた。


「クチナ様。先に行って、周囲を探って参ります」

「あーそれはどうも……ってこらぁ! なんでさらりと役に立つことしてるの!? ちょっと!?」


 黒髪の男があまりにも自然に告げてきたので、すんなり頷いてしまう。

 彼は、俊足で行ってしまう。


「紹介が遅れたな! モモとスイ、さっきのはコクだ。それからあっちがシュー」


 アカマルがいきなり紹介を始めた。

 桃色の美少年フェイスが、モモ。水色の髪の男が、スイ。

 今偵察に行ってくれたのは、コク。それに赤紫の男がシュー。


「セイ」

「シン」

「キエン」


 青髪がセイ。少し老いた感じの男がシン。黄緑色の髪の男がキエン。


「ごめん、覚えられない」


 私は正直に謝る。


「それからごめんついでに、もうついてこないでくれないかな?」

「おともする」


 にこりとアカマルは言った。

 先にコクが行ってしまったこともあり、仕方なくまたこの鬼の一行を引き連れて出発することになる。

 それから、数時間で到着した。

 音無しの滝だ。

 夢に見た通りだった。絶景。

 川が流れて、下に落ちていく。豪快なのに、全然音がしてこない。

 ルーシウスに手を持ってもらって、下を覗き込む。

 大きな崖の穴は、静まり返っているし、暗い。


「なんで音がしないの?」


 ルーシウスを振り返って聞くが、ルーシウスは口をパクパクさせるだけ。答えてくれない。いや、私も自分の声が聞こえなかった気がする。

 ルーシウスに手を引かれて、穴から離れると口を開く。


「音が封じられた領域なんだ」


 だから、音無しの滝か。


「魔法だと言われているが、本当のところはわからん。滝壺が全てを呑み込んでいるのだという者もいる。……クチナは、箱入りか何かか?」


 アカマルが疑問を抱いて覗き込んできた。

 まずい。異世界から来たってバレそう。


「クチナ様」

「うひゃあ!?」


 後ろから声をかけられて震え上がる。

 いつの間にか現れたコクだ。


「報告します。人間の冒険者が付近まで迫ってきています」

「え、冒険者?」

「もう来ました」


 驚く私に、そのまま報告するコク。

 視線の先を見てみれば。


「おや……クチナさん?」


 白銀をオールバックにしたイケおじ冒険者ことヴェンさん率いる冒険者が、数人いた。この前より多い数。だいたい六人か。


「ヴェンさん……」


 まさか、本当にこの人と再会するとは。

 私は、放心してしまった。



 

20190404

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ