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彷徨う骸骨が現れた!  作者: たまき親方
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緊急会議 1

漁村襲撃事件から半月、完全にヤツの足取りを見失ってしまった。

騎士団に依頼して調査したり、自分達も聞き込みをして回ったが手掛かりになる様なものは見つからなかった。

そこで私達は一度集まり会議を開く事とした。

王都。


王城からほど近い都のメインストリートから離れ裏路地にひっそりとある酒場の地下。

ワインの保管庫の奥にある秘密の部屋に10人ほどの人影があった。

人影は水晶の置かれた円卓を囲い、黙って座っている。

人影の人種や年齢、性別はバラバラで中には子供の姿もある。


おもむろに1人の女性が口を開いた。


「それでは、第一回・骸骨捜索緊急会議を始めます。今まで皆の集めた情報を再度、確認・精査し今後の捜索に活かしたいと思いますので、よろしくお願いします。」

「今では年に1回あるか無いかの集まりじゃったが、ここに来て急に目撃情報が増えて来たのう…ワシが生きている内にヤツの顔を拝めると良いのじゃがのぅ…。」

「何言ってるんですか…まだまだ調べ始めたばかりでしょう?」

「俺は久々の王都だから早めにこの会議を終わらして、夜の情報収集に行きてぇんだ…早くおっ始めようや!」

「サイテー。」

「変態…さすがオオカミね…。」

「ネタに走り過ぎてやせんかのぅ。」

「無理矢理なキャラ作りですか?」

「うるせぇ、ほっとけ!」


冒険者風の狼獣人の男の発言に女性陣を中心とした非難の声があがった。


「こほん。では私から始めますね〜。恐らく最近の目撃情報の発端は私が取材した女性盗賊(シーフ)の猫獣人さんだと思うので。」

「よろしく。」

「はいはい〜。この王都から2週間ほど馬車で南に行った所にある海辺のダンジョンの街で情報収集をしていた所、酒場で取材した女性盗賊(シーフ)さんが有力な情報をくれました。それは、崩落事故に巻き込まれた時に『人語を解する金属製の骸骨のゴーレムと接触した』との事でした。その女性によると、突如現れた鉱石喰らい(グランドワーム)に横から掻っ攫われたと言っておりました。また、崩落の原因はその鉱石喰らい(グランドワーム)ではないかとの調査結果がでております。」


「その後、1月ほど経ってダンジョンから北の街道にある中継の街で件の漁村に骸骨が現れたとの情報が出て来たんじゃったのぅ。」


「はい。漁村襲撃事件に関しましては、門兵・襲撃した冒険者チームに取材をして確認を取っております。また、骸骨の特徴として普段は青味がかった色彩に見える金属で戦闘・緊急時には金色に輝き一回りほど大きくなり力が増している様子などからオリハルコン製であるとの見解です。」


「戦闘力的にも大型の鉱石喰らい(グランドワーム)を単騎かつ素手で倒した事、魔法が効きにくい事、腐っていてもB級の冒険者チームを赤子同然に壊滅させた事が上げられます。」


「しかしながら、漁村焼失の際にヤツの足跡が忽然と消えてしまったワケね…ご丁寧に骨とか砕いて無力化した挙句に安全な場所に縛って転がしてから消えてるんだから頭に来ちゃうわね。」


「うむ。」

「なんで残らなかったのかしら?」

「ヤツの考えなんてわかんねぇよ。」


「これらの情報を合わせてただけでも、私達が気の遠くなる程の年月をかけて追って来た存在である、と言う可能性が高まっているわけね。」


「そぉだな。その情報に追加報告をしておこ〜か。お前の後を継いだ俺は海辺のダンジョンで考古学を専攻してる学者さんに雇われる様に手回しして、崩落現場の調査に同行した訳だ。学者先生の言う事にゃ、崩落現場の崩れた岩肌から約千年前の地層と遺跡の断片が見つかったそうだ。」

「へぇ!だとしたら本当にお目当てのヤツって事じゃない?」

「そうね。可能性はかなり高くなったわ…でも実際にヤツと接触した人達から聞いた情報に気になるものがあるのよ。」


「なんだい?気になる情報って。」

「それはね『何かしら使命があった気がするが覚えていない』って言う所なのよ。」

「うぅむ…千年前から永らく眠っていたとしたら、記憶の劣化か断絶かのぅ?」

「となると、今まで発見出来なかったのは千年もの年月を地層に埋もれていたからとなるのかな?」

「でも百年単位で情報が出たりしてるから、偶に起きてたんじゃないかと思うんだよね〜。じゃないとやってらんないわ〜。心情的に…」

「それじゃぁ今回はその偶に起きる時にタイミングが合ったって事かな?」

「それだとチャンスではあるけど、この機を逃すとあと百年は隠れちゃうって事かも…。」

「それは嫌〜〜〜っ‼︎」



「しかし、ヤツは本当に何処に行ったのか…」

「はっ!案外自分探しの旅にでも出たんじゃねぇか?」

「…『自分探し』ねぇ…私達に最も縁遠い贅沢なものね…」


「「「………」」」


「我々はただ、主人の為にヤツを探し出して御前に連れて行くのみ。」

「わかってるわ。そんな事…。」

「然り。」

「ああ…。」


「まぁ…。今まで何年もガセネタや未確認の情報で奔走して来たけどさ、今回はマジで本物みたいじゃない!」

「そうだね!本腰入れて捜査を再開しなきゃね‼︎今回がチャンスだもんね⁉︎」

「…とすると、捜索範囲は広げた方が良くないかい?」

「あ?何で?この王国の勢力内に居るだろうよ。」

「いや、そうとも言えんのぅ。ヤツは数日かけて海辺のダンジョンから海中を歩き、件の漁村に上陸しておる。」

「となると…他の国に行ってる可能性もあるのよね〜。」

「それじゃぁ…」




その後、情報や意見を交わし、我々はこの国を中心に捜索範囲を広げつつ、他国に潜んで居る仲間も動員して更なる捜査をする事に方針が決まった。




「では、主人よ…この様な方針で良いかのぅ?」

「…はい、お手数ですが他国の仲間にご指示をおい願いいたします。」

「…では、我々も範囲を広げ集めた情報をさらに精査してヤツの行方を追います。」




…誰も居なくなった部屋の中、水晶だけが怪しく光っていた…


ヤツが海から上がってきた事を鑑みて、他大陸の仲間にも連絡を取り捜査網を拡げるしかないだろうとの結論にいたった。


私達の悲願の為にもヤツを捕まえなければならない。

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