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好きさえもすき透る




  


(短歌十二首)



満月の

原始の森に木霊する

もののけたちのすき透る声


海峡に

飛べない蝶が無数落ち

波に攫われいずこへ旅立つ


西の空

はるかかなたに虹に似た

しあわせ色が香る夕刻


ただ猫と

ふたりで暮らす8畳間

炬燵の上に空っぽの瓶


咳ふたつ

こぼす真冬の深夜2時

眠れないまま天井睨んだ


虞美人の

儚さが今朝わかるのは

寒くひとりで寝たせいと知る


道もない

山の聖域までゆけば

素敵な未来がみえるという嘘


中和する

愛と憎悪にゾッとする

持ってはいけない暗闇をみて


幾万の

悲壮をあのよるみた目には

話すわけにはいかない涙が


傘をさし

月の光を避けるのは

からだ蕩けるような気がして


月光が

幽霊屋敷に降る音が

聴こえてしまうほどの静けさ


ちょっとだけ

癒してくれる一輪の

ゆっくりと咲く野の花の笑み








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― 新着の感想 ―
[良い点] 好きさえもゾッとする 恐怖に、静けさに透き通ってしまう そんな気配が美しく表現されていて 息を潜めて読みました。 最後の野の花の笑みで息を吐けるそんな 短歌集でした。 なんか 流石に見…
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