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酸っぱいキスした、夢の中
くちびるを
重ねた夜の数じゃなく
恋する涙がこの夢を洗う
真夜中に
目が覚め急いで確認し
横にいる
はずないあなたの幻に泣く
夜は明け
《我ら》の街に 陽は昇り
さぁ、起きた、起きた、今日も一日
はじまる 孤独を 擦り込む この部屋
歯ブラシを
捨てておいてといったよね?
酔いにまかせて 蛮勇奮って、
捨ててね、私、って、いったよね?
まだ、あるじゃない?
しっかりしろ、私。
あの人が
残していった ちっちゃなものが
あたたかすぎて 心 溶けちゃう
ねぇ? あなた、
いまさらだって、あやまるわ。
だからお願い、あなたに、あうまえの私を
教えて。
なにをして、なにを想って、生きていた?
あなたに、あうまえの、
私に返してよ、ゴメン、ゴメン、
ゴメン、ゴメン、ゴメン、ゴメン、
あやまりますから、ゆるして下さい。
あやまりますから、あなたに、
あうまえの、私を、返してよ。
かえしてよ、ね?
その朝に
起きて 頰の涙に おどろく
酸っぱいキスした 夢の中




